ものづくり日本会議

2015年受賞部品

生活関連部品賞

防食保護キャップ ジンクハット

エイ.アンド.エス.システム

製品概要

 エイ.アンド.エス.システムの防食保護キャップ「ジンクハット」は、アンカーボルトやボルト・ナットにかぶせて取り付け、電気防食作用でサビを長期にわたり防ぐ。取り付けはスパナを使って簡単、取り付けた後はメンテナンスの手間がかからない。サビを防いで建物や構造物の安全・安心に貢献する。
 高純度の亜鉛を材料に低圧の鋳造で作る。異種の金属同士が接触すると、電位差によって一方が偏って腐食する犠牲防食原理を応用している。この原理は古くから知られてはいても産業利用は限定的だった。同社の新井勇社長が屋根のネジのサビを防ぐ方法を模索して、粘り強く取り組んだ。最適な成分、形状の追求や、キャップ内の結露を利用する発想などがミソ。リサイクル性にも優れる。
 高速道路の遮音壁の締結部に無地のタイプが大量採用されたのをはじめ、採用例が広がっている。色のバリエーションも豊富にそろえて、意匠性を意識した需要も狙っている。

Voice
エイ.アンド.エス.システム 社長 新井 勇氏

 これが自社ブランド製品の第1弾です。当社のメッセージを形にしたものが認められて、大変うれしく、光栄に思います。これを一つの励みに、安全・安心、独創的、感動をキーワードに今後も取り組んでいきます。
 阪神・淡路大震災を契機に建築物・構造物の安全・安心に関心が高まりました。ジンクハットは開発までに時間がかかりましたが、商品化した後は順調すぎる面があり、気を引き締めています。
 奈良県に拠点を置き、地元から厚く支援を受けています。広く世界への発信と、地域おこしにも役立ちたいと考えています。

BX止水板 ラクセット

文化シヤッター

製品概要

 文化シヤッターの「BX止水板 ラクセット」はゲリラ豪雨などによる建物内への浸水を防ぐアルミ製の止水板。開口部に金具で固定するだけで簡単に設置できる。開口1600mm、高さ350mmのパネルで重量は約9kg。1人で設置場所へ運び、約2分で設置を終えられる。
 左右1カ所ずつに取り付け用金具があり、ノブボルトを回して開口部に固定する。さらに「パチン錠」を下げるとアルミ製パネルの左右・底面に設けた止水ゴムがつぶれて床と側面にパネルが密着し、水の浸入を防ぐ。
 これまでの止水板はパネル固定用の部材を事前に取り付ける工事が必要で、建物の意匠性を損なう懸念もあった。ラクセットは工事不要で自動ドアや自由開き扉が設置された開口部、仕切りのない開口部など多様な場所に取り付けられる。
 設置後も扉を開閉でき、パネルをまたぐ形で建物内に出入りできるため、出入り口が1カ所しかない場所でも使いやすい。

Voice
文化シヤッター 商品開発部 廣瀬 誠氏

 「BX止水板 ラクセット」は金具の機構を工夫し、簡単でスピーディーに設置できるようにしました。アルミ製パネルと床面などを密着させるゴムには先行して開発した止水ドア「アクアード」と同じものを採用しており、しっかりつぶれて水を防ぎます。これからも水が浸入してくる1階部分のアイテムを追加し、建物の「丸ごと止水」を目指します。ニーズに合わせて適材適所の製品をつくっていきたいと思います。
 商品名の決定に当たっては私も候補名を応募しましたが、残念ながら選ばれませんでした。次は採用されるよう、知恵を絞りたいと思います。

苗移植ハンドユニット

椿本チエイン

製品概要

 繊細さと効率性が要求される苗移植を自動化する植物工場用ハンドユニット。生育に影響を及ぼす傷などのダメージを与えずにウレタンマットから小型苗を1株単位で分離し、次工程の育苗パネルの所定の深さまで確実に植える。
 爪の開閉と、高さ方向の移動・位置決めを高精度に行う独自技術を採用。通常、人手作業をそのまま機械化すると、光合成に関わる双葉や本葉の近くをハンドリングすることになるため、パネル上方からでなく下部からアプローチする機構を考案した。
 移植のスピードは1株あたり約3秒で熟練作業者と同等。また精度面では、苗の傾きを抑制でき、ハンドユニットの上下方向位置決め精度も±0・02mmと精密なため、人手の作業を超える。移植作業を完全自動化することで、人件費削減はもちろん、従来の作業者熟練度によるばらつきの回避にもつながり、植物工場で栽培される野菜の価格低減と品質向上に寄与できる。

Voice
椿本チエイン 社長 大原 靖氏

 当社の新事業としてアグリビジネスに取り組んでいる中、生活関連部品賞を賜り、光栄に存じます。
 葉物野菜の栽培現場において、苗の移植作業は人手による手間と時間が掛かっています。「苗移植ハンドユニット」では、作業者の動きを機械の動作に置き換えるのではなく、「挟む」「引っ張る」「所定の位置まで動かして止める」「離す」の基本動作を、一連の動作としていかにシンプルに自動化するかを目標に取り組みました。当社のブランドメッセージ「Innovation in Motion」のとおり、今後も“シンプル”にこだわり、農業の現場でお役に立てるイノベーションに挑戦していきます。

BCP(火山灰)対策用フィルタ「南風」

ユニパック

製品概要

 開発した火山灰対策用フィルタ「南風(なんぷう)」は、火山灰や100μm以上の粒子の侵入を阻止できる。その捕捉率は97%を誇り、従来の砂塵フィルタの約二倍、火山灰対策用としては日本で初めての外気取入口用フィルタとなっている。
 特徴は、二つ。一つがポリエステルモノフィラメント材質で実現した極小サイズ(80μm×80μm)の網目構造開口で、台風などの強風にも強く、速乾性にも優れている。二つ目の特徴は、風が通過する際に生じる微振動により「たなびき」が起き、捕捉した灰を自然落下させる。さらに今までのフィルタは、濾材内部に灰が入り込み、繊維層に残留し、降灰のたびにメンテナンスを必要としていた。しかし、同フィルタは濾材内部に侵入しないため年1回の水洗い清掃で済む。
 その他、砂塵や微小害虫なども捕捉し、一般向けから非常用発電施設、ITインフラ施設などの重要施設までのBCP対策に適している。

Voice
ユニパック 松江昭彦社長

 このたびはこうした賞を受賞できて有り難く感じています。今回の開発は、鹿児島県のあるビル管理会社から火山灰対策の話を持ちかけられたのがきっかけ。鹿児島県の桜島では、年間約800回の噴火が起きています。そこで働く人々は、窓際の机を拭くのが毎朝の日課になっていました。こうした人々に少しでも役立ちたいと開発に着手しました。私は、技術は、困っている人を助けようとした時にこそ進歩するものだと思っています。今回の開発では、人々の利便性を追求した結果の副産物などもありました。今後も、少数の声に耳を傾け、貢献していきたいと思います。