2022年受賞部品

奨励賞

アルミ加工用ヘッド交換式多刃ダイヤフェースミル「Nova E’z Disc」

兼房

高い刃先触れ精度-高速加工

 兼房の「Nova E’z Disc」は、アルミニウム部材の高速、高精度加工が可能なヘッド交換式多刃ダイヤフェースミル。
 ディスク型の多結晶ダイヤモンド(PCD)多刃をボルトでボディーに締結するだけで高い刃先振れ精度を確保する。
 ディスクの刃先には、カバーが付属。インサートのチップ交換の場合は、不慣れな作業者がケガをしたり、刃先を欠損させたりする恐れがあるが、同製品は安全に刃先欠損の恐れもなく交換ができる。
 独自のロウ付け技術により、一般的なインサートタイプより多刃化が容易で、刃数は2倍程度増やせる。高速、高能率な加工ができ、加工面品質を維持したまま、加工能率を上げることができる。

Voice
兼房 精密刃具事業部長 安藤 幹浩 氏

 このたびは、モノづくり部品大賞の「奨励賞」を賜り、誠にありがとうございます。
 当社が長年培った台金素材や刃金接合技術を応用し、全く新しいコンセプトのアルミ加工用フェースミルカッタ「Nova E’z Disc」を考案しました。この製品を通して、高能率加工による生産性向上や安定切削による工程能力向上、省人化を実現する工具段取り作業の簡便化など、少しでもお客さまのご要望にお応えできれば幸いです。
 これからも世の中のモノづくりの一助となれるよう精進してまいります。



奨励賞

マドモア耐風ガード スクリーンGⅡタイプ 防火仕様(土間・バルコニー納まり)

三和シヤッター工業

高耐風圧・防火対策を兼備

 三和シヤッター工業の「マドモア耐風ガード スクリーンGⅡタイプ 防火仕様」は、大型台風などの被害が増加する中、土間やバルコニー向けに高耐風圧と防火対策を兼備した製品。2階以上のバルコニーや1階の土間への設置ニーズが高いことに対応した。
 延焼の恐れがある部分の開口部には、防火設備の設置が義務。同製品は、防火認定を取得しているため、網入りガラスを使用した防火仕様サッシが不要で、透明ガラスの非防火仕様サッシを使って開放感のある眺望を確保できる。
 独自の補強材の追加や座板ゴムの形状・素材を工夫して高耐風圧を確保しつつ、防火認定を取得した。バルコニーの床仕上げに多く使われるFRP防水層を傷つけずに設置可能。

Voice
三和シヤッター工業 商品開発部 シャッターグループ 住宅建材課 内倉 健 氏

 このたびは、弊社の窓シャッター「マドモア耐風ガード スクリーンGⅡタイプ 防火仕様(土間・バルコニー納まり)」に、2022年モノづくり部品大賞の「奨励賞」を賜り、誠にありがとうございます。
 本製品は、防火性能を有する窓シャッターとしては業界初の、下枠なしで設置することを可能とした商品です。高い耐風圧性能も兼ね備え、マンションや戸建て等におけるバルコニーや土間納まりにも対応し、台風や突風などから住まいを守ります。
 受賞を励みに、今後も防災・減災への取り組みを通じて、弊社の使命である「安全、安心、快適」を提供することにより、社会に貢献してまいります。



奨励賞

理研スピンドル

理研興業

“光る”ガードケーブル

 理研興業の「理研スピンドル」は、道路の側溝にガードケーブルとして設置されるワイヤロープに、発光する導光樹脂線を巻き付ける際に効果を発揮する。
 ワイヤロープは、数本の鉄線を束ねてストランド(小縄)状に作られている。ストランド間には溝ができるため、この溝に合うように作られたのが理研スピンドル。形状に合わせて導光樹脂線を通し、ワイヤロープと一緒に巻き込んでいくだけで光るワイヤロープが完成する仕組みだ。
 さらに、応用製品として、エレベーターワイヤロープ点検器具を開発。材質を樹脂成形品から変更し、鋼材を用いて摩耗損傷のリスクを減らした。どちらも国内のほか、米国、韓国、中国など世界8カ国で特許を取得した。

Voice
理研興業 代表取締役社長 柴尾 耕三 氏

 「奨励賞」という栄えある賞を受賞することができ、喜びの気持ちでいっぱいです。まずは関係各位に深く感謝します。
 当社は、防雪柵の製造を中心に67年間、事業を続けてきました。そこにあるのは、ひとえに当社を育てていただいた地元地域への恩返しと社会への還元にほかなりません。
 そのためにも今回受賞した「理研スピンドル」の一部は、従来から製造している防雪柵の製造過程で発生する廃材を再利用しています。
 今後も、リサイクルによって産業廃棄物の削減を推し進めていくつもりです。



奨励賞

キックボード向け36Vワイヤレス充電システム

ビー・アンド・プラス

スタンドに設置-自動でワイヤレス充電

 ビー・アンド・プラスの「キックボード向け36Vワイヤレス充電システム」は、電動キックボードなど次世代モビリティー向けのワイヤレス充電システム。独自方式で伝送距離が20ミリメートル以上でも給電でき、安全性やメンテナンス性が高いのが特徴。スタンドに設置するだけで自動充電するため、バッテリー交換や有線での充電が不要となり、充電の手間や作業コストを削減できる。
 電磁誘導や電界結合、マイクロ波など幅広いワイヤレス給電方式に対応できる専業メーカーとして、産業用ロボットや無人搬送車(AGV)、電気自動車(EV)、飛行ロボット(ドローン)、家具組み込み、医療用がん治療応用など多様な分野でワイヤレス給電の対応を進めていく。

Voice
ビー・アンド・プラス 代表取締役社長 亀田 篤志 氏

 このたびのモノづくり部品大賞の「奨励賞」受賞に際しまして、誠にありがたく、厚くお礼申し上げます。
 当社では、1984年よりワイヤレス給電製品の展開を始め、多くの製品化、1000件以上の試作対応などを行ってまいりました。ワイヤレス給電が未来の生活を変えていけるよう次世代モビリティーやEVだけでなく、ドローン、家具や医療、業種問わず多くのワイヤレス給電を提案、実現できるようにチャレンジを続けてまいります。
 これまで以上に励んでまいる所存でありますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。



奨励賞

刃先振れ調整式鋳鉄加工用正面削りカッタWSF406W

三菱マテリアル

優れた切れ味-鋳鉄を高能率加工

 三菱マテリアルの「刃先振れ調整式鋳鉄加工用正面削りカッタWSF406W」は、両面式インサート(刃先交換チップ)でありながらも、優れた切れ味を実現し、低切削抵抗で加工面エッジ部のコバ欠け(細かい欠け)を抑えることで、鋳鉄材料の高能率加工が可能。同社の従来片型面式インサートに比べて工具単価や電力費用の削減が見込める。
 インサート厚み方向に大きな高低差のある切れ刃形状を持つ両面Z形状を開発し、採用。また、インサートコーナー部を切り込み角の鋭角なチャンファーコーナー、主切れ刃の切り込み角を工具軸方向への切削抵抗が低い75度とする設計とし、加工面エッジ部のコバ欠け抑制と低切削抵抗の両立を実現した。

Voice
三菱マテリアル 執行役常務 加工事業カンパニープレジデント 田中 徹也 氏

 栄えあるモノづくり部品大賞の「奨励賞」を賜り、誠に光栄に思います。
 鋳鉄部品の仕上げ加工において、独自開発の新技術を組み合わせて顧客要求を満足する工具を商品化できました。今回の受賞で評価いただいたことをうれしく思います。
 今後も、当社が得意とする素材やコーティングをコア技術として、先端技術を活用した高効率製品の提供を目指します。特に何倍、何分の1といった大幅な性能向上を可能とする製品開発を志向し、お客さまのモノづくり、ひいては業界全体の発展に貢献したいと思います。



奨励賞

S-191ExxxxSシリーズ

エイブリック

故障の原因、高温でも早期に検知

 ミネベアミツミグループのエイブリックが開発した「S-191ExxxxSシリーズ」は、電子制御ユニット(車載用ECU)に供給されるバッテリー電圧が、ユーザーの設定した範囲内に収まっているかを監視するアナログ半導体。
 周囲温度が150度Cでも動作が可能で、車載用半導体ICの品質規格「AEC-Q100」で最も高い段階のグレード0に対応している。
 自動変速機(AT)などを制御するECUが搭載された過酷な高温環境の中でも故障の原因を早期に検知できるため、自動車の安全性向上が期待できる。
 動作時の消費電流も0.9マイクロアンペア(標準値)と少なく、バッテリー駆動時間の延長にも寄与する。

Voice
エイブリック 商品開発二ユニット プロダクトマネージャー 桜井 敦司 氏

 このたびは、栄えある賞を頂戴し、誠に光栄に存じます。
 受賞に際しましては、当社が50年以上にわたり培ってきた電源IC開発の技術力、および一貫した製造体制から生み出された安心と安全を兼ね備えた品質の高さを認めていただいた結果ととらえており、大変ありがたく存じます。
  今後も、当社は、自動車業界で劇的な進化が進むCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の各分野に求められる多機能化、電装化、機能安全をサポートする製品を世界中のお客さまに提供し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。



奨励賞

Boost Master

エヌティーツール

ワーク上の切りくず、MC内で除去

 エヌティーツールの「Boost Master」は、マシニングセンター(MC)用の高圧洗浄ツール。
 既存設備の自動工具交換装置に装着が可能で、主軸の回転でクーラントを吐出する。MC内で加工対象物(ワーク)の洗浄ができる。最大吐出量は15メガパスカル(メガは100万)。
 従来、高圧洗浄機や手作業で行っていたワーク上の切りくず除去作業をMC内で完結できる。加工から高圧洗浄までをMC1台に集約でき、工程改善による大幅な生産性向上を可能とする。
 小型ポンプにより高圧水を生成するため、電気使用量が少ない。切りくず除去を別機械で行う場合と比べてCO2排出量を55%削減でき、カーボンニュートラルにも貢献する。

Voice
エヌティーツール 代表取締役社長 太田 智広 氏

 このたびは、モノづくり部品大賞の「奨励賞」を賜り、誠にありがとうございます。
 今回の製品は、生産性向上の助けとなる製品です。
 昨今のモノづくりでは、SDGsへの配慮やさらなる生産性の向上など多くの課題がございます。そのような中で、弊社ではお客さまの抱える「困った、どうしよう、何とかしたい」課題から、開拓の余地のある潜在的なニーズを発見し切り開いていきたいと考えています。
 機会がございましたら、ぜひお声がけください。お客さまとともに、問題解決にむけてご協力させていただきます。



奨励賞

70HRCの高硬度鋼向け超精密・高能率・高耐久性のコンビネーション小径エンドミル

日進工具

高硬度鋼素材、直彫り切削

 日進工具は、70HRCの高硬度鋼素材の精密、微細部品を高能率で耐久性の高い直彫り切削が可能な性能を追求して開発した。工具径2ミリメートル以下とし、ボールエンドミルを荒加工向けに、ラジアスエンドミルを仕上げ加工向けとする組み合わせとした。
 ボールエンドミルは、ポジティブなすくい角として刃先に加わる切削力と熱を考慮した刃先形状により切削精度を高めつつ、送り量と切り込み量の最適化で工具摩耗の抑制を追求した。
 また、工具回転時の遠心力による刃先の振れを最小限に抑えるため、3枚刃の切れ刃形状を採用した。
 ラジアスエンドミルは、耐久性と切削精度を高めるために切れ刃形状などを追求し、平面切削にも対応した高特性に仕上げた。

Voice
日進工具 代表取締役社長 後藤 弘治 氏

 「奨励賞」をいただき、大変光栄です。
 HRCの高硬度鋼でも高精度で高能率な加工ができる工具提案は、お客さまへの付加価値提案の1つの事例として評価いただけたと考えています。今後も、日進工具として「高付加価値製品の創造提供」をミッションとしてチャレンジしてまいります。
 今回、当社のコアプロダクトである無限コーティングプレミアムPlusシリーズ製品を通じての受賞は、当社の開発技術を評価いただけたと受け止め大変うれしく思います。
 今後も、こうした技術を通じて、より良い製造業への発展に貢献してまいります。



奨励賞

排出型軸流式ストレーナ 型式ASW

兼工業

スクリーン外さずゴミ排出

 兼工業の「排出型軸流式ストレーナ 型式ASW」は、本体のコンパクト化とゴミ排出作業を容易にし、メンテナンスの効率化、省人化に貢献する。流体中のゴミを分離・除去するスクリーン部分を取り外す必要がない独自開発の構造により、ゴミ貯留容量を確保しつつ短時間でゴミを排出でき、清掃作業の負担を軽減する。
 本体の上下位置にゴミ貯留部を設け、スクリーンを対面型に配置した排出型軸流式構造を採用。ゴミ貯留部は、手回しで開けることができるキャップで封栓しており、キャップを外し、ブラシなどでたまったゴミをかき出すだけで清掃作業が完了する。
 本体材質をステンレス製とすることで軽量化と高耐久性を実現。材料使用量が従来比で半分以下になり、製造時のCO2削減など脱炭素にも貢献する。

Voice
兼工業 取締役副社長 落合 優 氏

 このたびは、モノづくり部品大賞の「奨励賞」をいただき、光栄に存じます。
 各種設備の配管系統で必須にもかかわらず、ストレーナーは鉄製が一般的でメンテナンスに大変な労力、時間をかけています。
 ASWは、新開発の排出型軸流式構造の採用により簡単で、短時間でのメンテナンスを実現しました。機能を理解していただいた方からは「ぜひ使ってみたい」という声が寄せられ、普及の手応えを感じています。
 今後は、製品寿命の長さとメンテンナスにおける機能・付加価値のバランスを踏まえたの展開を模索し、新しいビジネスモデルとして提案していきます。



奨励賞

樹枝状ニッケル粉

清川メッキ工業

メッキでニッケル粉、純度99.9%

 清川メッキ工業は、電子部品・半導体分野の顧客を中心に、メッキ加工を受託している。今回は初めて、自社製品としてメッキでニッケル粉を作製したユニークな成果となる。
 一見してただの黒い粉に見えるが、電子顕微鏡で観察すると無数のナノサイズの枝分かれ構造になっている。そのため表面積が非常に大きく、低密度にもなる。メッキで作製するため、純度が99.9%以上と高く、銅材料に近似するレベルの導電性を実現している。
 銅粉よりも耐熱酸化性も高く、用途としては電子部品の導電ペーストや電池の正極材、電磁波シールドなどを期待している。低反射率などの特徴もあり、他用途展開と量産製法に重点を置いて開発を続けていく。

Voice
清川メッキ工業 代表取締役社長 清川 肇 氏

 このたびは「奨励賞」を賜り、光栄に存じます。
 今回の「樹枝状ニッケル粉」は、失敗から生まれた製品です。通常、めっき皮膜が樹枝状になることは不良になりますが、実はそこにヒントがあり、普通ではありえない条件を突き詰めていった結果、今回のような非常に特徴のある粉末を完成することができました。
 当社の理念は、「自由なる創意の結果が、大いなる未来を拓く」ですが、まさに自由なる創意を実現した形です。今後も、めっき技術で世の中に貢献できるように、社員一丸となってまい進してまいります。



奨励賞

ラック・ピニオン機構「LJリニアヘッド」

オリエンタルモーター

水平方向に200kgの推力

 オリエンタルモーターの「LJリニアヘッド」は、垂直もしくは水平方向に最大200キログラムの推力を与える直動アクチュエーター。ラック・ピニオン機構を採用、モーターと組み合わせて使うことで重量物の昇降搬送や送り出し機構などの工場自動化に貢献する。
 ピニオンとそれを支持する軸受、ラックとそれを支持するブッシュを1つのケースに組み込んだ状態で提供することで、ユーザー側の機構設計時間の短縮が見込める。ボールネジ機構と比較すると、部品点数とスペースの削減にも寄与する。
 従来品よりも搬送の高強度を実現。工場の自動化案件で複数の引き合いがあり、半導体や食品、機械加工など、さまざまな業界の搬送用途に普及する見通しだ。

Voice
オリエンタルモーター MCカンパニー 機構商品事業部 事業部長 長谷川 洋史 氏

 ラック・ピニオン機構を採用したリニアヘッドは、モーターの回転運動を直線運動に簡単に変換できる商品として、オリエンタルモーターの中でも長い歴史のある商品の1つです。
 「LJリニアヘッド」は、これまでの使いやすさをそのままに、より一層、お客さまの必要とするモーションに対応できるよう開発した商品です。この商品で「奨励賞」を受賞することができ、大変うれしく光栄に思います。
 受賞を励みに、今後もお客さまのさまざまなニーズに応えることができる商品開発に取り組んでまいります。