自動車部品賞
耐傷付き性向上 軽量発泡成形ドアトリム
河西工業
製品概要
河西工業は補強材を含まない樹脂「ノンフィラーポリプロピレン(PP)」を使った射出発泡成形技術を開発し、自動車ドアの内装トリム部品で従来の非発泡成形品と比べ18%の軽量化や同等の傷つきにくさを実現した。
発泡剤を混合したPPを射出する前に、金型内を高圧の空気で満たして発泡を抑える工法を採用。金型と接する外層を固めた後、型を少し開いて内層を発泡させて板厚を向上する。従来は射出と同時に発泡し、製品表面に発泡跡が残り外観不良が発生。仕上げに塗装が必要だったが、無塗装で非発泡成形品と同等の外観を実現した。
一方、同工法では高圧の空気が樹脂と金型表面に巻き込まれ、製品表面に凹凸が残る「ゆず肌」が発生。PP材の改良や空気注入のタイミングなど成形工程の最適化により凹凸の発生を抑えた。従来は補強材によりゆず肌発生を抑制していたが、耐傷付き性の低下などを招いていた。同技術は低コスト化も実現しており、すでに内装トリム部品が日産自動車に採用されている。
Voice
河西工業 社長 堀 浩治 氏
このたび2013年の「遮熱ヘッドライニング」に続き、栄えある賞を賜りましたこと誠に光栄に存じます。
「耐傷付き性向上 軽量発泡成形ドアトリム」は、従来の発泡成形の大きな課題である外観不良を払拭し、VOCレス、軽量化、耐傷付き性向上を達成することで環境対応とお客様の満足を両立させることができました。
開発に当たり、当社の強みである樹脂成形や金型、材料、そして計測技術の総合力を発揮することによる成果と思っております。
今回の受賞を励みに、今後も更に社会に貢献できる製品を造ってまいる所存です。
環境対応車向けトラクションインバーター
日立オートモティブシステムズ/日立製作所
製品概要
日立オートモティブシステムズの「環境対応車向けトラクションインバーター」は、特徴的な冷却方式で、内部のパワーモジュールの放熱性能を向上して小型・高出力化したことが特徴だ。パワーモジュールはパワー半導体を多数集積しており、インバーター内で発熱が大きい。新たに直接水冷両面冷却方式を採用し、同社従来製品に比べ放熱性能を35%向上した。同時にインバーターでは、同社従来比40%の小型・高出力化を実現した。
小型化したインバーターは独ダイムラーの世界最高レベルの性能水準を満たし、メルセデス・ベンツ初のプラグインハイブリッド車(PHV)「S500プラグインハイブリッド」と「S550プラグインハイブリッドロング」に採用された
同インバーターは日立オートモティブの第3世代の製品。第2世代までは半導体の片面を冷却していたが、第3世代ではパワーモジュールを冷却水に浸漬させて半導体の両面を冷却している。
Voice
日立オートモティブシステムズ
パワートレイン&電子事業部電子設計本部本部長 石川秀明氏
このたびは「自動車部品賞」を賜り誠にありがとうございます。本インバーターは独ダイムラーのプラグインハイブリッド車に採用されました。これまでも当社製品は直冷方式のパワーモジュールを採用し小型化・高出力化を特徴としてきましたが、本製品ではさらに冷却方式を片面から両面へと進化させるために多くの新しいものづくり方式を開発しました。日立発のものづくり力が海外に認められた証がこのインバーターであり、受賞は本当に喜ばしく思います。
今後も当社は地球環境と安全に配慮した電動化車両の進化に貢献していく所存です。