ものづくり日本会議

2009年受賞部品

モノづくり部品大賞

『バブル90』

合同会社デザイナーズギルド(大阪府東大阪市)

製品概要

節水効果高いノズル
「バブル90」は節水率で最大95%を実現した蛇口ノズルです。少量の水に多量の空気を効率よく混合させることで、使用感や洗浄力を損なわず、手洗いや洗浄に必要な最低限の水を出すことができます。調整リングを回して水量調節が可能で、水圧が高いほど高い節水効果を発揮します。欧州や中国など、水栓内が詰まりやすい硬水エリアでも使用できる万能ノズルです。
開発したデザイナーズギルドは2008年2月に設立した合同会社で、製品ごとにプロジェクトチームを編成する寄り合い部隊です。設計を担当する31歳の高野雅彰代表と、カネカOBで67歳の松原良憲プロジェクトマネジャーが中心となり、メンバーを招集しました。松原氏の豊富な人脈のもと、技術者やコンサルタントらがプロジェクトに参画しました。大和ハウス工業などの大手企業も開発に携わりました。普段の連絡はメールで行い、問題は月に1度の会合で解決しました。
バブルの要は、内部のピストン状の部品と本体部品とのわずかなすき間です。製造を担当するのは高野代表の実家で、ガスコック製造で50年弱の歴史を持つ高野精工社です。父の高野善行社長は切削加工の職人です。1000分の1ミリメートル単位と高精度で、金属を切削加工する熟練の技があってはじめて製品化が実現しました。
シンプルな構造ですが工夫は随所に及びます。ノズルを下に引っ張れば、サビや泥水の詰まりが取り除けます。貯水など水量が必要な作業にも対応可能です。手洗い時に水が飛び散ることなくまっすぐ落ちるよう、水流の見た目にもこだわりました。
学校や駅など公共機関の水道のほか、飲食店の厨房や食品工場など、洗浄が必要な水道蛇口への使用が見込めます。完成直後に出展したドイツ・ベルリンで開催された水専門見本市では、日本製の硬水対応節水製品として注目を浴びました。国内でも兵庫県内の一部の小学校にサンプル提供するほか飲料メーカーに納入して高い評価を得ています。
若者の感性と熟練の技、そして企業OBの経験と人脈との組み合わせで誕生したバブル90。新しいモノづくりのあり方をデザイナーズギルドに見ました。

モノづくり日本会議 共同議長賞

『車載用DC-DCコンバータ GEN4.5シリーズ』

TDK株式会社

製品概要

小型・軽量に工夫
自動車各社が車種拡充を進めるハイブリッド車(HV)のほか、開発が加速している電気自動車に使う車載用DC/DC(直流/直流)コンバータ。HV用ではバッテリーモジュールから駆動用モーターに供給される100‐300ボルトの高電圧直流を、ライトやワイパー、制御機器などで使う1ボルトに変換する役割を担います。
電子制御ユニット(ECU)やインバーターと一体化したユニットに収められる、ハイブリッドシステムの中核部品の一つです。
国内外の自動車メーカーがHV向けに水冷式と空冷式を採用しており、TDKは両方式とも生産しているのが強みです。GEN4.5シリーズでは、トランスの巻線構造やフェライトコア材の放熱方法を改めることで温度上昇を低減しました。放熱用部材の削減や回路設計の見直しなどを徹底し、同社従来品に比べ重量は最大42.5%削減、容積は26.7%削減しました。
DC/DCコンバータの小型・軽量化によって、HV本体の燃費向上や二酸化炭素(CO2)排出量の削減、電池の長寿命化などに貢献ができます。

ものづくり生命文明機構 理事長賞

『AキャピオックスFXシリーズ』

テルモ株式会社

製品概要

人工肺、動脈と一体化
心臓手術に対応した人工肺です。心臓手術時に肺の機能を代替する医療機器で、人工肺、ポンプ、動脈フィルターなどを回路でつないだ人工心肺システムの一部として使用されます。「キャピオックスFXシリーズ」の最大の特徴は、人工肺と動脈フィルターというそれまで独立していた二つの医療機器を一体化したことです。
内部は人工肺の中枢である中空糸の表面に、胴巻き状に動脈フィルターを巻き付けました。
機器の一体化により血液の体外循環に用いる回路に充てんするプライミング液と呼ばれる薬液を削減することができます。プライミング液は量が多いほど患者の血液は希釈されます。希釈率の高い、薄まった血液は、酸素の運搬能力や浸透圧が低下するため、手術後の患者の予後にも影響を与えます。
このほかプライミング液に添加する薬剤や輸血量の削減にもつながり、病院の薬剤コストの削減に貢献します。また回路準備時間の短縮化は臨床工学技士の作業効率を高め、医療の質の向上につながります。

日本力(にっぽんぶらんど)賞

『ガラス封止LED』

株式会社住田光学ガラス(さいたま市浦和区) / 豊田合成株式会社

製品概要

パッケージの劣化解消
「ガラス封止LED」は一般的に採用されている樹脂ではなく、ガラスで発光ダイオード(LED)を封止しているのが特徴です。住田光学ガラスと豊田合成両社が得意とする技術力を組み合わせ、ガラスが持つ耐熱性や耐紫外線性といった特性をLEDの封止に採用しました。
近年LEDは環境に配慮した光源として普及する一方で、LEDの高出力化や紫外線LEDの登場により、発熱や紫外線による樹脂封止部分の劣化が問題となっていました。この解決のためには封止部分にガラスを用いるのが最適でした。そこで両者はLEDの封止に適したガラス材料の開発や封止技術、LED素子形態の最適化を図り開発に結び付けました。
今回の開発で、パッケージの劣化解消によるLEDの高寿命化、耐熱性の改善による素子の高密度化、高電流を流すことによる高輝度化を実現しました。数百個のLED素子が搭載された基板を一度に封止できるため、量産化にも対応します。医療分野をはじめ、多様な分野での実用化を目指していきます。

『ワイヤ放電加工機用 高性能リサイクルワイヤ電極線 『e-wire』』

株式会社ソディック新横(横浜市港北区)

製品概要

性能・品質落とさず再利用
放電加工後に使用済みとなったワイヤ電極線を、業界で初めて再利用し製品化したものです。性能・品質はバージンワイヤと同等、業界最高極細レベルの直径0.07ミリメートルの製品化にも成功しています。
開発の背景には材料を溶かす溶融工程から製品を作る伸線工程、検査工程などをすべて内製化したことにあります。銅や亜鉛の融点の適合化や、ワイヤの最適な製造条件などをノウハウとして確立しています。製造設備の改良などで製品化に結びつけました。
使用済みワイヤの再利用はユーザーにとっても大きなメリットがあります。従来、使用済みワイヤは産業廃棄物として処分していましたが、再利用できれば工場内のゼロエミッション化にも寄与します。
独自のワイヤ循環システムも構築しました。全国の1800社を超える金型メーカーが同システムに登録しており、ワイヤ回収量も月100トン程度にのぼっています。省資源化や作業環境の改善が図れることで、放電加工の高度化を強力に後押ししています。