ものづくり日本会議

2013年受賞部品

電気・電子部品賞

小型地磁気センサ「HSCDシリーズ」ワイドダイナミックレンジタイプ

アルプス電気

製品概要

アルプス電気の「小型地磁気センサ『HSCDシリーズ』ワイドダイナミックレンジタイプ」は、スマートフォンや腕時計に搭載されるナビゲーション機能に必要な位置検知用の小型磁気センサー。同社従来品比で実装面積を60%削減した。1.6mm角と小型でありながら磁気測定範囲を表すダイナミックレンジがX、Y、Zの3軸それぞれで従来品比2倍のプラスマイナス2.4mT(ミリテスラ)と拡大。磁気ヘッド事業で培った薄膜プロセス技術や磁気シミュレーション技術を応用し、磁気素子性能を最適化することで実現した。
ASIC(特定用途向けIC)を自社開発し、微弱な地磁気も検知できるようにしたため、従来品比60%減の低消費電力で駆動する。また、ハンダボールの代わりに平面電極パッドを格子状に並べた「LGAパッケージ」の採用で実装時の強度を高めた。
同製品は、カシオ計算機製の方位計測機能付き腕時計に採用された。位置検出機能はモバイル機器の機能として不可欠な存在になりつつある。また小型、軽量、低消費電力駆動に対応したことでスマホやウエアラブル端末などへの採用拡大が期待される。

Voice
アルプス電気 技術本部 C6技術部 部長 大野 裕樹 氏

このたびは栄えある賞を頂きまして、誠にありがとうございます。 近年、スマートフォンを始めとする小型情報端末の普及が進むと共に、搭載部品の省サイズ化と性能向上への需要はますます高まっています。
このたび表彰頂いた「HSCDシリーズ」は、当社が長年培った薄膜プロセス技術や磁気シミュレーション技術等を生かし、1.6mm角と小型ながら高分解能、かつ業界最大の測定範囲を実現した小型磁気センサーです。セット設計自由度に貢献すると共に、ナビ機能における正確な方位情報検出を可能とします。
関係者一同、この受賞を励みとし、今後も製品開発に邁進していきます。

絶縁型双方向DC-DCコンバータ「EZA2500」

TDK
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製品概要

TDKは、スマートグリッド(次世代電力網)向けに1台で直流電圧を昇圧・降圧できる「絶縁型双方向DC-DCコンバータ『EZA2500』」を開発した。通常は昇圧用、降圧用それぞれ装置が必要だが、1台で済むのが最大の特徴で、開発期間の費用、設置スペースなどを削減できる。
EZAは、太陽光発電や風力発電システムなどで発電した余剰電力を家庭用の蓄電池に充電したり、蓄電池の電力を売電するため放電したりする際に電圧を調整する役割を担う。変換方向の切り替え時間は15m秒と短いほか、独自のデジタル制御技術や低損失フェライトコア、チョークコイルを採用し、双方向で94%以上の高い変換効率を実現した。4台まで並列運転できる。
スマートグリッド向けのほか、エレベーターや自動倉庫のクレーンなどに搭載されるモーター制動時の回生エネルギーをバッテリーに蓄電する利用することも可能でサンプル出荷の実績も出てきた。産業機器をはじめ幅広い分野に向けて提案し採用拡大を狙う。

Voice
TDK 常務執行役員 広田 嘉章 氏

 このたびは「電気・電子部品賞」を賜り誠にありがとうございます。
低炭素社会の実現に向け、普及が見込まれる再生可能エネルギーを取り込んだ効率的なエネルギーマネジメントシステムや回生エネルギー関連機器などの分野において、電力変換の重要なプラットフォームとなる本製品に対して受賞できたことを、開発者一同大変喜んでおります。
開発に当たっては、弊社の持つ電源技術を駆使し、絶縁型でありながら双方向での高効率かつシームレスな電力変換を実現しております。
このたびの受賞を励みとして、今後ともお客さまにご満足いただける製品を提供してまいりたく存じます。

フローレシオコントローラ(FRC)

フジキン

製品概要

フジキンの「フローレシオコントローラ(FRC)」は、シリコンウエハーが大口径化する中で、半導体製造工程で特殊ガスの噴霧ムラが生じるのを改善するために開発された。大スペースの反応チャンバー内に、特殊ガスを高精度に分岐して複数の吹き出し口から噴霧し、ウエハー全体に均一に行き渡らせる。これにより不良品の少ない半導体製造に寄与する。
次世代の口径450mm時代を前にFRCの新技術が待望されてきた。その有力技術として、現世代の300mmでもすでに一部採用された。
開発で狙いとしたのは、同社の製品で普及を進めているガス流量制御機器(FCS-P)とセット利用してもらうこと。FCS-Pの下流側で使う装置となるため、減圧した環境下で作動することが大前提。流量計測機構は圧力損失を極力なくすよう工夫を凝らし、またバルブは開度を機敏に調整する2段階制御など、課題解決の新技術を複数生み出した。チャンバー内部材の経時劣化に影響されず、また作業環境の温度変化も補正する。

Voice
フジキン 代表執行役社長 野島 新也 氏

今回の受賞で、モノづくり部品大賞において10年連続で賞をいただくことになりました。心より厚く深く御礼申し上げます。
「フローレシオコントローラ(FRC)」は、大径シリコンウエハーの半導体製造ラインでエッチング処理用の反応ガスを作業チャンバーに高精度に分岐して供給するユニット装置として開発されたものです。極めてレベルの高い技術力が要求されましたが、開発、技術陣は挫折することなく幾多の課題を克服して完成にこぎつけました。来るべき450mmウエハーの時代に対応すべく独自の2段制御機構を搭載し、3秒以内の応答速度に改良するなど、生産効率の大幅な向上を実現します。

超高密度 部品縦埋め基板を用いた「BGA電流プローブ」

パナソニック

製品概要

パナソニックの「超高密度 部品縦埋め基板を用いた『BGA電流プローブ』」は、テレビなど、多様な機器向けのLSIパッケージと実装基板側の設計や部品配置最適化、小型・低コスト化など図れる開発設計ツール。同パッケージと基板の間に実装し、同パッケージの0.5mm-1mm間隔で1000個以上並ぶ全端子に流れる電流を個別測定。電流見える化で不要端子を削減してパッケージサイズとコストを低減し、基板もノイズ対策部品などの最適配置に結びつくという。
従来技術で全端子の電流測定は難しく、端子レイアウトは知見や経験、勘に頼っていた。このため動作周波数が高速化する中、電源安定化のために端子数が増えていた。電流測定には1端子あたり3つの抵抗チップ部品が必要。受賞部品は、0.6mm×0.3mmのチップを縦置きの形式で内蔵する技術の開発などで電流見える化を実現した。具体的には、1mmピッチで34×34ピンの半導体パッケージ対応の受賞部品だと、35mm角で約3500個のチップを内蔵。縦置きで、端子とチップの配線距離が短く、高周波にも対応できる。

Voice
パナソニック モノづくり本部 生産技術開発センター
生産技術研究所長 西田 一人 氏

このたびは栄誉ある「電気・電子部品賞」を賜りましたこと、誠に光栄に存じます。
「BGA電流プローブ」は、LSIパッケージの全端子に流れる高周波電流を製品動作状態で実測可能にした世界初の部品であり、当社のモノづくり力を結集した独自の「基板内へのチップ部品縦埋め技術」により実現しました。今後、ますます高速、高周波化が進むLSIやデジタル商品の小型化、安定動作、コスト削減に貢献する、画期的な商品であると自負しています。
今回の受賞を大きな励みとして、今後とも社会に貢献するモノづくりを追求し、独創的な商品の開発に取り組んでまいります。

マイクロハクマク圧力センサ

岡野製作所

製品概要

岡野製作所の「マイクロハクマク圧力センサ」は、熱伝導型と呼ばれる方式の圧力センサーで、大気圧以下の圧力測定に用いる。同種の圧力センサーとして一般的なピラニ式に比べ大幅にコンパクト化し、最小で縦4.5mm×横4mm×厚さ0.5mmのサイズを実現。真空装置内狭小空間への取り付けが可能になり、従来不可能とされてきた真空環境の圧力分布を実測する技術に道を開いた。
計測可能な圧力領域が大気圧から10-3Paの高真空までと広いのも特徴。ピラニ式センサーは、103Paの低真空から10-1Paの中真空までと限られ、より広い圧力領域を計測するには方式が異なる複数の真空計が必要だった。
広範囲の圧力測定を実現したのは、窒化アルミニウムと窒化タンタルを複合化した独自のセンサー材料で、ピラニ式センサーの白金に比べ約10倍の感度を発揮する。さらに白金は直径0.03mm、長さ80mmの極細線の形状で用いるのに対し、新材料はフィルム基板上に薄膜化が可能。これによりセンサーを大幅にコンパクト化した。

Voice
岡野製作所 代表取締役社長 岡野 忠弘 氏

「電気・電子部品賞」をいただき、大変光栄に存じます。
当社の「マイクロハクマク圧力センサ」は、小型・高感度・高速応答という特徴を有し、真空加工装置内の随所に配置することで各点の圧力を正確に知ることが可能になります。システムの動作状況を時間・場所ごとに把握できるようになり、真空下でのモノづくりにブレークスルーをもたらす部品になると自負しております。本製品を製品化し、ここまでたどり着くまでには社員の努力はもとより多くの方々の支援をいただきました。
受賞にあたり皆様に感謝申し上げるとともに、今後はさらなる向上を目指し努力してまいります。