電気・電子部品賞
ワイヤレス脈波形MiKuHa(ミクハ)用イヤーセンサープローブ及び脈拍測定アルゴリズム
オータックス株式会社
製品概要
オータックスはワイヤレス脈拍計の装着部位の光学式イヤーセンサープローブと高精度で脈拍を測定するアルゴリズムを開発した。二つは同社とミズノの共同開発で、耳たぶにクリップを挟んで簡単に使えるミズノのワイヤレス脈拍計「MiKuHa(ミクハ)」に採用されている。
光学式イヤーセンサープローブは外光の影響を受けにくくするため、着脱可能なシリコンキャップを設けた。専用アプリケーションを入れたタブレット端末などにブルートゥースでデータを送り、脈拍数を確認できる。またアルゴリズムでは、加速度センサーを用いた周波数解析を行う。脈波成分と体動成分を検出し、体動成分を除去することで正確に脈拍数を割り出せる。
Voice
オータックス 社長付 医療機器開発責任者 細谷 真人氏
このたびは「電気・電子部品賞」をいただき光栄に存じます。
今回受賞した「イヤーセンサープローブ及び脈拍測定アルゴリズム」は、ミズノのワイヤレス脈拍計「MiKuHa(ミクハ)」に採用されました。
スポーツや医療施設、製造業などの作業現場では近年、運動量や体調把握の観点からバイタルデータ活用の重要性が増し、IoT(モノのインターネット)デバイスなどとの連携で幅広く利用されると期待しております。
今回の受賞を新たな開発への励みとし、社会に貢献できるモノづくりに引き続き取り組んで参ります。
リチウムイオン電池パックの出力電圧切替機構
工機ホールディングス株式会社
製品概要
工機ホールディングスの機構は、電動工具用カセット式リチウムイオン電池パックの出力電圧を、自動的に切り替える。これまで充電式電動工具の電池パックは単一の電圧出力のみで、工具の電圧に合わせて異なる電圧出力の電池パックを用意する必要があった。このため、新たに充電器を含めた電池システムを合わせて用意する必要があり、コスト負担が大きかった。
同社が受賞した機構は、広く流通している18ボルト電池パックとの互換性があり、組み合わせる電動工具に合わせて自動的に出力電圧を切り替える。
発売済みの約100機種の18ボルト製品に使え、36ボルトの電動工具に取り付けた際には36ボルト出力に自動で変わる。高電圧ならではの高効率な作業ができる。
Voice
工機ホールディングス 社長 前原 修身氏
「リチウムイオン電池パックの出力電圧切替機構」が栄えあるモノづくり部品大賞「電気・電子部品賞」を頂戴し、大変光栄に存じます。
プロユーザーは工具に、パワー、耐久性、精度に加え、どこでも思い通りの仕事ができる体験を求めています。当機構を搭載したマルチボルトシリーズはそれを実現します。
今回の受賞は、同シリーズを世界戦略製品に位置付けた新ブランド「HiKOKI」(ハイコーキ)にとって、幸先良い出来事になりました。
今後も進化する極上のユーザー体験を創造していくため、製品開発に取り込んで参ります。
次世代半導体プロセス用ダイヤフラムバルブ
株式会社フジキン
製品概要
フジキンの「次世代半導体プロセス用ダイヤフラムバルブ」は、耐久性向上と高精度化、製造コスト低減の両立を図った。高集積化が進む次世代半導体デバイスの成膜やエッチング工程で、ガス流量制御の高度化に対応する。
シール性能を保つ基幹部品のダイヤフラムの材質を改良したほか、可動域にかかる応力を最小化する部品形状への変更で、開閉耐久実績を1億8000万回と従来のバルブ比80%増にした。また個別バルブごとの機差をなくし精度を高め、部品点数削減などでコストも低減した。原子層レベルで成膜するALD(Atomic Layer Deposition=原子層堆積)など、ガス供給を高速で繰り返すプロセスに寄与する。
Voice
フジキン 首席常務取締役 技術本部長・CSR担当 山路 宮治雄氏
おかげさまをもちまして、今回で「モノづくり部品大賞」を15年連続で受賞させて頂くことができました。心より厚く深く御礼申し上げます。
半導体の高集積化に伴い、バルブも今まで以上の耐久性、流量精度が求められています。受賞製品である次世代半導体プロセス用ダイヤフラムバルブは素材、設計、製法を一新し従来品より大幅に高性能でコストパフォーマンスに優れたものとなりました。
私どもフジキンは、超精密ながれ(流体)制御機器の製品を通し、今後も半導体が支える豊かで安全・安心なAI・IoT社会づくりに貢献して参ります。
スマートフォンレシーバースピーカー用超極薄ミルフィーユコンポジット振動板
米島フエルト産業株式会社
製品概要
ミルフィーユコンポジット振動板はスマートフォンの耳元用スピーカーに使う薄型の振動板部品。厚さ0.1ミリメートルと薄型ながら高い剛性を持ち、スマホの音質向上・大音量化に貢献する。
スマホの小型化に伴い振動板も薄型軽量化が求められる中、従来の技術では薄型と高剛性が両立せず、耳元用スピーカーは低音質・低音量がほとんどだった。
米島フエルト産業は、硬質発泡体の薄型スライス技術と、アルミ箔の貼り合わせ技術を応用し、従来より薄く硬い振動板を開発した。スピーカーの高音質・大音量化が実現し、スマホからイヤホンなしで音楽を楽しむことが可能になった。
現在は大手スマホメーカー各社に、年間約4億個の振動板部品を供給する。
Voice
米島フエルト産業 代表取締役社長 米島 智哉氏
受賞企業は有名企業が多く恐縮するばかりですが、栄えある賞を頂き大変うれしいです。
当社はフエルト製造からスタートし、薄膜の貼り合わせに高い技術を持っています。「ミルフィーユコンポジット振動板」はお客さまからの要望で商品化に至りました。現在は大手のスマートフォンメーカー各社に採用いただいております。
本製品はスピーカーに留まらず、レーシングカーや航空・宇宙産業用途など、さまざまな分野に応用できる素材です。海外からの問い合わせが多い本製品ですが、今後は日本の先端技術にも貢献できればと考えています。
パワーセーブ機能付プッシュボタン ロードスイッチ「XC6192シリーズ」
トレックス・セミコンダクター株式会社
製品概要
トレックス・セミコンダクターの「パワーセーブ機能付プッシュボタンロードスイッチ『XC6192シリーズ』」は、マイコンと電源ICへの電源供給を完全に遮断でき、小型バッテリー駆動機器が抱える電源オフ時の消費電力削減に貢献する。
従来の機器はプッシュボタンなどで電源を起動させるためにはマイコンでソフト的に制御する必要があった。だが今回のシリーズのICは、IC自体でプッシュボタン信号を検知し起動させるため、そうした制御が不要。
電源のオン・オフは機器に搭載されているプッシュボタン信号を使う。電源をオン・オフする遅延時間は4段階で設定可能で、多機能ボタン化もできる。大きさは縦2ミリ×横2ミリ×高さ0.33ミリメートル。
Voice
トレックス・セミコンダクター 社長 芝宮 孝司氏
このたびは栄えある賞をいただき誠に光栄に存じます。
当社はこれまでアナログ電源IC専門メーカーとして小型、低消費の製品開発に尽力してまいりました。
今回開発したパワーセーブ機能付プッシュボタンロードスイッチICは、完全ワイヤレスイヤホンなどの小型バッテリー駆動機器や長期保存及び長期間動作が必要なIoTデバイスなどの小型バッテリー機器が抱えている電源オフ時の電力消費課題を解消するICとなっております。
今後も環境に優しい超低消費の電源IC作りで社会に貢献できる企業を目指して参ります。