2009年受賞部品

機械部品賞

アタッチメント型地雷処理装置 「BM307V24」

山梨日立建機(山梨県南アルプス市)

製品概要

低木切断しながら処理
地雷を爆破処理するため、油圧ショベルのアーム腕の先端に取り付ける部品です。ツメや鎖、分銅が付いた軸を高速で回転させることで地雷をたたき、地雷内部の火薬を爆破処理します。
ドラムにツメを付けたロータリーカッター(RC)式は従来、地中の対人地雷の処理しかできないため、事前に低木を処理しなければならなりませんでした。同製品は地雷原に生えた低木を切断する前処理を行いながら地雷処理を行えるため、作業効率を大幅に向上させています。
鎖と分銅を軸に取り付けたフレールハンマー(FH)式についても、従来は高重量で大型機限定でしたが、耐久性を落とさずに軽量化したことで中型機にも搭載可能にしました。これにより1時間当たりの処理能力を1200平方メートルと、従来比約1.5倍に向上させました。

トロイダル回折格

島津製作所

製品概要

円環状面で集光力向上
トロイダル回折格子は光を波長別に分ける分光器のキーデバイスで、多様な波長が混じる光から特定波長の光を取り出す役割を担う光学素子です。
光の反射面の形状工夫で集光能力を向上し、分光後の光の利用光量が従来品比で最大50%高められます。光源の光が従来より小さくでき、光源部や検出部の小型化が可能です。光源の長寿命化と測定時間短縮、消費電力の低減などが図れ、分光器自体のコンパクト化にもつながるとしています。ラインアップは回折格子の反射面の溝が等間隔タイプ、不等間隔タイプがあります。
光を反射する回折格子面に、縦方向と横方向で曲率の異なるトロイダル円環状面を採用しました。分光時の光の縦横方向への広がり収差が補正できるようにして、集光力を高めました。従来品は球面状で縦・横のどちらかの収差補正しかできず、無駄になる光が多くありました。

気体作動高耐久ダイレクトダイヤフラムバルブ

フジキン(大阪市西区)

製品概要

耐久性・応答性を向上
フジキンは、耐久性と応答性に優れた半導体製造装置用バルブ「気体作動高耐久ダイレクトダイヤフラムバルブ」を開発しました。200度Cの環境で3000万回以上の開閉耐久性、気体作動で20ミリ秒以下の開閉時間を実現します。半導体製造装置用バルブで国内トップを誇る、同社の戦略製品です。
高耐久バルブは半導体装置内で、特殊材料ガスの供給制御に使います。原子レベルで成膜する半導体製造プロセスは特殊ガスを短時間で繰り返し流すため、バルブの耐久性と応答時間短縮が課題でした。ボディー内の金属ダイヤフラム仕切り板の開閉特性を分析し構造を改良、高温下での耐久性を高めました。
またバルブ制御の電磁弁をアクチュエーター上に直付けし、応答時間を短縮しました。先行納入したユーザーの評価も高く、量産装置として普及が期待されます。

小径刃先交換式エンドミル「アルファスーパーエクセレントミニASM形」

日立ツール

製品概要

加工コストを低減
小径刃先交換式エンドミル「アルファスーパーエクセレントミニ ASM形」は一つのホルダーに、直角削り用、高送り加工用の用途の異なる2種類インサートを取り付けられるのが特徴です。直角削りでは加工バリの発生を抑え、彫り込み加工時に段差のない良好な加工面が得られます。高送り加工では独自のチップポケット形状を採用し、従来のラジアスエンドミルでは破損してしまうような切削条件でも使用可能です。
ソリッドエンドミルとの比較試験では、ランニングコストを抑えることで加工コストを39%低減できました。また、従来の刃先交換式エンドミルと比較しても加工能率を高められ、加工時間短縮による大幅なコスト改善が可能です。工具径のラインアップも拡充し普及拡大に力を入れます

結合剤部分傾斜型レジノイド切断砥石

平和テクニカ(東京都中央区)

製品概要

両側面に薄膜熱処理
「結合剤部分傾斜型レジノイド切断砥石」は、円盤状の砥石の両側面に樹脂を焼き入れ装着することで、硬質で脆い材料の高精度、高効率な切断を可能にしました。
従来の砥石では連続切断すると、砥石先端の形状が凸型のかまぼこ状になり、真っすぐ切れませんでした。また、近年、半導体産業で使われる硬質脆性材の切断では、欠けや部分割れが生じるという課題がありました。
課題解決のため、砥石の両側面に、フェノール系樹脂(ボンド同等成分)の薄膜を熱処理することで、強化しました。砥石先端の形状が凹型になることで、切れ味を落とさず真っすぐ切れるようにしました。また、砥石側面の気孔が減り、切断用冷却水が浸入しにくいため、砥石の変質を防げます。同社従来品と比べて、切断表面の面粗度Raを10倍、平たん度を100倍近くまで向上させました。

ジップチェーン

椿本チエイン

製品概要

柱状になり高剛性
ジップチェーンはフック状のプレートを持つ2本のチェーンを、ジッパーのようにかみ合わせると、1本の柱状となることから名付けられました。柱状になると高剛性で、油圧シリンダーなどで行う直線作動も置き換えることができます。高速で高頻度の作動にも対応し、直線作動ユニットの省スペース化にもつながります。
チェーン専業メーカーとして、長年蓄積してきた製造技術を投入しました。かみ合い精度を上げるため、熱処理加工などでゆがみが生じないよう、各部品サイズや加工精度を見直して管理を徹底しました。
チェーンは回転力や引っ張り力を伝えるものとされてきました。ジップチェーンは、これまでにない押しと引きができます。直線作動分野への用途拡大をはじめチェーンの概念を大きく変える可能性を秘めています。

カフレス

ユーシー産業(大阪市中央区)

製品概要

結合部品を一体成形
カフス(部品)をレス(不要)する管加工技術です。結合部品で管接続という業界の常識を打ち破りました。押し出し成形という一工程の中で、フレキシブルホースと結合部品を一体成形します。押し出し速度の制御などで蛇腹部分と結合部品となる硬質部分を作ります。結合部品の接着など従来の手間がなくなり、コストダウンや施工時間の短縮につながります。
エアコン用ドレーンホースに始まり、高い経済性や施工性からビルトイン食器洗浄機や洗濯機向けなど家電製品への採用が進んでいます。「エバックドレンアップホース」の商品名で多様な管口径を用意しました。今後は土木や農業向けに300クラスの大口径タイプ、ポリ塩化ビニールとポリエチレンの複合タイプなどを開発、新市場開拓を進める計画です。