2022年受賞部品

健康福祉・バイオ・医療機器部品賞

難燃性カートリッジフィルタ「FRシリーズ」

新東工業

フィルター難燃性化、火災防ぐ

 レーザー加工やプラズマ加工時に発生する溶接ヒュームを捕集する集塵機に使用するフィルターを難燃性化し、火災発生を抑制する。従来のフィルターは、加工中に発生した高熱の粉じんなどが付着し、引火する火災事例がたびたび報告されていた。
 それに対し、「FRシリーズ」は、フィルターに新東工業独自の難燃加工を施して、延焼抑制性能を高めた。難燃性能評価「UL94V」において、最も等級の高い「V-0」相当の性能を有しており、万一着火した場合にも延焼を抑えられる。さらに、同性能の濾材と比較し、コストを4分の1程度に低減することを実現。大規模な設備投資をすることなく、フィルターの交換という簡単で低コストな方法で火災対策ができるようにした。着火源の1つである静電気の帯電を防ぐ「帯電防止仕様」もラインアップしている。

Voice
新東工業 取締役 上席執行役員 エコテックカンパニー カンパニー長 中根 幹夫 氏

 このたびは、当社の集塵機用難燃性カートリッジフィルタ「FRシリーズ」に「健康福祉・バイオ・医療機器部品賞」を賜り、誠にありがとうございます。
 当社は、モノづくり現場のさらなる発展には働く人の安全と健康、快適な作業空間の実現が必要と考えています。近年では、モノづくり現場の火災対策に焦点をあて、今回受賞しました「FRシリーズ」も粉塵火災対策の1つのラインアップとして広くご提供しています。
 今後も、働く人が安心して快適な作業空間で働き続けるため、そして豊かな地球環境を未来に残すために、環境関連事業で貢献してまいります。



健康福祉・バイオ・医療機器部品賞

吸引捕虫機「バグキーパーLED」

竹中工務店、日本エアーテック

紫外線光源を活用、電力10%削減

 竹中工務店と日本エアーテックが仕上げた「吸引捕虫機『バグキーパーLED』」は、主に食品や医薬品などの製造設備で用いる。紫外線光源で虫を誘引し、光源カバーと一体化した吸引スリットで捕獲する仕組み。蛍光灯を使う従来機に比べ消費電力を約10%削減するとともに、約4倍の長寿命化を実現した。反射板が不要になるなど設計の自由度が増したため意匠性にもこだわり、美術館や博物館への導入も進んでいる。
 発行ダイオード(LED)化にあたっては、蛍光灯からの単純な置き換えではなく、LEDの強みを十分に引き出せる設計とすることに重きを置いた。また、開発は昆虫行動学の博士号を持つ研究員が担当。実際に虫を使った実験を通してLEDチップの種類や数、角度、光源カバーの仕様などを突き詰め、結果として捕虫量を従来機の約2倍に引き上げることにも成功した。

Voice
竹中工務店 技術研究所 未来・先端研究部 高度空間制御グループ 主席研究員 宮田 弘樹 氏

 昆虫異物混入低減を掲げ、長年にわたって当社が取り組んでいる防虫エンジニアリングにおいて、捕虫機のLED化は長年の悲願であり、先んじて完成させたその技術がこのような賞までいただけたことをうれしく思います。
 培った昆虫の行動研究と紫外線LEDの高機能化とが素晴らしいタイミングで融合し、省エネルギーでありながら最高レベルの捕虫性能を持つ技術を開発することができました。
 今後も、建築の一部としての防虫技術の分野をけん引し、社会貢献していきたいと思います。



健康福祉・バイオ・医療機器部品賞

PE-MBF法による自己組織化単分子表面改質装置 SAMyシリーズ

魁半導体

表面改質―機能の経時変化を低減

 魁半導体の「PE-MBF法による自己組織化単分子表面改質装置 SAMyシリーズ」は、金属板やフィルム、粉体などの表面改質に用いるプラズマ処理向けの装置ユニット。改質で対象物の表面に持たせた撥水や撥油、親水、疎水性などの目的機能が経時変化で低減する課題を解決した。従来と比べて処理時間が短く省エネで、溶媒や触媒、乾燥プロセスも必要とせず、環境に優しいのも特徴だ。
 同ユニットで独自開発した分子結合形成法(PE-MBF)を実用化した。目的機能を付与した特異性のある長鎖の分子をプラズマ状にして材料表面に結合し、改質する。長鎖なので、経時や環境による表面変化は起きなくなる。
 電子部品や食品容器の生産で、表面処理後の次工程までの効果維持の課題が解消でき、生産性向上などが見込める。容器の内容物付着防止、金型の離型性向上、レンズの防汚や防曇性の機能付与など、応用範囲も広い。

Voice
魁半導体 代表取締役 田口 貢士 氏

 このたびは、「健康福祉・バイオ・医療機器部品賞」をいただき大変光栄です。このような素晴らしい賞を受賞するほどの活躍をとげた社員をたたえたいと思います。
 プラズマプロセス技術により接着剤などの溶媒や触媒を不要にする新技術を実用化しました。環境負荷や人体への影響を抑え、時短や省スペース化による脱炭素、省エネなど、SDGs(持続可能な開発目標)に対応したモノづくりへの貢献を評価いただいたと考えております。
 これからも「とにかくやってみる」の社是と自由な発想で革新的な研究開発に挑戦します。