電気・電子部品賞
監視カメラモジュール DI-SC221/231/233
日立製作所/日立産業制御ソリューションズ
製品概要
日立製作所と日立産業制御ソリューションズは、強い光の反射で起きる「白とび」を瞬時に補正し鮮明な映像を撮影できる監視カメラモジュールを開発した。監視カメラや車載カメラ、ビデオカメラなどに幅広く応用できる。電子機器メーカーにカメラモジュールとして販売する。
白とびのような明るい被写体が入った場合、露出を自動で調整して明るさを抑える。露出調整には通常は1秒程度の時間が必要だが、日立は0.23秒以内に短縮。自動車など高速で動く被写体に白とびが起きても素早く露出を調整する。
明るさを抑えると「黒つぶれ」が発生する恐れがあるが、黒つぶれを防ぐ技術も開発した。映像内の局所的な明るさ分布を分析し、コントラストが低下している部分を検出。明るさの分布が同じになるように補正する。
視認性が低く、被写体が高速で動く環境下でも撮影できることから、監視カメラ市場での需要を開拓する。
Voice
日立産業制御ソリューションズ 取締役 斎藤 章氏
長野敬氏
このたびは「電気・電子部品賞」をいただき、誠に光栄です。監視カメラの用途は、ますます必要とされている防犯に加え、交通事故や違反、自然災害などの監視、さらに映像の解析・活用によるお客さまの業務・管理支援にも拡大しつつあります。今回受賞した監視カメラモジュールは霧や夜間の暗がり、ヘッドライトによる逆光などで被写体が見えにくい環境においても、鮮明な監視映像をご提供することにより、お客さまのご要望にお応えするものです。受賞を励みに、引き続き安全・安心な社会に貢献できるよう開発に取り組んでまいります。
缶自動販売機用DC駆動搬出機構(DCベンドメカ)
富士電機
製品概要
富士電機は消費電力量を従来比10分の1に抑えた自動販売機用搬出機構を開発した。缶飲料などを搬出する機械で、低電圧ながら高速での往復動作出力が可能な低電圧DC駆動ユニットを作成。省エネや高電圧リスクの除去を可能にした。また商品詰まりによる異常検知も実現した。
飲料用缶やペットボトルの自販機に搭載する。従来は搬出機構の駆動源として動作特性を満たすACソレノイドを利用していたが、絶縁構造や昇・降圧が必要だった。
そこで低電圧DC駆動ユニットとして、DCギアモーターにカム・リンク機構を組み合わせた新構造を採用。AC100VからDC24Vの低電圧駆動への切り替えに成功した。これにより低電圧・省電力で駆動できる。
また故障を検出する機構を採用し、商品が詰まった際に返金や他商品への選択を行える。売り切れ検知構造も残数2本での検知から同1本に変更。販売面での機会損失を低減した。
Voice
富士電機 執行役員常務 食品流通事業本部長 朝日 秀彦氏
「缶自動販売機用DC駆動搬出機構」が名誉ある賞を頂き、大変光栄に思っております。本部品は自動販売機の基本機能ともいうべき販売機能を担っております。今回使用電力を大幅低減し、絶縁・焼損のリスク軽減や海外規格認証取得の容易化を可能とし、さらに従来不可能であった商品詰まりによる異常検知を実現したことで、自動販売機の販売信頼度の大幅な向上に寄与できたと考えております。今後も海外での活用や、検知機能の応用による新機能の提供を想定しており、お客さまに喜んでいただけるモノづくりに取り組んでまいります。
高精細カメラモジュール用液晶性ポリマーコンパウンド
「ザイダーCMシリーズ(低発塵型)」
JX日鉱日石エネルギー
製品概要
JX日鉱日石エネルギーが開発した「ザイダーCMシリーズ(低発塵型)」は、高精細カメラモジュール向けに特化した液晶ポリマーで、2013年に売り出された。耐熱性や難燃性、精密成形性、寸法安定性、強度、弾性などに優れ、主に電気・電子部品材料として使われているスーパーエンジニアリング・プラスチック「ザイダー」のシリーズ製品の一つだ。
スマートフォンやタブレット型パソコンなどに搭載されるカメラモジュールでは高画素化が進むのに伴い、部品の組み立て工程や落下衝撃信頼性試験での表面剥離による発塵が大きな問題として浮上してきた。CMシリーズでは同社独自の混練技術で発塵を抑え、高画素化にも容易に適応できるようになった。
さらにはベース樹脂の改良や配合技術の高度化などで、樹脂としての性能も高まった。これによって従来の技術では対応が難しかった精密成形性や寸法安定性の維持といった課題も、克服できたという。
Voice
JX日鉱日石エネルギー
常務執行役員機能化学品カンパニー・プレジデント 中野 治雄氏
「ザイダー」は主に電子部品材料として使用されており、今回受賞した「CMシリーズ(低発塵型)」は、高精細カメラモジュール向けのグレードとして開発した商品です。
スマートフォンやタブレット型パソコンなどに搭載されているカメラモジュールは、高画素化が進む中で、表面剥離による発塵をいかに減らすかが課題なとっていました。本商品では当社独自の混練技術の採用により、発塵の低減を実現しました。
当社の機能化学品事業部門は新商品開発・新事業創出のスピードアップを目指し、2014年4月に社内カンパニーに移行しました。今回の受賞を励みに、お客さまの便益にかなう優れた商品を早期に市場に出すことに一層努めてまいります。
ニューロ視覚センサ「ブレイン・ニューロ」
テクノス
製品概要
テクノスの「ブレイン・ニューロ」は、目視144倍の微細欠陥検出精度と、人間の目の100倍の精度で色ムラを検出可能にし、見逃しも過検出もない自動外観検査を実現している。人間の脳機能を電子回路化した空間フィルタ処理により、正確な位置合わせをしなくとも検査対象物の位置に影響を受けずに自動検査ができる。
自動車や家電製品の他、スマートフォンや太陽電池関連など製造業の製品外観検査やインフラ事業など用途は幅広い。4Kカメラの28台分を同製品1台で検知できる精度を備えている。画素中をさらに分解・検査し微細欠陥を検出、被写界深度が従来の6600倍と深く、立体形状物検査が可能な実用的なシステムだ。4m離れた位置から、自動車1台分の1900mm幅がピント範囲となり、20μmのキズも検知できる。見逃しや過検出を防止し、環境配慮しているだけでなく、正確な良否判定ができることで、信頼性や安全性に貢献している製品だ。
Voice
テクノス 社長 山田 吉郎氏
このような栄えある賞をいただきありがとうございます。テクノスは今年創業50周年を迎えることができました。受賞した「ブレイン・ニューロ」は“目”の細胞構造や動きを電子回路化することによって、原理は人間の目でありながら精度は微細欠点に関しては目視の144倍、色ムラ検出に関しては100倍の精度をもち、さらに判断機能に人間の脳機能を組み合わせることによって、人間の視覚系の電子回路化を達成したものです。
テクノスは次の50年もお客様とともに難題を解決するパートナーとして進み続けていきたいと考えています。