2022年受賞部品

環境・資源・エネルギー関連部品賞

エコdeヒート(EHP-140-i)

ファインマシーンカタオカ

部品洗浄液、省エネ加温

 ファインマシーンカタオカのヒートポンプ式液加温システム「エコdeヒート(EHP-140-i)」は、部品洗浄液の高効率な加熱により、省エネ性能に優れた加温装置。省エネ性能の高いヒートポンプ技術を生かして、部品洗浄工程でのCO2排出量の削減、エネルギーコストの低減に貢献する。
 さまざまな洗浄液に対応するため、加温は熱交換器を介して行う間接加温方式を採用。液質の負担減、保守性増強、さらに機内排熱も回収利用することで効率を高め、定格約5キロワットの電力で14キロワットの加熱能力を持つ。最高吐出温度は90度C。
 従来の電気加熱ヒーター、蒸気ボイラーでの加熱に比べてエネルギーコストを3分の1程度に低減し、CO2削減につながる。省エネと脱炭素という環境課題解決に貢献するとして、産業用洗浄装置の新しい加温方法として期待できる。

Voice
ファインマシーンカタオカ 常務取締役 メンテナンス部門長 片岡 照喜 氏

 このたびは、「環境・資源・エネルギー関連部品賞」を賜り、大変光栄に存じます。
 「エコdeヒート」は、洗浄工程の省エネ、コスト削減への貢献を目指したヒートポンプ採用による加温装置です。省エネ対策とともに、エネルギー効率の高さがカーボンニュートラルの取り組みに合致するとして、脱炭素化の観点からも顧客の評価をいただいております。
 今後は、性能向上はもちろんのこと、装置の小型化やメンテナンスしやすさなどの改良を重ね、生産性向上、環境負荷低減に役立つ製品開発に努力してまいります。



環境・資源・エネルギー関連部品賞

プラごみの出ないランナーレス4段多段式射出成形金型

三恵金型工業

1つの金型で複数の樹脂部品

 三恵金型工業の「プラごみの出ないランナーレス4段多段式射出成形金型」は、1つの金型で複数の樹脂部品を成形できる金型。最大の特徴は、成形時の溶融樹脂の流路で冷却後に不要となるランナーが出ないことだ。これにより、プラゴミの発生とその焼却で発生するCO2を削減し、環境負荷を低減する。加えて、ランナーをなくすことで材料費を大幅に圧縮し、製品コストを30%低減する。さらに、金型を4段多段式にすることで1台の射出成形機で約4台分の生産が可能となり、生産効率は4倍に向上する。
 同金型は汎用性が高く、自動車、電機、日用品、食品、衣料など幅広い分野に使用できる。1段につき1個取りから16個取りまで設計でき、1ショットで最大64個の多数個取りが可能。また、1段ごとに違う製品を成形可能なため多品種の生産にも対応する。

Voice
三恵金型工業 代表取締役 山田 俊影 氏

 2018年の「機械・ロボット部品賞」に続き、このたび「環境・資源・エネルギー関連部品賞」をいただき、誠に光栄に思います。
 今回受賞した金型は、2018年に受賞した金型を進化させたものです。開発を続けるにあたり多くの方々にお世話になりました。心より感謝申し上げます。
 現在、増加傾向にある電気自動車(EV)は軽量化が必須条件であるため、樹脂部品の採用が増えると考えられます。
 今回の受賞で「ランナーレス4段多段式射出成形金型」の有用性が伝わり、こうした分野の需要をとらえるきっかけになればと思います。



環境・資源・エネルギー関連部品賞

IDEC・ミニヒートポンプハイブリッドシステム

GF技研

空調基幹部品、電力50%削減

 GF技研の「IDEC・ミニヒートポンプハイブリッドシステム」は、新しい空調機を実現するための基幹部品システムで、現在の空調機に比べて電力を50%削減できる。エアコンの冷房・暖房、換気に利用する熱交換の新たな基幹部品システムとして、置き換えを狙う。
 空気と空気を熱交換する「IDEC」という交換器の開発・採用により、無電力で冷暖房の50%を賄う。組み合わせるヒートポンプは、従来の半分程度の容量能力で100%空調を達成できる。IDECとミニヒートポンプの2つの構成部品による相乗効果で、消費電力の約50%削減を確認。エネルギーロスの少ない冷暖房、換気を可能にした。
 この基幹部品システムを使ったプラットフォームエアコン「FFA(フレッシュフリーエアコン)」として製品化し、2023年3月に量産技術を確立、事業化を目指す。

Voice
GF技研 代表取締役社長 梅津 健児 氏

 新しい時代に使われるエアコンの実用化に向け、10年かけて、その準備を重ねてまいりました。
 幾多の失敗を乗り越えた成果が、今回、その基幹技術部品である「IDEC・ミニヒートポンプハイブリッドシステム」がモノづくり部品大賞の「環境・資源・エネルギー関連部品賞」の受賞の栄に浴しましたこと喜びに堪えません。
 今後、地球温暖化防止、新型コロナウイルス感染症対策、建物への太陽電池普及(畜電池不要)へ向けて貢献できますよう努力してまいります。