初の金属製－生活音を減衰

　宇都宮工業の「鋼製バネ板材『ミュート』」は、マンションやアパートなど、集合住宅での生活音を減衰する金物。住宅の生活音減衰は防振ゴムを使うのが主流で、金属製は業界初という。
　S字状に曲げた鋼製のバネ板とおもりを組み合わせた構造。鋼製板バネのバネ乗数とおもりから減衰させたい周波数を計算できるため正確に、短期間で製作できる。試験では床衝撃音の防音性能値（L値）で、基準となる性能から2ランク向上を確認している。
　ゴムの特性である可燃性、経年劣化などの課題解消を図り、耐火性に優れ、入居者の安全性に配慮している。また、工事での設置数が従来の防振ゴムの3分の1程度と既存製品との価格面で優位性を持つ。
　ミュートの設置で生活音を大幅に抑える性能を持つ高付加価値集合住宅としてアピールできる点に着目し、大手住宅メーカーで採用が始まっている。

独自の扉構造で高い遮音性

　文化シヤッターの「高遮音スチールドア SDT-DB35 SDT-DB40」は、一般的なスチールドアと同じ扉の厚みでありながら、独自の扉構造によって高い遮音性、意匠性、操作性を実現した。サテライトオフィスの会議室をはじめ、劇場やホールなど、高い遮音性が求められる開口部に適している。
　従来の遮音ドアは、特殊なグレモン錠や特殊ゴムが採用されるため、金額面や重い操作性の理由から、音楽スタジオなどの限られた場所で使用されることが多かった。「高遮音スチールドア」は、汎用のレバーハンドル錠を使用することで軽い操作性を実現した。会議室やオフィスなど使用場所の拡大が見込まれる。
　また、構造を変え、部材の削減や汎用部品に置き換えることで、従来の遮音ドアと比べて重量を25%軽量化した。運搬や施工が省力化し、コスト削減にもつながった。

樹脂・空気の壁で運転手守る

　トヨタ紡織の「飛沫防止パーティション『vi:ease』」は、自動車室内という密閉空間で飛沫の飛散防止対策の商品。同社が培ってきた車室内の技術を活用して開発した。後席からの飛沫を防止するだけでなく、フィルター付き送風ファンで絶えずきれいな空気をドライバーに届ける。空気の壁（エアシールド）を運転席周辺に形成し、飛沫の付着リスクを軽減する。第三者機関の試験で、約9分で1立方メートルの空間で、99.9%の浮遊ウイルスを除去できることを確認した。三次元曲面形状の透明樹脂を利用しドライバーの視認性を確保、防犯対策になるなど、1台で複数機能をあわせ持つ。タクシーやコミュニティーバス事業者などに200台以上の販売実績がある。パーティションはボルトとナットで組み付ける構造で、後付けやリサイクルに向けた素材の分別も容易だ。

作業時間短縮・繰り返し使用

　アイクライスが開発した「簡単装着の荷崩れ防止ベルト『接合及びリング兼用ベルト』」は、倉庫から出荷する段ボール箱などに巻き付けて使う。従来の荷物の固定ではラップのようにストレッチフィルムを巻き付けることが多い。同社は巻き付けに時間がかかり、1回の使用で廃棄しなければならないことを課題とした。
　簡単に固定でき、繰り返し使える機能を追求して生まれたのが接合及びリング兼用ベルトだ。同製品は、面ファスナーとリングを使うことで簡単に固定できる。作業時間の短縮だけではなく、繰り返し使用することでストレッチフィルムにかかる費用の削減にも貢献する。冷凍倉庫など温度がマイナスになる場所でも使用可能。ベルト全体をメッシュ状にしたことで解凍時に荷物での結露の発生を防ぐ。また、固定部分に伸縮性を持たせて運送時の衝撃を吸収する。