2019年受賞部品

機械・ロボット部品賞

高送り加工用両面インサート式ラジアスカッタ「WJXシリーズ」

三菱マテリアル

主切れ刃の強度向上

 粗加工での工具費の削減、高能率、加工機の負荷低減を可能にし、コスト削減に寄与する。独自の「ねじれ凹逃げ面」形状を採用した。多機能性に寄与する内刃に正の大きな逃げ角を、加工時の負荷が大きい主切れ刃には負の逃げ角をそれぞれ与え、片面インサートと両面インサート、両者の特徴を持たせた。切れ味を悪化させずに多機能性を向上させ、主切れ刃の強度向上で加工能率を高めた。
 研削加工による凹形状は成形困難であり、プレスと焼結による独自逃げ面形状のニアネットシェイプ成形技術を確立。量産だけでなくインサート価格の低減につなげた。良好な切りくずとなり、ユーザーの切りくず処理が容易になった。

Voice
執行役常務加工事業カンパニープレジデント中村伸一

 栄えある機械部品賞を賜り誠に光栄に存じます。企業理念「人と社会と地球のために」の下、お客さま視点に立ったスピードと変革を常に求め、実現し続けることで、お客さまから真のパートナーとして信頼を得る、活力あれたワクワクする事業体を目指しています。
 受賞製品は、独創的な逃げ面形状の両面インサートにより、経済性、高強度、切れ味を同時に達成することに成功いたしました。これからもお客さまにワクワクする加工ソリューションを提供することで、高効率なモノづくりに貢献してまいります。

アディティブ・マニュファクチャリング用エンドミル「AM-EBT」「AM-CRE」

オーエスジー

積層造形後の強い味方

 オーエスジーの「アディティブ・マニュファクチャリング(AM)用エンドミル」シリーズは近年、利用が拡大している3Dプリンターなど材料を添加して製造する積層造形方法の台頭に対応する。切削加工の減少につながりかねないAMの普及を逆手に取った発想で“積層造形後の切削加工の強い味方”として開発した。
 AMでは切削加工で排出する切りくずを大幅に減らせるが、積層された材料の表面は非常に硬い。また、積層直後は凹凸による加工負荷変動が大きく、工具に欠損が生じやすいなどの課題があった。
 AM用エンドミルは3次元ネガ形状の採用により負荷の変動に対応。表層の硬い部分にも耐えられる刃形とした。
 さらに新開発のDUROREYコーティングにより、高い耐熱性と耐摩耗性、優れた靱性じんせいを備え、工具の長寿命化を実現する。

Voice
常務執行役員 大沢 二朗氏

 今回の受賞はとても光栄です。肉盛り加工用にスタートした製品だが、そのコンセプトに面白みを感じず3Dプリンターの積層造形「アディティブ・マニュファクチャリング(AM)加工」での切削工具の必要性から開発を後押ししました。肉盛り部分は粘りが強く加工しにくいので対応を追求しました。AM加工用エンドミルは世界初であろう。世界初を目指し、認められたことはうれしい。今後も次々出てくる破壊的(ディスラプティブ)イノベーションを脅威と感じず、常にどういった製品を投入できるかという発想で開発に取り組んでいきます。

パワフルアーム「PAWシリーズ」

CKD

20分の1の力で搬送

 重量物を下から支え持ち上げる作業に特化した空気圧式パワーアシスト装置。空気圧0.5メガパスカルで最大80キログラムの重量物を約20分の1の力で搬送できる。自動車部品や工作機械の治具、重量工具などを女性や高齢者でも容易に扱える。
 アームを3種まで組み合わせて使う。上下動用アームを空気圧シリンダーの口径別に80ミリメートル、100ミリメートル、125ミリメートルの3種、水平動用アームを3種用意した。上下動用アームは従来の4節リンク機構に空気圧シリンダーを内蔵した独自構造で高い剛性を実現した。
 動き始めや停止時の操作性も高い。ロック機能や挟み込み防止構造で安全性も高めた。組み合わせで最大可搬範囲は高さ2.6メートル、水平方向2.3メートル。口径が80ミリメートルと100ミリメートルの上下動用アームの場合で長さ900ミリ×高さ650ミリメートルと収納性も高い。

Voice
社長 梶本 一典氏

 この度は栄えある「機械・ロボット部品賞」を頂戴し、誠に光栄に存じます。また、開発過程にて携わっていただいた企業・大学の皆様に感謝を申し上げます。
 パワーアシスト装置「PAWシリーズ」は弊社が長年取り組んできた空気圧技術を用いて「人にやさしく安全な労働環境」を提供するために開発した製品で、人手不足の解消や労働災害を低減するため多くのお客さまにご愛用をいただいております。今回の受賞を新たな開発への励みとし、豊かな社会づくりに貢献できるモノづくりに引き続き取り組んで参ります。

エポックリブ溝加工用テーパーボールエンドミル「EB4HR形」

三菱日立ツール

金型リブ溝、加工段差なし

 金型のリブ溝の切削加工向けに開発した。リブ溝は溝幅の制約から小径工具で深く加工するには難易度が高く、時間をかけて放電加工することが多い。そのため金型メーカーからは生産効率のよい切削加工ができる工具が求められてきた。
 切削加工ではリブ溝の勾配面に加工段差が生じやすい。加工段差は金型の離型性を低下させる。受賞製品は従来通りの等高線加工で段差のない平滑な加工面を得られる。
 ユーザーによる樹脂金型のテスト加工では電極作成、放電加工、仕上げ磨きの工程だった従来工法を切削加工の1工程による工法に置き換えることができた。放電加工に比べ消費電力を低減し、環境保全にも寄与する。

Voice
社長 菊池 仁氏

 のたびは「エポックリブ溝加工用テーパボールエンドミル」が、「機械・ロボット部品賞」受賞の栄誉を賜り誠に光栄に存じます。
 同部品は外周刃にテーパ刃形状を採用することで、外周刃が工具交換時に発生する段差に繰り返し作用し、加工段差を除去することが可能です。これにより良好な加工面を得ることができ、結果として磨き工数の削減を可能にしました。
 受賞を励みに、今後ともお客さまの課題に真摯に向き合い、お客さまと私たちの笑顔のために果敢に挑戦し、日本のモノづくりに貢献して参ります。

オレンジヒート(赤外線カーボンランプヒーター)

メトロ電気工業

エネ効率・安全性など向上

 メトロ電気工業が開発した赤外線カーボンランプヒーターの「オレンジヒート」は金型加熱や食品焼成などで使用されているヒーター管。塗装乾燥など熱を使用する場面で使用されており、用途は幅広い。
 温度は1000℃以上に上げることができハイパワーだが、温度の上昇、下降が速いことも特徴。ガス加熱方式に比べてエネルギー効率、安全性、作業性などが向上し、二酸化炭素(CO2)削減にも貢献する。
 発熱体のカーボンフィラメントはカーボンシートをカットして製造しており、カットの方法やフィラメントのスリット幅を調整することにより抵抗値を変えることができる。同じ材料から消費電力や発熱温度を任意に調節できるため、少量多品種製造が可能。

Voice
社長 川合 誠治氏

 超モノづくり部品大賞の「機械・ロボット部品賞」を受賞したことで、赤外線カーボンランプヒーターのオレンジヒートの認知度が上がるのでありがたく思っています。機械メーカーなどで組み込んでヒーターを使ってもらうこともあり、相互協力ができる機会も増えるのではないかと期待しています。
オレンジヒートは2005年から製造、販売を始めました。発熱体に使用するカーボンシートは独自のカット方法によって抵抗値を変えられるため、温度や形など自由度が高い設計ができます。今後も形を変えながら開発を進めていきます。

ルミ加工用仕上げカッタ「Tung Speed Mill」

タンガロイ

1本のレンチで取り付け・調整

 新調整機構「カムアジャスト」を採用し、1本のレンチでインサートの取り付けと調整ができ、多刃化のデメリットとなる刃先調整時間の増加を大幅に短縮する。
 従来品を超える超多刃設計はアルミニウム合金などの非鉄金属を切削速度毎分3000メートル以上の高速、高テーブル送りで加工でき、自動車部品などに使われるアルミニウム部材の超高能率加工を行える。
 インサートは普通刃、刃先強化型普通刃、バリ取りさらい刃、さらい刃の計4種類を標準設定した。普通刃には「ダブルチャンファ切れ刃」を採用し、バリの発生を抑制するとともに切りくずの細分化を可能にした。また、バリ取りさらい刃と併用することでバリレス加工ができ、さらい刃との併用で優れた加工面品位を得ることができる。

Voice
社長 木下 聡氏

 弊社新製品に栄誉ある賞を賜り、誠にありがとうございます。アルミ加工用仕上げカッタ「Tung Speed Mill」は、新刃先調整機構“カムアジャスト”により、セッティング時間を大幅に短縮するとともに、超多刃設計により、非鉄金属の切削速度3000メートル/分以上の超高能率加工を実現しました。自動車部品などに使われるアルミニウム部材の革新的な超高能率加工に寄与すると考えております。
 今後もお客さまの生産性向上を追求した製品開発に取り組み、日本のモノづくりに貢献したいと存じます。

羽根のない撹拌体「C-MIX(シーミックス)」

アクアテックス

泡立たず、よく混ざる

 文字通り「羽根のない撹拌体『C―MIX(シーミックス)』」は穴の開いた円盤状の本体を液体中で回転させると、下の穴から液体を吸い込み、側面の穴から外側へ遠心力で噴流を起こし、撹拌する仕組み。プロペラなどの羽根による撹拌に比べ泡が立たない、物質をせん断しない、突起がなく安全といった利点を持つ。
 撹拌の力も強く、埼玉大学との共同研究によると、運動量は同サイズの羽根タイプの約1.8倍。加えて流体解析では水流の乱れが少なく、より遠くまでエネルギーが減衰しないことも証明された。
 当初は塗料の撹拌向けに開発され、食品や化学品などで徐々に実績を重ねている。最近では医薬品の合成にも採用。ある薬品メーカーでは原薬の合成純度で約30%、生産効率で30-50%向上したという成果も上げている。

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社長 下司 泰史氏

 このたびは栄えある機械・ロボット部品賞を頂戴し、誠に光栄に存じます。今回、賞を頂きました羽根のない攪拌体「C-MIX(シーミックス)」は、塗装工場を経営する発明者が現場改善を目的に開発したのが始まりです。撹拌は業界を問わず、さまざまな製造現場で昔から行われております。ただし、昔から行われているだけに当たり前の作業と化し、あまり改善への目が向けられていない現状を多く耳にします。混ぜ方を変えるだけで品質を劇的に改善できます。お客さまの品質向上と作業効率の改善に貢献できるよう、今後も取り組んで参ります。