2020年受賞部品

電気・電子部品賞

SiC MOS内蔵AC/DCコンバータIC

ローム

機器の小型化・省電力化に貢献

 「SiC MOS内蔵AC/DCコンバータIC」は、世界に先駆け、炭化ケイ素(SiC)金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を内蔵。産業機器の小型化と省電力化に貢献する。大電力を扱う汎用インバーターやACサーボ、産業用エアコンといった産業機器の補機電源向けで、同電源に搭載する制御回路とSiC MOSFETを1パッケージ化したのが特徴だ。
 補機電源で一般的に使われるコンバーターやトランジスタ、ダイオード、抵抗器、放熱板などの13製品を、1パッケージ化。補機電源の部品点数削減と大幅な小型化につながる。高耐圧・低損失が特徴のSiC MOSFET採用で電力損失は28%削減できる。従来必要だった各製品の選定、信頼性評価といった開発工数も減らせ、産業機器市場で採用や引き合いが増えている。

Voice
ローム 取締役上席執行役員CTO 兼 LSI事業統括 立石 哲夫 氏

 このたびは、栄えある賞をいただき、誠に光栄に存じます。
 ロームは、本年度、策定した経営ビジョンに「パワーとアナログにフォーカスし、お客様の“省エネ”・“小型化”に寄与することで、社会課題を解決する」を掲げております。受賞製品「SiC MOSFET内蔵AC/DCコンバータIC」は、これを象徴するもので、SiCパワーデバイスの性能を最大限に引き出し、産業機器の省エネ、小型化をより簡便に実現することが可能です。
 今後も得意とするパワー技術、アナログ技術を駆使した製品開発により、社会課題の解決に取り組んでまいります。

高耐熱波長板「Nanoable Waveplate」

ENEOS

耐熱性・耐光性に優れる

 「Nanoable Waveplate」は、独自位術のガラス基板へのナノインプリント技術でガラス基材表面に無機材料からなるナノメートルサイズの微細構造を形成し、光の進み方を制御する波長板。プロジェクター用波長板などへの活用を見込み、2017年に販売を始めた。近年、プロジェクターの光源はレーザー化に伴い高輝度・長寿命化が進んでおり、光源周りの部材も高い耐失性、耐光性が求められている。無機材料のみで構成する同製品は、従来のフィルム製品の波長板に比べて耐熱性、耐光性に優れる。2019年には耐熱性の動作温度を140度Cから200度Cまで引き上げ、部品の交換頻度のさらなる低減に貢献している。

Voice
ENEOS 常務執行役員 機能材カンパニー・プレジデント 河西 隆英 氏

 このたびは、栄誉ある「電気・電子部品賞」を賜り、誠にありがとうございます。
 「高耐熱波長板『Nanoable® Waveplate』」は、当社独自の無機インプリント技術を用いて、ガラス基材表面に形成した微細構造により、光の偏光状態を制御する波長板です。無機材料のみで構成されているため、高耐熱性、高耐光性が要求されるレーザープロジェクター用途など、レーザー光の光制御に最適な材料です。
 今回の受賞を励みに、今後も無機インプリント技術による新しい価値提供の実現を目指し、お客さまの便益に適った優れた商品を、早期に市場に出せるよう努めてまいります。

電池レス 熱電 EH 振動センサデバイス「KELGEN SD KSGD-SV」

KELK

故障を早期に予知

 「KELGEN」は、環境発電である熱電エネルギーハーベスティング(EH)を電源とした世界初の振動センサーデバイス。高速フーリエ変換(FFT)機能を搭載し、受熱面と雰囲気との温度差10度Cから動作する。振動する回転機器に搭載し、振動を定量的に継続してセンシングすることで故障を早期に予知し、修繕費などの損失軽減を見込む。
 従来、熱電EHは熱や振動など周辺環境の変化で動作不良を起こしやすいなどの課題があった。発電モジュールの「KELGEN」は、約5年の研究開発で、モーターなど回転機器から放出される微少の熱エネルギーを電力に変換する動作と高い耐久性を実現した。
 センシングしたデータは、速度RMS実動値、加速度RMS、PEAK値などでデータを出力。有線式や電池式のセンサーと比べて初期費用とランニングコストを削減できる。

Voice
KELK 代表取締役社長  斉藤 雅美 氏

 このたびは、栄えある「モノづくり部品大賞 電気・電子部品賞」を頂き、誠にありがとうございます。
 熱電EH振動センサーデバイスは、回転機器に置くだけで、わずか10度Cの温度差からの自己発電で動作し「電池レス・配線レス」で振動をモニタリングできる今までにない製品です。回転機器の故障予兆を検知する振動センサーの設置と運用のコストを削減することができ、設備保全のCBM化を促進します。
 熱電変換技術の活用を通じ、今後も熱電エネルギーハーベスティングによる「Society 5.0」の構築や温室効果ガスの削減、省エネルギー社会に貢献していきます。

レゾルバ付きステッピングモーター制御ソリューション

ミネベアミツミ/ルネサスエレクトロニクス

高精度にモーター制御

 ミネベアミツミとルネサスエレクトロニクスが共同開発した「レゾルバ付きステッピングモーター制御ソリューション」は、42ミリメートル角の中小型ステッピングモーターと同モーターを制御するためのソフトウエアなどをセットにした。ミネベアミツミが担当したレゾルバ(回転角センサー)付モーターは熱やホコリ、振動など厳しい環境でも高精度にモーター制御が可能で、高負荷でも止まらないのが特徴。ルネサスエレクトロニクスはデジタルコンバーター(RDC)とRDCを32ビット「RXマイコン」で制御するためのソフトウエアを開発した。
 同製品を利用することで、例えば倉庫や屋外などの厳しい環境でも高精度な動きをするロボットや無人搬送車を安価で開発できる。モーターが中小型のため、搭載する機器の小型化や低コスト化を実現する。

Voice
ミネベアミツミ 理事 小林 修司 氏

 このたび栄えある賞を、ルネサスエレクトロニクスとともに受賞でき、大変光栄に思います。
 長年車載分野で培ってきたレゾルバとステッピングモーターの技術を相合するとともに、同社との協業により、高い制御技術に加え省エネ、小型化、環境性能などの特性を持つ新製品の開発に成功いたしました。成長するロボティクス分野を通じサービス・産業・介護等にご使用いただき、持続可能の社会の実現に貢献できるものと考えております。

Voice
ルネサスエレクトロニクス IoTプラットフォーム事業部 ヴァイスプレジデント 黒田 昭宏 氏

 ルネサスエレクトロニクスの半導体技術とミネベアミツミのレゾルバとステッピングモーター技術という両社の得意とする技術を持ち寄り、協業した成果がこうした大きな賞をいただけて、大変誇りに思います。
 今回の開発によりステッピングモーターの脱調レスを実現し、モーターの特性を最大限まで引き出す事ができるようになりました。今後も、さらなる製品ラインアップの拡充やお客さまサポートにも両社で協力し、尽力してまいります。

小型高機能タイプインバータ GA500

安川電機

世界最小クラス 設置工数50%削減

 安川電機の「小型高機能タイプインバータ GA500」は、新インバーターシリーズのコンセプトである「多才」「使いやすさ」「安心」を兼ね備えた、世界最小クラスの小型高機能汎用インバーター。独自の永久磁石埋込型同期(IPM)モーター制御技術により、モーターの磁極位置を検出、運転することでゼロ速度100%トルクを出力可能とした。また、機械の総合効率を最大7%向上した。
 ほかにも、EMI(電磁妨害)フィルター内蔵、SIL(安全度水準)3認証取得で、従来機種の制御盤と比べて設置面積で最大60%、設置工数数で最大50%削減した。IoT(モノのインターネット)技術で各種情報をリアルタイムで抽出し、さまざまな産業用ネットワークを介してモニタリングすることで、生産管理の効率化や故障予兆が実現できる。

Voice
安川電機 インバータ事業部長 陣内 信朗 氏

 このたびは、栄えある「モノづくり部品大賞 電気・電子部品賞」に選出いただき、誠にありがとうございます。
 「GA500」は、永年にわたりご愛顧いただいた小型高機能汎用インバーター「V1000」の後継機として誕生しました。この間、地球温暖化防止、エネルギーの安定供給確保はグローバルな課題となり、電気の50%以上を消費するモーターへの対応が必然となりました。当社は、高効率でコンパクトなPMモーターを解決策に提案しており、このPMモーター駆動に最適なインバーターとして進化した「GA500」で社会の持続的発展に貢献してまいります。

放電検出ユニット「スパーテクト」の検出センサー

日東工業

電気火災を未然に防ぐ

 放電検出ユニット「スパーテクト」は、火災要因のうち、30%を占める電気火災を未然に防ぐ高周波でノイズの検出センサー。電気火災につながる「特定の高周波ノイズ」を検出するブレーカーの遮断だけでなく、ブザー音や発光ダイオード(LED)などで通知する仕組みとなっている。
 特定の高周波ノイズはコンセントの短絡や断線、トラッキングなどによる火花放電により生じる電気火災の前兆。同社研究部門の成果で、研究と開発双方が協力してゼロベースから商品化した。
 監視範囲は、30平方メートル圏内で壁内配線など目視が困難な場所でも検知できる。機器組み込み用以外に新設用の同ユニット付きホーム分電盤、増設ユニットの3種類を商品化した。従来の予防方法は、プラグ部分にホコリ予防を目的に後付けする安全カバーや、一部電気回路を遮断するプラグしかなかった。

Voice
日東工業 技術研究部長 伊藤 裕幸 氏

 栄ある賞をいただき、誠に光栄に存じます。人々の生活を裏で支える配電盤メーカーの顔だけでなく、災害を未然に防ぐ取り組みの一環が明るみに出たことに感謝します。
 今までにも強い揺れを検知した場合に自動的に電源を落とす「感震ブレーカー」を開発しました。しかし、認知されるまで多少の時間を要しました。今回開発した「スパーテクト」の認知向上はもちろん、喫緊の課題です。それ以外にも人々が安心して暮らせる社会に貢献できるよう技術躍進を図りつつ、研究に基づく製品開発に力を入れて取り組んでまいります。