2021年受賞部品

機械・ロボット部品賞

非鉄用DLCエンドミル AE-VTS-N・AE-TS-N・AE-TL-N

オーエスジー株式会社

DLCコーティング推奨

 「非鉄用DLCエンドミル AE-VTS-N・AE-TS-N・AE-TL-N」は、EV化や半導体需要の拡大を背景に増加するアルミニウム合金やマグネシウム合金など、非鉄金属加工用に最適化したエンドミル。
 生産性向上に寄与する非鉄金属切削工具への需要の高まりを受け、ユーザーのニーズを収集し開発をスタートした。非鉄用エンドミルはノンコートが主流だが、同社は工具刃先への溶着防止に効果があり、優れた耐摩耗性を発揮するダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティング処理を推奨する。
 VTS-Nは、弱い逃げ角を持つさらい刃が被削材の凹凸を押しつぶしながら加工し、加工面品位を向上させる。不等リード・不等分割溝による防振効果で安定した高能率加工を実現する。TS-NとTL-Nの価格はノンコートと競合できる。

Voice
オーエスジー 代表取締役社長 大沢 伸朗 氏

 このたびは、モノづくり部品大賞の「機械・ロボット部品賞」という名誉ある賞をいただき、ありがとうございました。
 コロナ禍は収束の兆しと希望が少し見えてまいりましたが、依然厳しい環境の中にあり、引き続き感染予防に留意しながら、モノづくりを継続する努力を続ける必要を強く感じます。
 また、地球環境問題への対応のため、これからもお客さまの生産性向上に寄与し、省エネをはじめ、環境に配慮したモノづくりに役立てる製品開発に努力していかなければならないと、同賞を受賞させていただき、あらためて身の引き締まる思いです。

切削加工用インサート材種MVシリーズ(MV1020・MV9005)

三菱マテリアル株式会社

耐酸化性高め工具寿命2倍以上

 超硬合金基材上に耐摩耗性や耐熱性を付与するためにセラミック皮膜を施したコーテッド超硬合金インサート(刃先交換チップ)。
 アルミニウムの含有比率を高めても結晶構造が変化しない独自技術「Al-Rich(アルミリッチ)コーティング」を採用し、皮膜の硬さに加え、耐酸化性も大幅に高めた。従来製品比でそれぞれ2倍以上の工具寿命と切削速度により、経済性と加工能率の向上に貢献する。製造現場における資源利用やエネルギー消費量削減へのニーズにも合致し、脱炭素化への貢献が見込める。
 同製品は、すでに自動車産業や航空宇宙産業を中心としたマシニングセンター(MC)やNC旋盤による加工現場で用いられている。幅広い工具形状に対応できるため、医療機器向けの部材加工や小物部品の加工向け工具などでの活用が期待される。

Voice
三菱マテリアル 執行役常務 加工事業カンパニー プレジデント 田中 徹也 氏

 栄えある「機械・ロボット部品賞」を賜り、誠に光栄に存じます。
 今回の受賞製品は、新開発のAl-Richコーティング技術により大幅な工具寿命を実現したインサート材種で、製品化にも苦心しました。諦めないチームの努力を見ており、感慨深いものです。
 当社は、創業150周年を迎え、企業理念「人と社会と地球のために」の下、顧客視点に立ったスピードと変革を求め、DXや環境問題にも積極的に取り組んでいます。今後も顧客に最適な加工ソリューションを提供することで、高効率なモノづくりに貢献してまいります。

人協働ロボットMOTOMAN-HC20SDTP

株式会社安川電機

1200mmリーチ、可搬質量倍増20kg

 安川電機の「人協働ロボットMOTOMAN-HC20SDTP」は、製造ラインの組み立てシステムに組み込む部品で、人と同じスペースで重量物のハンドリングなどを行う。人の作業領域と言われる900ミリメートルをカバーする1200ミリメートルのリーチを持ち、可搬質量は従来機比2倍の20キログラムを実現した。
 挟み込み離脱機能の付与や、手が挟まれないようロボット間の隙間を40ミリメートル以上開けて安全性を配慮した。産業用ロボットで必須だった安全柵を設置しないでフレキシブルな生産ラインを構築できる。無人搬送車(AGV)に搭載し、工作機械の間を移動して加工対象物(ワーク)の脱着作業などに利用する。
 また、先端部には周辺機器などを簡単に接続可能な構造を採用。イーサネットケーブルやエアホースを内蔵し、ロボット外装への配線を不要にした。

Voice
安川電機 取締役 常務執行役員 ロボット事業部長 小川 昌寛 氏

 このたびは、「機械・ロボット部品賞」をいただき、誠に光栄です。
 当社の人協働ロボットは、10キログラムと20キログラム可搬を取りそろえ、人との協働作業の実現や安全柵不要、セットアップの簡単化など、使いやすさの進化を図ってきました。
 今回、ロボットの安全性や使いやすさを損なうことなく、より重いものを省スペースで搬送できるよう、10キログラムロボットのリーチをそのままに20キログラムという高可搬の人協働ロボットを開発、発売することができました。
 今後もさまざまな場面でお客さまのニーズに応えることができる製品づくりにまい進してまいります。

直感的なロボットの手動操作を実現する「ジョイスティック・ペンダント“JoyPEN”」

株式会社ダイヘン

ゲーム機感覚でティーチング

 「ジョイスティック・ペンダント“JoyPEN”」は、産業用ロボットをゲーム機感覚でティーチング(プログラム教示)できる操作装置。片手での簡易操作でイメージ通りのロボット手動操作を実現する。初心者でも熟練者並みの時間で教示作業が行える。
 ロボット操作に使う通常のティーチングペンダントは、多数のキーがあり、座標軸の概念理解も必要で、熟練者でないとイメージ通りの操作が難しい。
 JoyPENは、小型、軽量のジョイスティック・ペンダントにジャイロセンサーを搭載。ジョイスティックの傾きや操作加減でロボットの姿勢や動作速度などを微調整し、動作経路を自動で記録できる。
 教示時間の短縮で生産性向上にもつながり、人手不足が深刻な中小企業の現場にロボット導入を促せる装置として注目される。

Voice
ダイヘン 常務執行役員 FAロボット事業部長 金子 健太郎 氏

 このたびは、当社の「ジョイスティック・ペンダント“JoyPEN”」に受賞の栄誉を賜り、誠にありがとうございます。
 当社は、ロボットを初めて導入される方や操作への不安・抵抗感をお持ちの方々に、少しでもロボットが実用的で使いやすい生産設備としてお使いいただけるよう、同製品の開発に取り組んでまいりました。おかげさまでお客さまから大変ご好評いただいております。
 今回の受賞を励みに、モノづくりに関わる皆さまに常に寄り添い、課題解決に少しでもお役に立てるよう、製品開発に一層注力してまいります。

ならいハンドシリーズ

THK株式会社

形状異なるワーク吸着・把持

 THKの「ならいハンドシリーズ」は、ハンド交換なしで形状の異なるさまざまな加工対象物(ワーク)を吸着・把持できる。
 2015年に同社が特許を取得した直線移動を固定する「リニアストッパ(クイッククランパー)」を応用した。アウターリングに搭載する、たる型の「グォードローラー」がリングとシャフトの間にできるくさび形の空間に転がり込むことで、シャフトを任意の位置で固定できる。
 ならいハンドシリーズは、複数のクイッククランパーがワークの凹凸形状に沿った形で固定されるため、安定した把持を実現する。
 自動車向けの樹脂成型部品や小型板金プレス部品の組み立てラインなどで活用されていたが、専用のチャックやパッドを使用せずに多様な形状のワークを把持できるため、ロボットハンドとしての用途拡大が見込める。

Voice
THK 常務執行役員 産業機器統括本部 技術本部長 星出 薫 氏

 「ならいハンドシリーズ」は、お客さまの声を聞き、市場がありそうだと判断し、機械要素を開発しました。この流れがしっかりできた製品です。一方で丸軸を固定する「リニアストッパ(クイッククランパー)」を活用した、ならいハンドはまだまだ知る人ぞ知る製品です。
 賞をいただいたことでプレゼンスが向上し、これまでご存じなかった方も耳にするようになります。こうしたチャンスをいただき、非常にありがたく思っています。用途は開拓中ですが、活用できる領域が世の中にたくさんあると見ています。受賞が認知や拡販につながることを期待しています。

圧力制御式超高精度ガス流量コントローラ(FCS-P8500)

株式会社フジキン

流量制御範囲10倍 精度は40倍

 半導体製造におけるガス供給ライン数の効率化や同関連部品のコストを削減する圧力制御式流量制御器。従来機種と同一の筐体(きょうたい)サイズで流量制御範囲を約10倍に拡張した。流量制御精度は40倍向上。
 従来機種では、3ユニットを必要とした流量制御範囲を1ユニットでカバーし、ガスラインを削減した。空いたガスラインに増設でき、半導体製造装置にとって大きなメリットがある。また、流量制御器に付随するフィルター、減圧弁、圧力計などの部品も削減し、ガス供給システム全体のコスト削減につながる。
 同製品は、1台に大流量と小流量の独立した2系統の制御流路を組み込み、体積流量毎分1立方センチメートルから同1000立方センチメートルまでの流量制御範囲をカバーする。大小の制御流路は圧力センサーとオリフィス、流量制御範囲の異なるコントロールバルブなどで構成する。

Voice
フジキン 専務取締役 創造・開発本部長 池田 和弥 氏

 おかげさまをもちまして、18年連続でモノづくり部品大賞の賞を賜り、大変栄誉あることと感動しております。心より厚く御礼申し上げます。
 昨今の半導体回路の微細化と高集積化で、成膜やエッチングのプロセスはますます複雑となり、必要なプロセスガス種は多様化しています。
 受賞製品である「FCS-P8500」は、先端の半導体製造において、製造時間の短縮と高精度化の両立を可能とする流量制御機器です。従来機種と同一の筐体サイズで流量制御範囲を10倍に拡張するとともに、流量制御精度を40倍向上させました。
 私どもフジキンは、超精密流体制御機器の製品を通し、今後も半導体が支える豊かで安全・安心なデジタル社会の実現に貢献してまいります。

立壁/底面仕上げ用8枚刃エンドミル「ER8WB-ATH」

株式会社MOLDINO

高精度・高能率化を実現

 「ER8WB-ATH」は、金型の立壁や底面の仕上げ加工の高精度・高能率化を実現した超硬エンドミル。
 立壁仕上げ加工では、工具のたわみ、びびり振動が発生し、人手による再加工や測定が必要になる。底面仕上げ加工でも機械加工後の手磨き工程短縮のために、機械加工での仕上げ面品位の向上が求められている。
 今回、外周刃にたわみや振動を抑えて立壁仕上げ加工を高精度化する新設計を開発した。コーナーR刃と底刃を接線で滑らかにつなぐことで角立ちを抑制する。光沢があり、均一なカッターマークを生成し、高品位な仕上げ面が得られる。
 加工コストは、従来のロング刃長エンドミルと比べて約84%削減できる。再加工回数とトータルの仕上げ加工時間の短縮で、消費電力の発生量を同72%削減でき、環境負荷の低減にもつながる。

Voice
MOLDINO 開発技術本部長 坂本 靖 氏

 受賞した製品は、切削抵抗の変動を抑える刃形設計により、加工後の測定・修正加工などの人的な手間を省いて高精度な切削仕上げ加工を実現し、自動化にもつながる、まさに顧客の困りごとを解決すべく開発されました。
 当社は、金型加工分野向けに注力したビジネスを展開しており、この受賞を励みに今後も「開発技術のMOLDINO」を旗印に、独創工具開発に取り組んでまいります。

小型・汎用 ドリリング&タッピングユニット「SELFEEDER DUO」

株式会社スギノマシン

多品種少量・大量生産 双方に対応

 「SELFEEDER DUO」は、「専用機に汎用性を!」をコンセプトにした穴開け・ネジ立て加工ユニット。従来機と比較して汎用性が高く、専用機を再構築する際に再利用しやすい。
 主軸・送り軸の両方にサーボモーターを搭載し、回転と送りが同期するため、1台でドリル加工とタップ加工が可能。回転速度とトルクに応じてモーターを選択でき、専用機に汎用性を持たせられる。多品種少量生産と大量生産の双方に対応する。
 従来、専用機に組み込む加工ユニットは、対象部品の生産が終了すると、専用機と共に廃却するのが一般的だった。同製品は、モーターの交換で仕様を容易に変更できるため、対象部品や加工内容が変わっても、ユニットを廃却することなく再利用できる。専用機内で使用している部品の流用も可能になる。

Voice
スギノマシン 常務執行役員 精密機器事業本部長 酒井 英明 氏

 このたびは、「機械・ロボット部品賞」をいただき、誠にありがとうございます。
 モノづくり部品大賞におきまして、当社としましてはこれで3年連続の受賞となり、大変光栄に存じます。
「SELFEEDER DUO」は、1台で穴開けもタップ加工も可能なユニットとなっており、しかもコンパクトでスッキリしたデザインになっていると自負しております。ドリリング・タッピングユニットをお使いいただくことで、さらなる自動化に貢献できるものと考えております。今後も改良・改善・シリーズ化、そして新しい視点を持って商品開発に取り組み、広く一般産業に貢献してまいります。

インパクトブローガンIBG、インパクトブローバルブIBV

SMC株式会社

空気消費量・作業時間9割削減上

 「インパクトブローガンIBG、インパクトブローバルブIBV」は、旋盤やマシニングセンターなどの工作機械内や加工部品内に付着した切り粉の吹き飛ばし、金属板やフィルムの剝離、水滴除去など幅広く使われる。ブローガンは手動で、ブローバルブは設置して使用する。
 配管を工夫し、内部に空気をためるタンクを持たせ、蓄積したエアが一気に噴き出す構造とした。ブロー時の瞬時圧力は従来品比で3倍以上となり、1ショットで切り粉を吹き飛ばせる。ブロー時の空気消費量を約9割、作業時間を97%削減できる。
 佐々木博章開発第8部主任によると、「工場のエア消費の約半分はブローによるもの」だという。1ショットごとのエア消費量の数値管理もできるため、ユーザーの省エネルギー、二酸化炭素(CO2)削減に大きく貢献する。

Voice
SMC 取締役執行役員 技術本部長 土居 義忠 氏

 このたびは、「機械・ロボット部品賞」をいただき、誠に光栄です。私自身、「インパクトブローガンIBG、インパクトブローバルブIBV」の開発に携わったこともあり、喜びもひとしおです。
 両部品は、当社の全体目標であるCO2削減効果が大きい上に、ユーザーの作業時間を大幅に減らすなど高い貢献度を持つものです。開発メンバーは、開発以外にも評価基準作りなど、効果の見える化に苦労しました。おかげさまで空気圧機器トップシェアの企業として誇れるものができました。
 今後も省エネやCO2削減に役立つ技術を磨き上げていく所存です。

個別情報を有する超精密微細5軸制御MC(マシニングセンタ)向け高性能ボールエンドミル MSBSH330-5X

日進工具株式会社

微小径3枚刃 高送り対応

 日進工具は、精密微細切削向け5軸制御マシニングセンター(MC)専用に、高性能ボールエンドミル「MSBSH330-5X」を開発した。
 近年、精密微細加工向けの5軸制御MCを数社が開発。新たな領域の生産設備として注目されている。一方で、最適なエンドミルはまだ少ないことから、同製品の開発に至った。
 微小径に特化したR0.1-1の8サイズをそろえ、切れ刃部の刃長を最短とし、シャンク部までをテーパー形状にすることで工具剛性を高めた。高度な工具切削技術により、微小径(最小径0.2ミリメートル)ながら刃数を3枚刃にして高送りに対応。工具寿命特性を高めた。
 製品の取り扱い方法などの情報をクラウド上に保存し、ケースに記載した2次元コード(QRコード)の読み込みでアクセスできるサービスも開発した。

Voice
日進工具 代表取締役社長 後藤 弘治 氏

 このたびは、栄えある賞を賜り、誠にありがとうございます。
 精密・微細加工に対応する5軸制御マシニングセンター(MC)が市場に広がりはじめた中、超硬小径エンドミルの分野で国内トップシェアを誇る当社として、自信を持って提供できる製品を開発できました。
 当社のブランドコンセプトは、“つくるの先を「つくる」”です。今できないことを将来できるようにするための開発や提案を担います。今回の受賞を新製品の広報・宣伝の弾みにしながら、第二弾、第三弾の5軸制御MC向け製品の方向性を定め、開発に挑みます。