2020年受賞部品

奨励賞

ドーム型ウーファー「DWF-60」

オオアサ電子

リビング向け全方位スピーカー

 ドーム型ウーファー「DWF-60」は、長田克司社長の「リビングに本物の音」を目標に開発した360度、全方位に広がる無指向性の低音域用スピーカー。聞き疲れのないクリアな音を目指し、スピーカーの形状を従来の円すい型からドーム型へ変更した。
 強度が求められる振動板には、産業技術総合研究所と森林研究・整備機構森林総合研究所が開発した国産スギ由来のバイオ素材「改質リグニン」を配合した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を採用。剛性を保持し、無指向性と最適な音を実現した。
現在、同製品は高音域用スピーカーと独自のアクティブホーン(特殊音道)とを組み合わせ、全方位スピーカーシステムとして販売している。

Voice
オオアサ電子 代表取締役社長 長田 克司 氏

 「DWF-60」で無指向性を目指した理由は、他社と差別化を図らないと、生き残れないと考えたからです。全方位に合った音のため、振動板の素材として「改質リグニン」に着目しましたが、炭素繊維強化プラスチックとの配合に最も苦労し、製品化に歳月も要しました。
 今回の受賞は、開発を支援いただいた産業技術総合研究所と森林研究・整備機構森林総合研究所をはじめ、お世話になった方々にも喜んで頂けると思います。今後も、こういった新しい素材に着目し、知恵と工夫で製品開発に挑戦していきます。

煙がほとんど出ない木質燃料用燃焼炉の機構

イーコンセプト

ガス・煙、真下の床部分に誘導

 木質燃料を効率よく燃焼する、組み立て式燃焼炉の機構を考案した。燃焼筒の側面全体から取り入れた外部の空気が旋回しながら内部に供給される。燃焼炉内で着火した燃料から発生するガスや煙は、真下の床部分に誘導され煙が上昇しない。
 その結果、火炎を燃焼床の下に維持し、煙を抑制。燃料と燃料ガスをほぼ燃焼し尽くす。燃焼効率が良いので、有害ガスの発生を抑制することができる。
 独自の機構を採用したチタン製とスチール製の七輪(しちりん)を製品化した。ろうそくの炎でお湯を沸かすことができ、側面から出る放射熱を暖房としても利用できる。換気設備を必要としないため、キャンプ用品や防災時の燃焼器具としての利用も見込んでいる。

Voice
イーコンセプト 代表取締役 松山 進 氏

 この燃焼機構の開発に10年かけて取り組み、関連する特許も10件出願しました。ただ、たとえ技術的に優れていても、実際に世へ広めてこそ価値があると考えています。
 当社の七輪を使っている焼き肉店は、ダクトなどの設備がなく、換気扇だけで営業しています。周辺住民からも苦情がなくなったと聞いています。次の10年はいろいろなデザインも考え、皆さんにかわいがっていただけるような商品を仕上げていきたいです。

汚れ防止・曇り対策ヘルメット用シールド

ネクスコ・エンジニアリング北海道/ジオマテック

視感反射率0.5%まで抑制

 ヘルメットの着用が必要な屋外工事作業では、以前から目より下を守るシールドが求められていた。高速道路のメンテナンスや保全点検を行うネクスコ・エンジニアリング北海道が試行錯誤の末にたどり着いたのが、ジオマテック(横浜市西区)が開発する「g.mothフィルム」。
 同フィルムは、蛾(が)の目が持つ微細構造を取り入れ、樹脂を塗布した表面にナノ単位の細かな突起形状を設けた。シールド両面にフィルムを貼ると、視感反射率をわずか0.5%まで抑制する。撥水(はっすい)機能も備えており、水の接触角は150度を超え、雨水や泥水にも対応。ジオマテックの面状の薄膜透明ヒーターと同フィルムを組み合わせることで、装着者の吐く息によるシールドの曇りがなくなる。

Voice
ネクスコ・エンジニアリング北海道 企画統括部 技術開発室 主幹 今井 秀憲 氏

 今回「“超”モノづくり部品大賞・奨励賞」をいただき、誠に光栄に存じます。
 工事現場で働く人間にとって、特に目はいつも危険にさらされています。道路や橋脚を下から見上げるような保全チェックを実施中は、目視では確認できないサイズのかけらが宙を舞い、顔に飛んできます。これを防ぐにはメガネやシールドを使うしかありません。しかしそうなると曇りや透過性がネックになります。ジオマテック様と開発したシールドはこうした従来の欠点を解消します。今後は製作のコスト減を実現し、普及を目指していきます。

止水板付き重量シャッター アクアボトム

文化シヤッター

ボタン押すだけで止水機能 発揮

 工場など大きな開口部に取り付ける電動の重量シャッターの下部に、止水板を取り付けた浸水対利製品。シャッターと止水板が一体型のため、豪雨が発生した際に止水板を設置する手間が省け、いつも通りシャッターの開閉ボタンを押すだけで止水機能を発揮する。低水位タイプで浸水高さは0.5メートルまで対応する。
 シャッター下部に連結された止水板は両サイドと下部に止水ゴムが装着され、シャッター全閉時に両サイドのガイドレールと床面に密着して隙間をふさぎ、浸水を防ぐ。漏水量は毎時1平方メートル当たり20リットル以下で、布で拭き取れるレベルだ。停電時も想定し、シャッター自身の重さで閉められる停電時操作装置を標準装備した。

Voice
文化シヤッター 商品開発部 開発一部 課長 廣瀬 誠 氏

 このたびは、栄えある賞を賜り、誠にありがとうございます。
 当社は、「エコ」と「防災」をキーワードとしたモノづくりの一環で、ゲリラ豪雨による浸水対策のソリューションを提供する「止水事業」に力を入れ、建物への浸水を防止する止水商品を開発しています。
 本製品は、電動重量シャッターのカーテン下端にアルミ製の止水板を取り付けシャッター全閉時は常に止水状態になる構造とし、従来の止水板の運搬時間と人手設置の煩わしさを取り除くことで、止水性と日常使いを両立させました。
 今後も当社ならではの止水商品を開発していきます。

ツールオートクランパ NW-50A

共立精機

工具段取り作業を自動化

 工作機械の刃具交換と刃先長さの調整を自動で行う装置。チャック本体を主軸にセットすると、ナットを自動で緩めて消耗した刃具を取り出す。新品の刃具をセットする際はセンサーで刃先を感知し、所定の刃具突き出し長さになるよう、主軸内部のストッパーが自動で上下する機能も搭載した。
 自動車や建機、金型メーカーなどの量産工場では、1日の刃具交換回数が数十から100回超に及ぶこともあり、作業者の負担は大きい。
 同装置は、こうした工具段取りに要する労力と時間を大幅に削減し、さらに、プリセッターや自動搬送装置(AGV)などの装置と組み合わせたシステムを構築することで刃具の識別、測定、交換、刃先調整など一連の段取り作業を全て自動化できる。

Voice
共立精機 代表取締役社長 岡島 英昭 氏

 このたびは、栄えある賞をいただき、誠にありがとうございます。
 「ツールオートクランパ NW-50A」は、コレットチャックやミーリングチャックなどの刃具交換を自動で行う装置です。多くの製造現場では、工作機械の刃具交換は手作業が中心で、力の要る交換作業を頻繁に行っています。こうした作業者の負担軽減を求める声に応えました。当社は、工作機械の刃具交換から刃先測定まで完全自動化するシステムを展開していますが、同装置は自動化システムのキーパーツです。今後はハード面だけでなくソフト開発にも力を注ぎ、工場自動化に貢献していきたいと考えております。

肌カメラMXSC-1000+クラウド肌判定API

マクセル

手軽に顧客の肌カウンセリング

 マクセルの「肌カメラMXSC-1000+クラウド肌判定API」は、肌を撮影するカメラとその画像から肌の状態を判定するソフトウエアがセットになっている。化粧品メーカーの美容部員や化粧品の訪問販売員などが手軽に顧客の肌カウンセリングができる商材として開発した。
 カメラは、軽量・コンパクトサイズで高解像度に肌のキメとシミの両方を約3秒で自動で撮影できる。同梱(どうこん)のケーブルをスマートフォンやタブレット端末のコネクター部に接続して使用する。ソフトは、肌の画像データから「毛穴」「シミ」「微シワ」「美白」「キメ」「透明感」の判定結果を5段階で提供する。データはクラウド上で蓄積。

Voice
マクセル ライフソリューション事業本部 事業企画部 担当課長 楠本 文恵 氏

 このたびの奨励賞受賞を、誠に光栄に思っております。
 マクセルでは、長年培ってきた理美容分野についてのノウハウを生かし、2013年からスマートフォン対応の肌判定クラウドサービスを提供しています。鮮明で高画質の肌画像を即時に撮影できるとともに使いやすさにこだわった肌カメラの開発、肌判定アルゴリズムの精度向上やアプリケーションの改良を重ねながらサービスを提案し続けてきたことが、今日につながったと思っております。
 これからもお客さまのご要望、時代のニーズに合わせたサービスを提供してまいります。

アクアREVOドリル オイルホール

不二越

工具寿命2倍 切削油吐出量も倍増

 工具寿命を約2倍に延長した超硬ドリル。切削油を供給する穴「オイルホール」の断面を従来の円形から独自形状に改良することで、切削油の吐出量が2倍に増加したほか、切りくず排出速度は1.6倍に向上した。併せて冷却効果も飛躍的に高まった。一般鋼からステンレスや高硬度鋼まで幅広い材料を加工できる。拡大する電気自動車(EV)向け部材の加工需要などを取り込む。
 ユーザーの要求に応えるため、短期間で商品開発する必要があった。同社では、粒子法の流体解析技術による切削油の流れ分析と弾性体の構造解析による強度分析の手法を導入することで、試作評価におけるリードタイムが短縮した。

Voice
不二越 常務取締役 塚本 裕 氏

 長寿命・高能率・多用途という切削加工に求められる3つの機能を向上する「アクアREVO」ブランド工具に力を入れています。2019年の「アクアREVOドリルスタブ・レギュラ」に続き、「アクアREVOドリルオイルホール」で、ふたたび奨励賞を受賞しました。喜びとともに、今回のような独自性の高い商品をベースにさらに上を目指した開発を進めていきます。工具は見た目だけでなく、新しい発想でより大きなインパクトを与えられるような機能が必要だと感じています。
 今後も皆さまに評価頂けるような製品を世に送り出していく所存です。

インテリジェントマルチ計測ステーション LT80/MG80

マグネスケール

生産現場の制度検査向け

 「インテリジェントマルチ計測ステーション LT80/MG80」は、IoT時代に要求される機能を搭載した測定システム。生産現場における加工部品や組み立て工程での精度検査用に使われるデジタルゲージの高精度・高速処理の特徴を生かし、デジタルゲージの測定値を必要とする演算データなどに加工し、タッチパネル付き液晶ディスプレーに表示する。
 測定データは、本体からSDカードまたは外部USBメモリー経由で保存可能。汎用イーサネットポートを通じて外部パソコンに転送でき、製造現場の測定データをペーパーレスで容易に確認・収集が行える。また、高速ラッチモジュールで回転速度に応じた変化量を0.1マイクロメートルの分解能でデジタルゲージ16本まで完全同期して測定できる。

Voice
マグネスケール 代表取締役社長 藤森 徹 氏

 栄えある賞をいただき、大変光栄に思います。
 今回受賞した「インテリジェントマルチ計測ステーションLT80/MG80」は、等間隔の測定や複数軸のデータの同期取得を可能としたシステムです。ワークを移動させながらの測定や、高速での多点データ収集の要望は多くの現場で存在しています。エンコーダの角度や位置出力に同期した計測機能を追加し、これまでお客さま側で必要だった大がかりなシステム構築や機器製作が不要となり、計測時間も大幅に短縮できるシステム製品が完成しました。
 今後も「高品質の追求」をモットーに、お客さまの期待を超える製品とサービスを目指していきます。