2015年受賞部品

環境関連部品賞

パワーマネジメント装置

指月電機製作所

製品概要

 指月電機製作所の「パワーマネジメント装置」は、DC/DCコンバーターと蓄電器で構成する電力制御装置。クレーンや搬送機、昇降設備などに組み込み、回生電力の活用で消費電力を最大30%削減できる。ロボットや工作機械、射出成形機のピークアシスト、ロボットなどのピークカット用途のほか瞬時電圧低下(瞬低)・停電対策用途でも拡販する。
 駐車装置やクレーンなどの回生エネルギーを蓄えて電力に変換し、上昇時などに使える。蓄電器は内部抵値が低い自社の電気二重層キャパシター(EDLC)やリチウムイオン電池など、顧客の用途に応じて提案。同社のEDLCと組み合わせれば急速な充放電が可能だ。
 従来のカスタム対応に加えて定格補償容量10kW-50kWまでの標準品もそろえ、豊富なラインアップから顧客が選べるようにした。食品関連製造装置の瞬低・停電対策向けで採用実績を積むなど、新たな分野も開拓している。

Voice
指月電機製作所 社長 伊藤 薫氏

 このたびは「環境関連部品賞」を頂戴し、誠にありがとうございました。この「パワーマネジメント装置」は、節電と停電対策を目的に開発いたしました。搬送機や昇降機の分野では回生電力を再利用することで使用電力削減を30%実現、大型工作機械との組み合わせでピーク電力を50%抑制し、省エネ効果のある装置としてご採用頂いております。また、10年間メンテナンスフリーで経済性でも大きく貢献できる装置です。電気エネルギーをさらに無駄なく、効率よく使用できるように、今後も環境と省エネに貢献する商品開発を進めてまいります。

燃料電池自動車用リリーフバルブ

太平洋工業

製品概要

 太平洋工業は燃料電池車(FCV)の水素タンクの減圧弁に取り付け、安全を確保するリリーフバルブ(安全弁)を製品化した。弁体内に配置したスプリングで規定荷重を設定し、水素配管内圧による開閉を制御する。
 自社で手がける自動車のコンプレッサー用リリーフバルブで培ったシール技術と圧力制御技術を生かした。2014年12月にトヨタ自動車が発売したFCV「MIRAI(ミライ)」に搭載された。
 タンクから供給される高圧水素は、減圧弁によって燃料電池スタックで使用可能な圧力に減圧される。同製品は、減圧弁より下流のシステムが規定圧力以上になると開弁し、規定以下になると閉弁してシステム内の異常圧力上昇を防ぐ。
 上流の調圧不良で高圧水素が下流に流入しても同製品が適正に開弁し、水素ガスを放出、システムを保護する。量産車両に必要な作動耐久性を実現しつつ、08年のプロトタイプに比べてコスト70%減を図った。

Voice
太平洋工業 取締役常務執行役員 粥川 久氏

 このたびは栄誉ある「環境関連部品賞」を賜り、誠にありがとうございます。「燃料電池自動車用リリーフバルブ」は、当社のコア技術の一つであるバルブ事業を通じて培ったシール技術、圧力および流体制御技術を応用して開発した製品です。トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」の安全を支える目的で開発してきた製品だけに、環境関連部品賞に選んで頂けたことを大変うれしく思い、また関係者の皆さまに感謝致します。
 今回の受賞を励みとして、これからも環境と安全に貢献する製品を開発し、提供できるよう更に努力する所存です。

安全性と耐久性に優れた「燃料電池用水素対応ブロワ」

テクノ高槻

製品概要

 電磁式ダイヤフラムを採用した安全性と耐久性の高い燃料電池用水素循環ブロワ。電磁式ダイヤフラムブロアは摺動部がないことからオイルフリーで耐久性にも優れているが、気密性の保持が難しく可燃性ガス搬送には課題があった。このため、永久磁石と電磁石の間に隔壁をもうける構造を開発。仮にダイヤフラムが破損しても可燃性ガスが電磁部へ流入せず安全性を確保できる設計にした。
 燃料電池システムのスタックで反応しきれなかった水素を吸入し、昇圧して再度スタック上流へ戻すための水素循環ブロアは、現在は高価な防爆仕様コンプレッサーを用いることが多い。安価で耐久性が高く安全性も確保したブロアは、燃料電池の普及に役立つ。
 燃料電池システムは可燃性ガスに高温の水蒸気が含まれることからシステム停止時の結露も懸念されているが、同社は吸入口から吐出口にかけて勾配を設けることで排水機能を持たせ、換気運転を不要にしている。

Voice
テクノ高槻 常務取締役 大西 洋司氏

このたびは、栄えある「超モノづくり部品大賞 環境関連部品賞」を頂きましたこと、誠に光栄に存じます。
 本部品は、スタックで消費されなかった水素を上流側に返送するための部品であり、九州大学と連携して開発した製品になります。分子構造が極めて小さい水素を安全に昇圧するため、弊社では隔壁構造などの新たな特許技術を開発するほか、世界最先端である九州大学の試験設備を活用する事で、様々な実証データを有する製品として完成させました。
 今後は本技術を水素リッチガスの昇圧・搬送にも展開させることで、水素社会の早期実現に貢献していきたいと考えております。