2010年受賞部品

環境関連部品賞

無水銀アルカリボタン電池

ソニーエナジー・デバイス(福島県郡山市)

製品概要

ソニーエナジー・デバイスが商品化したアルカリボタン電池は、世界で初めて無水銀化を実現した。玩具や時計などに広く利用されている製品で、従来は電池の膨張や液漏れにつながる水素ガスの発生を抑えるため水銀を使っていた。  今回のアルカリボタン電池は正極材に水素ガスの吸収材を配合するとともに、ガスの発生自体も制御することで、従来品と同等以上の性能と安全性を両立させた。アルカリ水溶液中で負極材の亜鉛が腐食反応で溶解すると同時に水素ガスが出てくるため、耐腐食性の高い亜鉛合金粉などを採用してガス発生を抑制した。
価格も従来の水銀使用アルカリボタン電池と同水準にし、環境性能の高い同製品の普及を後押しした。

Voice
ソニーエナジー・デバイス社長 種茂 慎一氏

ソニーは、年間約3億個のアルカリボタン電池と酸化銀電池を販売しています。すでに無水銀化を実現している酸化銀電池に加えて、今回新たにアルカリボタン電池を無水銀化することで、両電池あわせて年間約470kgの水銀が削減可能になりました。
開発技術者の間で非常に困難といわれていました「ボタン型電池の無水銀化」というテーマに、弊社のエンジニアが挑戦し続けて成し遂げたその成果に対して、今般の モノづくり部品大賞・環境関連部品賞という名誉ある賞をいただき、大変光栄に思います。ありがとうございました。

有機溶剤を使用しない水性ウレタン合成皮革「アクアウィッシュ」

共和レザー

製品概要

共和レザーが開発した「アクアウィッシュ」は、軽量で有機溶剤を使わない環境にやさしい自動車用内装材。水性発泡ウレタン合成皮革で、本革に近い風合いと従来の合皮の機能性を併せ持つ。2009年10月にトヨタ自動車が発売した高級セダン「マークX」に初採用された。11年以降に生産開始される車種向けにも積極的に採用活動を展開中だ。
水性合皮の自動車内装材は業界で初めて。揮発性有機化合物(VOC)フリーに加え、二酸化炭素排出量を従来のウレタン合皮比85%減とした。重量は本革の約半分と軽く、車の燃費向上につながる。シートの座面以外を同製品に置き換えると約5kg軽量化できるという。風合いにも優れ、新材料と独自の発泡化技術によりしっとりとした感触とボリューム感を出した。

Voice
共和レザー社長 宮林 克行氏

このたびは栄えある賞を授与いただき、誠にありがとうございます。今回受賞した「アクアウィッシュ」は、有機溶剤を一切使用しない「ひと」と「環境」に優しい水性発泡ウレタン合成皮革で、本革に比べソフトでボリューム感があり、かつ軽量化が可能な商品です。車両用内装材だけでなく、家具や事務いす、雑貨など各分野での実用化を期待しています。
今回の受賞は社員にとっても非常に大きな喜びと励みになっています。今後もさらに技術開発力に磨きをかけ、お客さまのニーズに合った商品をスピーディーかつタイムリーに開発していく所存です。

排風機発電システム「ウィンドステン」

岡藤機工(広島市安佐北区)

製品概要

「排風機発電システム『ウィンドステン』」は、工場などに設置されている集塵機の排気を活用して発電、再び工場の動力源にする。風量増加装置、インペラー(羽根車)、発電機などで構成する。排気口に直管ダクト、さらに一回り大きいダクトをつなぐ。排風機から通常毎秒15-18mの風に外気を取り込み、毎秒10-12mの安定した風にしてインペラーに送り、発電機で発電する。ダクト内に設置できる特徴も持つ。
放出していた排気を活用するため、新たなエネルギー源が不要で、風速・風圧の安定という風力発電の課題を集塵機利用で解消。「光熱費削減、二酸化炭素削減、ランニングコストゼロ」などを同時に実現するシステムで市場性は高いとみる。小規模で実績を積み、中・大規模向けの土台づくりをしていく。

Voice
岡藤機工社長 安藤 嘉則氏

もともと、常識にとらわれないところで開発に着手しただけに、認められ光栄で大変うれしいです。「イノベーション(技術革新)は常識ではない」というのが私の考え方で、中小企業は基本的にニッチ分野を狙うしかありません。既存分野では競争できないだけに、こうした発想を大事にしたいと思います。
ウィンドステンも環境問題がクローズアップされる中で、集塵装置から毎日吹き出す風を何とかできないかというのが商品化となりました。風力発電は何よりも安定した風が肝要。これ以上の動力源はないと考えています。受賞を契機に、これからも“中小企業的”発想をもって、新分野にチャレンジしたいと思います。