環境・資源・エネルギー関連部品賞
3Dプリンタによるセラミック部品
株式会社ノリタケカンパニーリミテド
金型不要で短納期・低環境負荷
ノリタケカンパニーリミテドは、115年以上にわたり培ってきた陶磁器の施釉技術を応用し、「3Dプリンタによるセラミック部品」を開発した。
セラミックスの用途分野は、材料や化学、バイオなど多岐にわたる。従来、セラミックスの部品製造を金型による成形で行う場合、顧客への納品過程で金型加工をする必要があり、エネルギー使用量や廃棄物の多さが課題だった。
3Dプリンター技術は、金属やプラスチック成形での活用が進む。セラミックスでは積層段差の発生や強度などの面で、工業用の実使用としては適さないと見る向きもあった。
同社は、金型が不要かつセラミックスを直接成形できる部品を開発し、従来よりも環境負荷を軽減させ、短納期、低コスト化を実現した。少量多品種の“モノづくり”を支える製品として期待される。
Voice
ノリタケカンパニーリミテド 常務執行役員 永田 滉 氏
このたびは、「環境・資源・エネルギー関連部品賞」をいただき、誠に光栄に存じます。
今回開発した「3Dプリンタによるセラミック部品」は、従来の製造プロセスで必須であった金型が不要で、かつ省エネルギー・短納期を実現した革新的なプロセスにより創製された部品です。さらに、従来技術では不可能であった特殊形状の部品を作製することができ、従来の製品の特性や品質を大幅に上回ることにも寄与しています。
今回の受賞を励みに、これからも社会の進化や環境、顧客へ貢献できるモノづくりを加速していきます。
不活性ガス溶解射出成形システム「INFILT-V」
株式会社ソディック
薄肉で深物の樹脂成形 可能
「INFILT-V」は、樹脂の可塑化部と射出部を分離した独自機構「Vライン」と、生分解性プラスチックに窒素ガスや二酸化炭素(CO₂)などの不活性ガスを溶解させ、流動性を高める可塑剤として利用する技術を組み合わせた射出成形システム。
高粘度で薄肉成形が難しいプラスチックでも、薄肉で深物の成形加工が可能。特に生分解性プラスチックに対して、非分解性プラスチックから置き換えでき、CO₂排出抑制や環境汚染の防止などへの貢献が見込める。
今回、同機構で射出プランジャーから不活性ガスを直接注入する方式を採用した。これにより、ガス量を精密に注入でき、不活性ガスを溶解させているプラスチックを安定して計量・射出できる。射出成形機と付加装置の操作画面を一元管理化することで、容易な操作性も実現した。
Voice
ソディック 代表取締役社長 古川 健一 氏
このたびは名誉ある賞を受賞でき、大変光栄に存じます。
本システムは、廃棄プラスチックによる環境ダメージ低減を目的に開発しました。生分解性プラスチックに窒素ガスや炭酸ガスを溶解させることで「捨てるではなく還すへ」を実現し、未来を支える成形品を提供します。
今後も引き続き、プラスチックがこれまで以上に活用され、持続可能な社会を支える素材であり続けるために、環境改善に貢献する技術を開発してまいります。
脱炭素社会の実現に貢献する低発熱高容量リレー「G9KA」
オムロン株式会社
業界トップ級 超低接触抵抗実現
オムロンは、200アンペアの大電流に対応し、通電時の温度上昇を一般品に比べ約30%低減できるリレー「G9KA」を開発した。独自の構造で電流を分散し、業界トップクラスの超低接触抵抗値である0.2ミリオームを実現した。大容量太陽光発電システムのパワーコンディショナーや電源設備、関連機器などに使用すると、システム発電効率を高められる。従来の高容量リレーは接触抵抗値が高く、リレーの発熱によるエネルギー損失が課題だった。
7月にグローバルで市場投入し、複数の海外大手パワーコンディショナーメーカーから高い評価を受けている。世界的な脱炭素化への機運の高まりから、太陽光など再生可能エネルギーの活用が進む。
同社は、G9KAなどの革新的技術で再エネの普及を促進し、脱炭素社会の実現に貢献していく。
Voice
オムロン 執行役員 エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネスカンパニー 事業統轄本部長 江崎 雅彦 氏
このたびは、「環境・資源・エネルギー関連部品賞」をいただき、大変光栄です。
電子部品事業は、「デバイスとモジュールで顧客の価値を創造し、地球上の人と社会に貢献する」ことをミッションとして掲げ、コア部品・ソリューションの提供を通じた社会的課題の解決にチャレンジしています。
今回、リレー「G9KA」が同賞をいただけたことは、脱炭素社会の実現に寄与する当社独自技術と、その取り組みを高く評価いただいたと受け止め、大変うれしく思います。
今後もこのような技術・製品を通じて、より良い社会の実現に貢献してまいります。