2021年受賞部品

モビリティー関連部品賞

マルチマテリアル軽量アンダーカバー

太平洋工業株式会社

複数材で強度維持 76%軽量化

 「マルチマテリアル軽量アンダーカバー」は、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)をはじめとする、ガラスマット強化熱可塑性プラスチック(GMT)など、複数の材料を組み合わせた。マルチマテリアル構造でコスト増加を抑制しながら、強度を担保した上で従来比76%減の大幅な軽量化を実現した。
 多くの自動車に標準装備されている床下に配置するアンダーカバーは、他の自動車部品同様に軽量化が求められ、樹脂製へ置き換えが進んでいる。スポーツ多目的車(SUV)車両は強度保持のため鉄製の採用が続いており、軽量化と強度の両立が困難だった。
 また、GFRPを使用する場合、製品外周部分を後加工する必要があったが、GMTを一体成形することで追加コストの発生を克服。汎用的な立型プレスで成形でき、特殊設備の導入も不要になる。

Voice
太平洋工業 技術開発センター 技術開発部 担当員 三鴨 賢一 氏

 このたびは、「モビリティー関連部品賞」を賜り、誠にありがとうございます。
 受賞製品の「マルチマテリアル軽量アンダーカバー」は、軽量化と強度が求められるSUVのアンダーカバーです。
 ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、ガラスマット熱可塑性プラスチック(GMT)などを組み合わせ、マルチマテリアル化させました。後加工が不要で、汎用的な立型プレスで成型できるなどコスト増加を抑制しています。
 今回の受賞を励みに、自動車部品の軽量化やコスト削減など、社会の課題解決につなげてまいります。

自動車用電子制御ショックアブソーバ

KYB株式会社

減衰力調整、高次元で性能両立

 「自動車用電子制御ショックアブソーバ」は、自動車のサスペンションに使われる部品。一般的なショックアブソーバの構造は、ある入力(ピストン速度)に対して、一定の減衰力しか発生できない。
 KYBの製品は、電流の大小によって減衰力を変えられる「減衰力調整部」を付け加えた。路面入力や操(そう)舵(だ)入力で時々刻々と変化する車両状態に対して、電子制御によって最適な減衰力を発生できるショックアブソーバーを2016年に開発し、量産している。
 今回の開発品はさらに改良を施し、従来品よりも高い車両性能を引き出せる。自動車の乗り心地や操縦安定性や耐異音など、それぞれ背反する性能の高次元での両立を実現した。
 従来品と比べて部品点数の削減も達成し、今後は世界的に同製品の市場拡大が見込まれる。

Voice
KYB 常務執行役員 オートモーティブコンポーネンツ事業本部長 兼 サスペンション事業部長 川瀬 正裕 氏

 このたびは、モノづくり部品大賞において「モビリティー関連部品賞」を賜り、誠に光栄に存じます。
 本受賞は、開発に対する従業員の奮起もさることながら、お客さま、お取引先さまの多大なるご協力によるものです。
 今回開発した「電子制御ショックアブソーバ」は、世界最小サイズの制御部でありながら、広い減衰力調整範囲を有し、トップクラスの性能を実現することで車両性能の大幅な向上に寄与しています。
 100年に一度の自動車産業の変革期の中で、今回の受賞を励みに、今後も独創的な技術と確かな品質で市場ニーズに応え、社会の持続的な発展に貢献してまいります。