奨励賞
ステッピングモーター PKPシリーズ 取付角寸法13mm
オリエンタルモーター株式会社
小型化で機器の自動化に貢献
オリエンタルモーターが開発した「ステッピングモーター PKPシリーズ 取付角寸法13mm」は、従来の高い位置決め精度や制御性能をそのままに、小型化を実現した。
各部品が小型化しても加工機械の精度は変わらないため、電線と結線基板の固定のために新しい方式を考案するなど構造的な工夫を施した。小型化でさまざまな産業用機器の自動化や制御の効率化に貢献できる。
10年程前から開発してきたが、極めて小型のため組み立てなどモノづくりの面で苦労したという。村上直衛執行役員は「既存製品の置き換えというより、新しい用途を開拓できる製品。顧客の反応もいい」と述べており、今後の拡販に力を入れていく。
Voice
オリエンタルモーター 執行役員 ステッピングモーター事業部長 村上 直衛 氏
簡単な回路構成で正確な位置決め制御ができるステッピングモーターは、産業界全体からの小型化ニーズに応える必要がありました。
「ステッピングモーター PKPシリーズ 取付角寸法13mm」は、従来品と使い勝手や位置決め精度はそのままで、業界最小サイズを実現しています。小型化で、従来エア駆動でしか実現できなかった部位を電動化、またブラシの摩耗を気にするDCモーターを置き換えるなど、お客さまの装置の高付加価値化に貢献します。
受賞を励みに、今後もお客さまの「動き」のニーズに応えるため、さらなる商品開発に取り組んでまいります。
スマートシティソリューション
ミネベアミツミ株式会社
LED道路灯を遠隔管理
「スマートシティソリューション」は、発光ダイオード(LED)道路灯を無線でつなぎ、環境センサーと組み合わせて防災などに役立てる屋外照明技術。
道路灯は周囲の明るさに関係なく、決められた時間に点灯するが、ミネベアミツミのLED道路灯は、点灯・消灯を無線通信で遠隔管理する。水銀灯と比べて消費電力を最大約90%削減できる。道路灯の状態は、パソコンを通じて在宅でも確認でき、交換や修理作業の効率化を図れる。
道路灯に取り付けた小型センサーは、温湿度や気圧などの情報を取得し、クラウド上で一元管理が可能。気象予測に活用され、精度向上に期待される。国内の地方自治体で導入が決まっており、来年度も拡販を目指す。
Voice
ミネベアミツミ スマートシティ推進統括部 責任者 吉澤 雅彦 氏
このたびは、栄えある賞をいただき、大変光栄に存じます。
当社は、光学技術、無線技術、センサー技術などの各種技術を相い合わせる「相合(そうごう)」により、無線付きLED道路灯を核としたスマートシティーソリューションを展開しています。照明機器をただ単に明かりをともすだけではなく、省エネルギー化による環境への配慮や都市生活の利便性・安全性の向上、防災機能の強化など、さまざまな付加価値を持つデバイスに進化させるべく挑戦を続け、持続可能で地球にやさしく豊かな社会の実現に貢献していまいります。
トイレブース「RブースTR40 電動タイプ」
三和シヤッター工業株式会社
手をかざし非接触でドア開閉・施解錠
三和シヤッター工業のトイレブース「RブースTR40 電動タイプ」は、ブース内に設置したセンサーに手をかざすと、非接触でドアが開閉・施解錠する。新型コロナウイルス感染症の流行でトイレなど不特定多数の人が触れる共用部での非接触ニーズに対応する。
ブース内センサーに手をかざすと、ドアが閉まると同時に自動施錠する。退室時は同センサーに手をかざすと、自動解錠して開扉する。スライドドアはR形状のため、内開きドアより広く利用できる。ドアに人が当たった時の対策として、戸先と戸尻には緩衝ゴムを取り付けた。万が一、人や物が挟まれた場合にはドアが反転する「障害物検知機能(負荷検知方式)」を備えている。
Voice
三和シヤッター工業 商品開発部 ドア・間仕切グループ 間仕切二課 松原 可菜子 氏
このたびは、モノづくり部品大賞の「奨励賞」を賜り、誠にありがとうございます。
同製品は、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に需要が高まる「非接触」というニーズに重点をおいて開発しました。曲面ドアの採用により限られた空間を有効活用するとともに、操作性・安全性などの課題に対しては、自動ドア装置の製造を行うグループ会社の昭和建産との連携により、迅速に商品化を行いました。
今後も時代の変化に臨機応変に対応し、当社の使命である「安全、安心、快適」を提供することにより、社会へ貢献していく所存です。
難削材加工に優れた精度を実現する刃型「Mドリル」
大見工業株式会社
三山刃溝形状で切りくず排出性高める
「Mドリル」は、ステンレスなどの難削材や炭素鋼、高硬度焼き入れ鋼などの加工向けに開発した多目的ドリル。特許を取得した三山刃(M刃型)溝形状で、低ねじれ角の設定にもかかわらず切りくずをらせん状に丸めて分断し、排出性を高めた。チタン、シリコン、窒素を含有した高硬度・高耐熱コーティングを施し、切りくず分断性との相乗効果で高耐久性を実現した。
さまざまな材料に対応でき、加工現場でのツール交換作業を軽減できる。焼き入れ鋼では「HRC70での加工テストで良好な結果を得た」(峯園数浩取締役工場長)という。多品種生産が進む自動車業界をはじめ、インコネルなど、耐熱合金加工業種への適用も期待される。
Voice
大見工業 代表取締役社長 大見 満宏 氏
コロナ禍の中、社員一丸となり新商品開発に取り組んできましたので、「奨励賞」の受賞を大変うれしく、光栄に思います。
主要取引先の自動車業界は、100年に一度と言われる変革期を迎えています。電動化、水素化、そして次世代モビリティーが空を飛ぶ時代となり、重要保安部品には高度な安全性を求められ、難削材の加工が重要課題になってきます。「Mドリル」は、そうした業界ニーズに応え、開発した難削加工に特化した新刃型です。
今後も、新たな高効率、高精密な切削加工の開発に取り組み、お客さまの加工価値向上のお役に立てればと思っています。
スイッチングマグホルダー
下西技研工業株式会社
停電時も安全/省電力で小型
「スイッチングマグホルダー」は、①安全性、②省電力性能、③取り扱い易さ、④小型――を兼ね備えた磁気式アタッチメントデバイス。
無通電で吸着力を維持し続けるため、停電時でも安全を確保できる。コンパクトな形状ながら強力な吸着力を発揮し、瞬間通電で磁力のオン・オフが切り替えできる。優れた省電力性能を持つため、モバイルバッテリーでも長時間駆動可能。不使用時にはホルダーに吸着力がなく、容易に保管や吸着の位置決めができ、取り扱いやすい。
活用シーンは、物流分野における飛行ロボット(ドローン)や空中搬送機で搬送する荷物の脱着などをはじめ、医療機器や産業用ロボットなど多種多様な分野での展開が期待される。
Voice
下西技研工業 代表取締役社長 下西 孝 氏
このたびは、「奨励賞」を賜り、誠にありがとうございます。社員一同大変喜んでおります。
本製品は、磁気による吸着力のオン・オフができ、かつモバイルバッテリーで使用できる程の省電力性能を備えた画期的デバイスと自負しております。
当社は、「Create」の理念の下、メカトロニクス・磁気・熱の3つの技術を融合させ、ユーザー製品の高付加価値化に貢献してまいりました。今回の受賞を励みに、これからもお客さまと社会のお役に立てるよう、新たな価値を生み出してまいります。
赤外線ヒーター式 サブストーク加熱装置
メトロ電気工業株式会社
省エネ低圧鋳造工程を実現
金型などの加熱をガスバーナーから赤外線ヒーターへの置き換えで省エネルギー化に貢献する。カーボンフィラメントの採用で500度C以上の高温雰囲気下でヒーター使用が可能。燃焼を伴わないエンジン部品などの低圧鋳造工程を実現した。
鋳造工程でアルミニウム溶液を金型へ充填するために必要なタンク「サブストーク」と金型を加熱する。ガスバーナー式と比べて工程全体の原油換算のエネルギー使用量は、年間54%減の303キロリットル。二酸化炭素(CO₂)換算では、同59%減の584トンだった。目標温度への加熱時間は、従来機比半減の90分で、火力調整や監視作業は不要。現場作業の省力化に期待でき、今後は鍛造など他工程での応用も進める。
Voice
メトロ電気工業 代表取締役社長 川合 誠治 氏
このたびは、モノづくり部品大賞において「奨励賞」を頂戴し、誠に光栄に存じます。
当社は、「熱を知り、熱を操る」をモットーに、優れた熱源として赤外線カーボンランプヒーター「オレンジヒート」を産業界にお届けしております。
今回の受賞を励みに、CO₂排出量削減に寄与する独自技術を生かした製品でお客さまのニーズを具現化し、脱炭素社会に貢献してまいります。
マルチアングルボールソータ MABS
伊東電機株式会社
小物も搬送可能 レイアウト変更自在に
「マルチアングルボールソータ MABS」は、物流業界や生産現場で搬送物を分岐する際に使用する。転がして搬送させるためにボールを使用しており、従来製品で搬送できる大きさより小物も搬送可能。エアレスで左右のほか、10度、45度、90度など、任意の方向に分岐角度を変えられ、搬送装置のレイアウトなどを自在に変更できる。
装置の高さを抑えるために、搬送する力を生むモーターと搬送方向を決める首振りのモーターの2つの機構を1つにまとめた。ボールを回転させるためのモーターの動力を、水平回転から垂直回転へ切り替えることなども苦労した。
今後は現在の搬送速度をより早め、低騒音化の実現に向けて開発を続けていく。
Voice
伊東電機 代表取締役社長 伊東 徹弥 氏
このたびは、モノづくり部品大賞の「奨励賞」をいただき、感無量に思います。
今回受賞した「マルチアングルボールソータ MABS」は、主力のコンベヤー駆動用モーターローラー「パワーモーラ(MDR)」に使用されているモーターを駆動源にしております。任意の角度へ搬送物を分岐でき、柔軟にラインレイアウトを変えられます。工場や配送センターなどでは取り扱う製品などの変化が早く、ラインレイアウトもそれに対応していかなければなりません。
今後も「柔軟」をコンセプトに、製品を用いて市場を作っていく所存です。
ウインドブロックシリーズ 重量シャッター
文化シヤッター株式会社
高耐風圧仕様、シャッター抜け出し防ぐ
文化シヤッターが開発した「ウインドブロックシリーズ 重量シャッター」は、昨今の大型台風に対応した工場や倉庫向けの高耐風圧仕様シャッター。シャッターに外面・正面から風圧(正圧)がかかると、建物の反対側にあるシャッターには屋内から屋外へ向かって引っ張られる力(負圧)がかかり、シャッターが抜け出す被害が多数発生している。
この問題を解決するため、シャッター左右のガイドレールに一定間隔で「補強プレート」を取り付け、シャッターには「耐風フック」を装着した。補強されたガイドレールと耐風フックがかみ合うことで、抜け出しを防ぐ設計とした。正圧負圧ともに国内最大風速基準をカバーできる耐風圧性能を実現した。
Voice
文化シヤッター 商品開発部 開発一部 課長 猪俣 聡 氏
このたびは、栄えあるモノづくり部品大賞の「奨励賞」を賜り、誠にありがとうございます。
当社は、気候変動の緩和と適応に貢献し、安心かつ安全に使える防災・減災をテーマに開発を進めています。
本商品は、近年頻発する大型化した台風や竜巻、突風などによる建物への被害対策として、物流倉庫などの広い開口部においても高い耐風圧強度を確保できる重量シャッターとなっております。
受賞を励みに、今後も気候変動対策に取り組み、お客さまに安心安全かつ快適なソリューションを提供し、災害に強い社会の実現に貢献してまいります。
鉱山機械(超大型ダンプトラック)用ホイール「Evolution Type SGOR」
トピー工業株式会社
稼働率・作業効率性・安全性向上
トピー工業の鉱山機械用ホイール「Evolution Type SGOR」は、タイヤの交換時に本体から外す必要がなく、作業項目を削減し、作業時間を大幅に短縮した。血管性運動神経障害(振動障害)を引き起こす懸念のあるインパクトレンチの使用といった危険な作業が減るなど、機械の稼働率向上や作業効率性、安全性向上につながる。
同ホイールのサイズは、57×63インチ。材質は、スチールで質量は2~3トン程度。石炭や鉄鉱石などの採掘場では昼夜を問わず作業が続けられ、機械の稼働を止めるメンテナンス時間の確保が課題だった。鉱山労働者が減少する中でメンテナンスの作業効率、安全確保が求められ、これらの総合的な解決につながる。
Voice
トピー工業 執行役員 自動車・産業機械部品事業担当 商用車・建機ホイール事業部長 阿部 正裕 氏
このたびは、モノづくり部品大賞の「奨励賞」を賜り、誠にありがとうございます。
当社のホイールが使われる鉱山機械が活躍する資源採掘場では、メンテナンスの時間削減、作業の効率性、安全性の向上を鉱山事業者から強く求められています。
「Evolution Type SGOR」は、メンテナンス時の労働課題解決に向け、鉱山現場に赴き現場で働く人々の悩みを直接ヒアリングして開発した製品です。
当社は、今後も社会課題の解決に取り組み、社会的価値を創出することで、持続的な成長を実現していきます。
クレセントラインバー
富士精工株式会社
汎用MCでクランク穴仕上げ加工
「クレセントラインバー」は、エンジン部品のシリンダーブロックのクランク穴の仕上げ加工を行う長尺工具。クレセントは、工具のボディーを三日月形状に除去したことに由来する。高精度な加工が求められるクランク穴の仕上げ加工は、従来、長尺工具と長軸治具を有する専用機ツーリングが主流だったが、高額な設備投資と汎用性の低さが課題だった。
同製品は、加工精度に悪影響を及ぼすとされるアンバランスを、ガイドの押し付け力として活用する設計とした。回転による遠心力と切削抵抗でワーク両端の穴にガイドが密着し、サポートされた状態で加工する。専用機ツーリングと同等以上の加工精度を汎用マシニングセンターで実現できる。
Voice
富士精工 執行役員 技術部門長 篠田 直毅 氏
「奨励賞」を受賞し、とても光栄です。
設備投資金額が高い特化工程の汎用化を実現し、お客さまの投資金額低減に貢献することは当社が以前から掲げているテーマであり、その代表例であるクレセントラインバーの開発が受賞と言う形で実を結び、うれしく思います。
ただ、お客さまの生産現場ではまだ専用機による特化工程が残されている所があります。それらに対し、さらなる要素技術の深掘りと新技術による製品開発・改良を推進し、お客さまの生産性や作業環境の改善や投資金額低減に貢献する製品提供をよりスピード感を持って進めていく所存です。