ものづくり日本会議

2013年受賞部品

環境関連部品賞

超軽量・発泡成形エンジンカバー

太平洋工業

製品概要

太平洋工業は、2006年にnm大(nは10億分の1)のガラス繊維で強化したナイロン(ナノコンポジットナイロン)を用いて世界最軽量級のエンジンカバーを実用化した。
今回受賞した「超軽量・発泡成形エンジンカバー」は、この技術をもとに06年に開発に着手。比重を水より軽い1以下にし、重量を約3割軽量化。12年暮れ発売のトヨタ自動車「クラウン」に採用された。
開発コンセプトは三つ。耐衝撃性など強度を保ちつつ軽量化すること。耐熱性が高いナイロンを用いること。そして、無塗装で美しい外観に仕上げるため表面に気泡を残さないこと。材料、金型、成形条件のすべてを一から見直した。
ナイロンの化学発泡は、業界でも珍しい。試行錯誤の中で骨材(タルク)を発泡の核にして気泡の大きさをμmレベル(μは100万分の1)に制御する技術を確立。余分なガスをうまく抜けるよう金型も工夫し、表面に気泡跡が残らない成形を可能にした。射出成形機は汎用タイプが使える。材料や塗装工程の削減で総コストも低減した。

Voice
太平洋工業 代表取締役社長 小川 信也 氏

2012年の「燃費向上2槽式オイルパン」による「自動車部品賞」の受賞に続き、2年連続で表彰を頂き、誠にありがとうございます。
新技術はいくら良いものがあっても、それを製品として熟成させる深みや高みがなくては埋もれてしまいます。もちろんコスト対応も必要です。
当社は、機械加工やプレス加工、樹脂成形、電子部品製作など自動車部品に関わる幅広い技術も持ち、いろいろな形でお客さまの要求に応えています。今回もその一つがお客さまに評価いただき、受賞にもつながったと感謝いたしております。
今後は海外でも同じ技術を安定して提供できるよう、さらに努力していく所存です。

遮熱ヘッドライニング

河西工業

製品概要

河西工業は、熱を遮る効果がある自動車用天井内装部品「遮熱ヘッドライニング」を開発し、2012年に電気自動車(EV)に採用された。夏場は天井を通して浸入する熱エネルギーを同社従来製品と比べ約4割削減し、冬場は車内から放出する熱エネルギーを同約2割抑制する効果がある。冷暖房の作用を効率化することで、EVの実用電費向上に貢献する。
車の天井部分は、鋼板製のパネルと内装部品で構成。夏は日差しで暖まったパネルの温度が100℃近くにも達し、この熱エネルギーの多くが輻射により車内に伝わる。同社は発泡ウレタン材など5層で構成する内装部品の最裏面層に、アルミニウム蒸着フィルムを採用。反射率の高いアルミが車外の熱を遮り、車内の熱の放出を防ぐ。従来は最裏面層を通気止めフィルムとし、ホットプレスで5層を一体成形していた。
「遮熱ヘッドライニング」は、通気止めフィルム自体に反射機能を持たせることにより従来設備を活用し、重量と生産コストを従来とほぼ同等に抑えた。今後は冬場の効果向上なども進め、低燃費自動車への受注拡大を積極化する。

Voice
河西工業 取締役社長 兼 社長執行役員 渡邊 邦幸 氏

栄えある賞を賜りましたこと誠に光栄に存じます。
「遮熱ヘッドライニング」は、従来の断熱構造の欠点である重量・コスト増を払拭し、より多くの自動車にお使い頂き二酸化炭素(CO2)削減に貢献したいとの思いで開発をしました。開発に当たり改めて熱貫流メカニズム分析を行い、その結果から放射伝熱対策に特化し、既存の製造工程で製造可能な製品構造を見出したことで目標達成ができました。当社の強みである先行開発から製造までの総合開発力が産み出した成果と思っております。
今回の受賞を励みに、今後も社会に貢献できる製品を造ってまいる所存です。

燃焼時に発生するCO2を削減するラベル「エコナノ」

サトーホールディングス

製品概要

サトーホールディングスは、東京理科大学の阿部正彦教授と東京理科大発ベンチャーのアクテイブと共同で、「燃焼時に発生するCO2を削減するラベル『エコナノ』」を開発した。ラベルの粘着剤部分にCO2吸収剤の基になるナノベシクルカプセル(ナノカプセル)を撹拌して練り込むことで、ラベルを焼却処分した際に発生するCO2量を非エコナノラベルの燃焼時に比べ20%も吸収・削減する環境配慮型ラベルだ。既存のラベル専用プリンタに設置して使える。
もともと、ナノベシクルカプセル技術は、がんや遺伝子治療など病気治療のために作り出された薬を運搬する器。その器に金属水酸化物などのCO2吸収剤をナノサイズのカプセルに内包させている。ラベルを燃やす時の熱(300~700℃)でこれらの物質が化学反応を起こし、有害物質を含まない灰だけが残る仕組み。今後、病院における患者取り違えを防ぐリストバンドのほか、チケット、カーボン・リボンなどのサプライ製品に用途を拡大する計画だ。

Voice
サトーホールディングス 常務執行役員、サトープリンティング 社長兼サトーマテリアル 社長 宇敷 謙二 氏

このたびは栄えある賞をいただき、心から感謝申し上げます。
サトーグループは、これまで「本業を通じた社会貢献」をモットーに環境負荷の少ない製品の開発に取り組んで参りました。今回受賞した「燃焼時に発生するCO2を削減するラベル『エコナノ』」はその代表格です。CO2削減量は、2割程度と微量ですが生産・流通・消費といった各シーンで使用されるラベルがエコナノになれば、大量のCO2排出量を抑えることができ、地球温暖化防止に貢献できると考えています。
この受賞を励みに、今後も環境保全製品の一層の充実を図ってまいります。

純国産重歩行フローリング

マイウッド・ツー

製品概要

マイウッド・ツーは、輸入材が中心のフローリングでは珍しい「純国産重歩行フローリング」を開発した。同社は、2002年に軟らかい杉材を圧密化し、硬度や耐摩耗性を高めてフローリング表面材として利用することに成功。今回、この圧密化技術を高度化。台板を主流の輸入ラワン合板に比べ、軟らかな国産ヒノキ合板に変更した。
ヒノキ合板は、剛性がラワン合板より低い。ヒノキ合板を台材に使うと表面に貼るスギ圧密材の変形に合わせ、全体が変形する恐れがあった。このため、スギ圧密材の養生や乾燥方法を見直し、吸湿や乾燥による変形を抑えた。さらに、ヒノキ合板の厚さを従来比3mm厚の15mmとし剛性を向上。スギ圧密材とヒノキ合板の貼り合わせ時の接着剤塗布量の管理も厳密化し、成形後の変形を抑えた。
同製品は、国産材を有効利用するだけでなく製品性能自体も高い。台板に木材繊維の密度が低いヒノキ合板を採用したことで柔軟性が高く、転倒時の衝撃を吸収しやすい。同様に密度が低いため木材内の空気層も多く断熱性や防音性にも優れる。

Voice
マイウッド・ツー 代表取締役 福山 昌男 氏

もともと未利用資源である国産の杉やヒノキといった人工林早生樹の利用促進を図るため為に、木材の圧密技術と圧密木材製品「つよスギ」を開発しました。試行錯誤の結果、この圧密化技術を高度化し、ようやくオール国産材のフローリングが完成しました。
今回、このような栄ある賞を頂き、社員一同喜んでおります。現在、国による国産材活用の機運が高まっております。圧密技術による重歩行フローリングという新市場を開拓してきたパイオニアとしてこれからも地元の森林資源を地元で消費する「地産地消」の取り組みに参画しつづけたいと考えております。

LNGタンク用7%ニッケル-TMCP鋼板

大阪ガス、トーヨーカネツ、新日鉄住金

製品概要

大阪ガス、トーヨーカネツ、新日鉄住金の「LNGタンク用7%ニッケル-TMCP鋼板」は、液化天然ガス(LNG)タンクに使用する高張力鋼板。鋼板のニッケル含有量を従来の9%から7%に低減することで、ニッケル使用量を約22%低減。LNGタンクの内槽用鋼材コストを約10%削減した。
鋼板の熱処理法に熱加工制御(TMCP)技術を適用。また化学成分を最適化することで9%ニッケル鋼板と同等の強度を確保した。希少金属であるニッケルの資源保全に寄与するほか、ニッケルの価格変動リスクを抑制する効果もある。 2006年に大阪ガス、トーヨーカネツ、新日鉄住金の3社で鋼板の実用化に向けた共同研究を開始。性能を確認し、大阪ガス泉北第一工場(堺市西区)の5号タンク(容量23万m3)に採用、約3800tを納入した。
同鋼板は、13年3月に日本工業規格(JIS)の低温圧力容器用ニッケル鋼鋼板に「SL7N590」として規格化、6月に米国機械協会(ASME)規格にも登録された。今後、天然ガスインフラを支える材料として需要拡大が見込まれる。

Voice
マイウッド・ツー 代表取締役 福山 昌男 氏

このたび、大阪ガス、トーヨーカネツ、新日鉄住金の3社で「環境関連部品賞」を頂戴しました。希少な金属資源であるニッケルの保全を目的に開発してきた製品であるだけに、環境関連部門賞に選んで頂けた事を何よりも嬉しく思っております。
現在、この鋼板を使用した世界最大級のPC(プレストレスト・コンクリート)-LNGタンクの建造が順調に進んでいますが、国内外から新たなLNGタンクに適用したいとのお話も多く頂いており、地球環境にやさしい鉄鋼材料として益々のご愛顧を頂ければ幸いです。