ものづくり日本会議

2013年受賞部品

生活関連部品賞

オーダーメイド人工乳房

池山メディカルジャパン

製品概要

乳がんなどで乳房を失った女性に「乳房を取り戻してほしい」との思いを形にした。池山メディカルジャパンの「オーダーメイド人工乳房」は、人体に無害なシリコーン製の乳房を体に医療用接着剤で接着する。市販の下着をつけたり、温泉やスポーツを楽しんだりするなど、手術後患者が難しかった”普通の生活”を可能にする。
患者の体を歯科用印象材で型をとり、石膏で複製する。石膏型にシリコーンを積層し、硬化したら着色。製造途中で患者に合わせ、要望を聞きながら微調整するため、再現性が高い。表面を積層することでシリコーンの光沢感を抑え、より人肌に近づけた。
人工乳房の辺縁部を薄くして、人工乳房と地肌の境界部分をわかりにくくした。さらに血管やホクロなど細部まで表現し、より本物に近く仕上げる。
「再建手術に適さない患者の心と体を救う唯一のもの」と医療関係者の評価も高い。手作業のため、完成まで約3カ月を要すが、人間の温かみを大切にした、命を吹き込んだモノづくりを貫く。

Voice
池山メディカルジャパン 代表取締役社長 池山 紀之 氏

このたびは「生活関連部品賞」を受賞させていただき、誠にありがとうございます。
当社は、乳がんなどで胸を失った女性に笑顔を取り戻してもらうため、オーダーメードで人工乳房をお作りしています。シリコーンを使った、本物のお胸と見粉うような乳房です。その乳房は人工ではありますが、一つひとつに命を吹き込み、必要とする多くの女性の心のすき間を埋め合わせする「モノ」でもあるのです。
このような素晴らしい賞をいただき社員一同、さらに胸を張って世界中の女性に笑顔と希望を取り戻して頂くために専心していく所存です。

耐脱亜鉛黄銅棒Z00

サンエツ金属

製品概要

サンエツ金属の「耐脱亜鉛黄銅棒Z00」は、熱処理の必要がない水用合金として開発した。水栓や継ぎ手などの水用配管器具に使用される従来の黄銅合金は、水への亜鉛溶出による腐食現象を抑えるため熱処理を行う。
今回開発した合金は、独自の合金設計手法に基づき、微量元素添加により亜鉛の溶出を抑え、熱処理の省略に成功した。熱間鍛造やロウ付けなどの熱履歴を伴うユーザーの2次加工後の再熱処理も必要ない。国内で水用合金として大量に使用されている青銅との腐食摩耗を比べてもまったく遜色ない。
「耐脱亜鉛黄銅棒Z00」は、素材の低コスト化や中空鍛造が可能な熱間鍛造性、複数回ロウ付けしても劣化しない耐脱亜鉛性などの特徴がある。青銅材に比べ高強度で耐応力腐食割れ性に優れ薄肉化ができ、複雑な形状にも対応する。熱処理を省略することで、製造コストが15%減、納期を18日から15日に短縮できる。2次加工後も再熱処理がいらないため、再熱処理による納期が2日間短縮でき、これまたコストが10%削減できる。高価な青銅の代替品として期待できる。

Voice
サンエツ金属 代表取締役社長 釣谷 宏行 氏

「耐脱亜鉛黄銅棒Z00」が「生活関連部品賞」を受賞することができ、大変感激しております。これまで黄銅素材の耐食性向上には、数百℃で数時間加熱処理が不可欠とされてきました。
今回の受賞は、この熱処理を不要にすることができたらどんなに良いだろう、と考えてみたことがきっかけです。新素材「Z00」によって熱処理不要を実現した開発力もさることながら、そういう合金を開発したらお客さまに喜んでいただける、と思いついた着眼点が何よりも大切だと思っています。
これからも常識を疑ってみる姿勢を大切に、新たな製品開発に取り組んで参りたいと思います。

パルス駆動型電子膨張弁

富士電機

製品概要

富士電機の「パルス駆動型電子膨張弁」は、自動販売機の冷却加熱装置の冷媒循環量制御に使う部品。四季のある日本で1年間通して、自販機の省エネ化に貢献する。「パルス駆動型電子膨張弁」を導入することで、2009年モデルの自販機に比べ消費電力量を50%低減した。一般的な絞り弁構造による流量制御ではなく、スプリングを持つディスクでオリフィスの微小径開口を開閉するのが特徴。開閉時間の割合を変更することで、冷媒の広範囲な流量制御を可能にしている。
自販機の省エネ改善はヒートポンプ化以降、ここ最近は横ばいが続いていた。一般的な自販機は夏場、春秋、冬場の季節ごとに主に3つの冷温設定を使い分けている。飲用に適した温度の商品を常時蓄積しており、庫内でモノの通過熱量を調整する加熱冷却が必要。夏場と冬場では最大8倍の負荷の差がある。
8倍の負荷変動に応じた冷媒循環量を調整するのは、インバーターによる圧縮機の回転数制御だけでは難しい。冷熱ユニットは圧縮機、凝縮機、蒸発器などで構成しコストに制約もあったが、その点もクリアした。

Voice
富士電機 執行役員常務 食品流通事業本部長
朝日 秀彦 氏

今回、当社の開発した「パルス駆動型電子膨張弁」が「生活関連部品賞」という名誉ある賞を頂き大変光栄に思っております。 この部品により、街中にある飲料自動販売機において、日々変化する気温や売れゆきに応じて自動的に最大の省エネ効果が得られる冷凍機を実現しました。従来の電子膨張弁に比べ、冷媒流量を幅広くかつ細かく変化させることができるので、制御が容易となると共に、長寿命と高いシール性を単純な構造で実現したことが特徴です。この技術は、冷凍機器分野への幅広い適用が期待できるため、今後も社会に貢献できる応用機材の開発に取り組んでまいります。

人工炭酸泉生成装置「デノロ・ビーダ」

フジデノロ

製品概要

フジデノロの「人工炭酸泉生成装置『デノロ・ビーダ』」は、電気やポンプを使わず、40℃の湯で1000ppm(ppmは100万分の1)の高濃度炭酸泉を作ることができる。
炭酸泉は、二酸化炭素が溶け込んだ湯で体を温めるほか、美肌効果などがあるとされる。同装置は一般的な湯張り方式と違い、炭酸泉をシャワーヘッドから吐出する。炭酸泉は毎日、長期的に使うことで、そのメリットを享受できるとし、自宅で手軽に楽しめるよう炭酸ガスボンベだけでなく専用炭酸タブレットでも使えるようにした。価格も8万9800円と抑えた。
同装置では、水圧を利用して二酸化炭素を水に高効率で溶解する独自機構を採用した。今回、同装置のために新たに水圧でバルブを開閉して二酸化炭素の流れを制御する特殊気体制御弁を開発。二酸化炭素の制御をシャワーのオンとオフに合わせ、自動制御できるようにした。
操作も簡単で二酸化炭素の漏れの心配がなく、通常通りの使い方で使用できる。2012年のグッドデザイン賞を受賞したデザインも売りである。

Voice
フジデノロ 代表取締役 渡辺 樹志 氏

このたび「生活関連部品賞」の受賞を拝し、大変光栄に存じます。 「人工炭酸泉生成装置『デノロ・ビーダ』」は、広く一般家庭の皆様に、毎日のバスタイムで手軽に炭酸泉を使って頂きたい思いで開発をしてまいりました。本格的な炭酸泉を自宅浴室のシャワーの水流だけで、電源工事不要で使えるように工夫した画期的な製品です。当社の主力事業であるプラスチック加工の技術を生かし、デザインにもこだわりました。 今回の受賞を励みに、フジデノロはヒューマンヘルス分野で新しい価値を創造し、社会に更なる貢献をしていく所存です。