健康・医療機器分野
サリバチェックミュータンス
ジーシー
製品概要
ジーシーの「サリバチェックミュータンス」は、口の中の虫歯の原因菌とされるミュータンス菌の多さを、唾液から短時間で測定できる簡易キット。キットに唾液を滴下して、わずか15分で結果がわかる。唾液1m口中に50万個以上のミュータンス菌が存在すると陽性となり、赤いラインが浮き出る。虫歯リスクの高さを簡単に判定でき、日々の予防につなげられる。
口内の無数の細菌の中からミュータンス菌のみを即時に検出するのは、従来の技術では難しかった。そこで同製品では、妊娠検査やインフルエンザ検査などで使われるイムノクロマト法を用いて即時検出を可能にした。キット上にミュータンス菌と結合する抗体を塗布し、滴下された唾液中のミュータンス菌を捕らえる仕組みだ。ミュータンス菌と結合した抗体は赤く発色するため、目視判定ができる。
同製品は歯科医院向け。認可の関係から、欧米や韓国などで先行して発売している。現在は国内流通の道を多方面から模索中だ。
Voice
ジーシー 代表取締役社長 中尾 眞 氏
2011年度の「GC研究用scaffoldシリーズ」の奨励賞受賞に引き続いて、今回の受賞は大変光栄に思います。
受賞製品は、歯科で初めてイムノクロマト技術を応用したものだと思います。培養器のような特別な装置も必要なく、簡便に処理した唾液を使って15分後に目視判定ができます。歯科医師の先生が患者の口腔の状態を正確に把握するために、大変有効なツールになると考えます。
今後も「生きる力を支える医療」である歯科医療を支える企業として、一層の研究開発に努力していきます。
pH複合電極用比較電極「イオン液体型比較電極」
堀場製作所
製品概要
環境計測をはじめ、製薬などの研究施設や生産現場の品質管理まで、あらゆる場面で計測が求められる水素イオン濃度(pH)。堀場製作所の「イオン液体型比較電極」は、これまで難しいとされてきた純水や雨水など低電気伝導率水や薬液を安定して計測できる新技術だ。
従来の比較電極では、内部液の高濃度塩化カリウムを試料側に拡散させる手法でpHを計測していた。このため試料の汚染が課題だった。
新技術では、比較電極の試料との接触部にゲル状イオン液体を用いた。開発した比較電極は、試料に対してイオン液体がわずかに溶解するのみで、試料への影響は従来比で1万分の1以下に抑えられる。従来手法に比べて、液間電位差をより安定させることにもつなげた。
純水や雨水などは、塩化カリウム拡散の影響を受けやすく、正確な測定値を得ることができなかった。また、注射剤などの薬液は、塩化カリウムと反応してしまい、沈殿物を生成する場合があった。新電極の開発で、これまで不得意としていた試料でも、状態変化を伴わず測定できるようになった。
Voice
堀場製作所 代表取締役副社長 石田 耕三 氏
受賞の栄に浴し、心よりお礼申し上げます。科学の発展の基盤である計測技術に光を当てていただいたことは大変光栄です。当社は、創業以来60年にわたり、pH計測器の開発・製造・販売を続けてまいりました。
pH電極が発明されて以来100年以上、比較電極の内部液によるサンプル汚染という課題がありました。「イオン液体型比較電極」は、サンプル汚染を大幅に減少させることで、この課題を解決し、微量サンプルの正確でかつ安定したpH計測が可能になりました。
健康・医療分野の微量サンプル計測というニーズに応えることができたことをうれしく思うとともに、今後の技術発展に貢献してまいります。