2022年受賞部品

機械・ロボット部品賞

省エア増圧弁 VBA*Aシリーズ

SMC

再利用で空気消費量40%低減

 SMCの「省エア増圧弁 VBA*Aシリーズ」は、空圧駆動の自動制御機器に使用される増圧ポンプ。局所増圧が必要な箇所に用いられ、工場ライン圧力の低圧力化、省エネ化に寄与する。増圧時に消費するエアを従来品比40%低減することに成功。従来品との取り付け互換性があるため、装置の改造不要で省エネ化を実現できる。
 排気リターン回路を搭載することにより、従来は捨てていた作動後の空気を次工程の作動に再利用することができるようになった。増圧効率を向上させたことで充てん時間は最大50%短縮。また、内部摺動部品の見直しや衝突部の非金属化によって長寿命化し、従来品比1.6倍となる5000万回以上の作動回数を実現。メンテナンス間隔の期間延長で経済性にも優れる。
 省エネ活動は世界各地であり、今後の普及が期待される。

Voice
SMC 技術本部 開発第2部長 工藤 政行 氏

 SMCは、自動制御機器のリーディングカンパニーとして、産業界の省エネやCO2排出削減への貢献を使命ととらえ、各種の要素研究・製品開発を進めてまいりました。
 「省エア増圧弁 VBA*Aシリーズ」は、空気消費量を最大40%削減することができる製品です。
 今回の受賞を励みとして、今後も引き続き、持続可能な社会の実現に貢献できるよう、研究開発活動に取り組んでまいります。



機械・ロボット部品賞

高硬度鋼用多刃スクエアエンドミル AE-MSS-H・AE-MS-H・AE-ML-H

オーエスジー

高硬度鋼・難削材を安定加工

 オーエスジーの「高硬度鋼用多刃スクエアエンドミル AE-MSS-H・AE-MS-H・AE-ML-H」は、高硬度鋼や難削材であっても、長寿命で生産性の高い加工を実現する多刃スクエアエンドミル。高硬度鋼向け新被膜「デューロレイ」コーティングを採用し、60HRC(ロックウェル硬さ)を超える被削材においても、高い耐チッピング性を発揮し、工具の長寿命化と高速加工を可能にした。
 加工形態に合わせて刃長を変えた「AE-MSS-H」、「AE-MS-H」、「AE-ML-H」の3種類を用意。いずれも不等分割刃を採用し、加工中に発生するびびり振動を抑制して、過酷な切削条件下でも安定して加工ができるようになる。
 また、刃先の欠け防止につながるため、折損や再研磨が無理になるほどの損傷リスクを低減させ、工具材料の省資源化に寄与する。

Voice
オーエスジー デザインセンター 部長 辻村 桂司 氏

 このたびは、モノづくり部品大賞の「機械・ロボット部品賞」という名誉ある賞をいただき、喜びとともに、運営・関係者の皆様にあらためて御礼申し上げます。
 モノづくりの世界では、近年高精度、短納期が重要視されています。今回受賞の「高硬度鋼用多刃スクエアエンドミル」は、金型産業から、自動車、航空宇宙、船舶、医療、機械製造など、あらゆる部品加工の高硬度、難削材を高能率に加工できる新発想の製品です。
 本受賞を励みに、今後も皆様の生産性向上に役立てる製品開発に努めてまいります。



機械・ロボット部品賞

交差深穴加工対応「超硬OHノンステップボーラー 40-50WHNSB」

MOLDINO

深穴、交差穴を高効率加工

 MOLDINOの「超硬OHノンステップボーラー 40-50WHNSB」は、L/D(直径に対する深さの比)40、50の深穴、特に交差穴において高能率加工で長寿命化し、省人化に寄与することを目的に開発した超硬オイルホール(OH)ドリル。ドリル溝の表面状態の改良により、交差穴からクーラントが大量に流出する切削環境でも切りくず排出性の大幅な向上を実現した。
 また、コーナー強度を高めるために、外周コーナーの凸角度や幅などを最適化することで、耐欠損性と耐摩耗性も高めた。
 従来、主に使われているガンドリルと比べて加工能率を3倍に高められ、工具寿命を直角交差穴加工で14倍、斜め交差穴加工で90倍に伸ばせる。高能率化と長寿命化により、加工費用の削減にもつなげられるほか、消費電力量も約5割削減できるなど、環境負荷の低減効果も見込める。

Voice
MOLDINO 野洲工場長 島添 雅浩 氏
      野洲工場 開発技術部長 古野 真弘 氏

 今回受賞した「40-50WHNSB-HTシリーズ」は、交差穴を含め工具直径の40~50倍という深穴の高能率加工を実現します。
 本製品の開発にあたり、さまざまな苦労がありましたが、今回の受賞につながったことを誇りに思います。また、本製品の評価にご協力いただき、採用いただいたすべてのお客さまに感謝申し上げます。
 今回の受賞を励みに、今後も当社の開発技術の発展に注力し、日本のモノづくりに貢献したいと思います。



機械・ロボット部品賞

SMART TOOL SynchroSpinner

牧野フライス製作所

MC装着―シール面加工を効率化

 牧野フライス製作所の「SMART TOOL SynchroSpinner」は、マシニングセンター(MC)による半導体製造装置の超高真空密閉容器や真空バルブのシール面加工の効率化を目的に開発。同社製MCの主軸に特殊な改造をせずに装着できる。
 カートリッジのスライド機構は、主軸の回転運動をラックとピニオンギアで軸移動に変換し、回転数をカウントすることでシール面幅の加工に対応する。シール面の加工範囲は直径20ミリメートルごとにカートリッジをそろえ、1回転あたり0.05ミリメートルのストローク範囲の中でシール面幅に合わせて加工径を制御する。
 シール面加工において、MCで同部品を用いることで、最少の段取り回数となり、工程集約とともに工程移動時間の短縮が可能となる。また、旋削と同様の加工面を得られるため、人的工数も大幅に削減できる。

Voice
牧野フライス製作所 カスタマアプリケーションセンタ長 金谷 潤 氏

 今回の受賞を誠に光栄に思います。
 当社は、工作機械の販売のみならず、お客さまが抱える課題に真摯に向き合い、成功を約束するパートナーとして末永い関係を構築したいと考え活動してきました。
 本製品は、加工者目線で蓄積した経験を糧に、お客さまの困りごとを解決する商品として開発しました。これまでの活動が実を結び商品となり、受賞できたことで喜びもひとしおです。
 今後も、お客さまと一体で、さまざまな課題を解決する製品とサービスを提供し、強い信頼関係を築けるよう取り組みます。



機械・ロボット部品賞

Hayate TypeS

トリーエンジニアリング

高効率の広幅エアノズル

 トリーエンジニアリングの「Hayate TypeS」は、噴射する空気量を高効率化し、コストダウンにつながる広幅エアノズル。飲料、食品業界での容器洗浄後の水滴除去やラベル貼り付け前、印字前工程のほか、製薬・医療機器、半導体関連でも、水滴や異物除去などに使われる。
 独自の内部構造と吐出形状の設計により薄板状のエアを吐出、消費流量あたりの風速も極限まで上がり、打力を高めた。エアの形状維持距離の持続性も長く、静音設計で騒音対策も施されている。
 エア消費量は、従来品と比較して最大5分の1と大幅に削減。エアを供給するコンプレッサーの稼働時間短縮や小型化にもつながり、エア生成のランニングコストに加え、発電に伴うCO2排出も抑制する。
 今後、自動車関連や樹脂成形、金属加工分野などへの展開も視野に入れる。

Voice
トリーエンジニアリング 取締役社長 古堤 裕行 氏

 今回の「機械・ロボット部品賞」の受賞は、光栄で大変感謝しています。
 製品に対する客観的な評価が得られたことは、技術的な自信につながり、これまでの取り組みに間違いがなかったことが裏付けられました。次へのステップのきっかけになるとともに、次の一手の方向性がより明確になりました。その上で、企業規模にかかわらず技術力を磨けば、こうした賞が得られることで、企業運営の目安になれればと思います。
 今後も、産業界の課題解決に貢献できるよう、製品や技術の充実を図る新たなスタートにしたいと思います。



機械・ロボット部品賞

マルチフィットバルブ

CKD

流体制御―耐久性・耐食性を向上

 CKDの多種流体制御用直動式2・3ポート用電磁弁「マルチフィットバルブ」は、市場で求められる高信頼性、使いやすさなどのニーズを取り入れ、新たな構造として開発した流体制御バルブ。
 各種用途で求められる機能を標準装備し、多様な流体に対応する。
 摺動(しゅんどう)部品の一体構造により摺動抵抗を低減したほか、プランジャーとフレアパイプに高耐食性材料を採用。同社の従来品比4倍の耐久性を備えるほか、耐食性を高めた。コイルの着脱を可能にして、メンテナンスを容易にしている。
 圧縮空気の供給やブローの制御、二次電池製造工程でのドライエア供給、洗浄液の給水・排水制御など、幅広い用途で活用できる。 長寿命化による廃棄物削減、省電力化などでカーボンニュートラルへの貢献につなげる。

Voice
CKD 代表取締役社長 奥岡 克仁 氏

 この度は、「機械・ロボット部品賞」という素晴らしい賞をいただき、大変光栄に存じます。
 マルチフィットバルブは、「高い信頼性」、「使いやすい」、「選びやすい」をコンセプトとして、流体制御バルブのNEW STANDARDを目指して開発しました。
 本製品は、新開発の高効率コイルにより消費電力を大幅に低減しており、環境負荷低減につながるとともに、高耐久性能を実現したことで信頼性も向上しておりますので、流体制御のあらゆる場面で活用されることを期待しています。
 今回の受賞を励みとし、今後もサスティナブルな社会に貢献できるモノづくりに取り組んでまいります。



機械・ロボット部品賞

高靭性・高切削性 新冷間ダイス鋼 SLD-f

日立金属

金型ダメージ軽減、加工時間短縮

 日立金属は、金型へのダメージ軽減とサプライチェーンでの工数短縮を両立させた新たな冷間金型用鋼を開発した。
 自動車骨格部品(プレス部品)の成形では、近年、衝突安全性の向上や軽量化でより高強度・高硬度を志向した「“超”ハイテン鋼板」化が進んでおり、成形加工時に金型に与えるダメージが深刻化している。
 本製品は、高硬度でありながら高い靭性をあわせ持ち、プレス加工での耐チッピング性や耐久性に優れる。焼き戻し時に安定した硬さが得られ、表面処理での皮膜密着性の向上、変寸の低減といった効果も得られる。
 さらに、炭化物の微細化と切削加工時の工具表面へのベラーグ(付着成分)発生を促す成分設計により、一般的な冷間金型用鋼より約3.5倍の高効率な切削加工が行える。これにより、顧客の金型加工時間の短縮に貢献する。

Voice
日立金属 執行役 金属材料事業本部長 谷口 徹 氏

 このたびは、栄誉ある賞をいただき、大変光栄に存じます。
 本製品は、カーボンニュートラルの取り組みの一環として、サプライチェーン全体のリードタイム短縮が求められる中、顧客の開発・生産への準備期間の工期短縮ニーズに対応しました。
 さまざまな特性を同時に実現できる成分設計と、量産に適する生産技術の確立に一同の知見をつぎ込みました。また、ベラーグ(付着成分)の生成による工具の保護は、かねて知られる技術でありながら、この積極活用を目的にした鋼材製品は、成分設計の上で当社初の試みとなり、新たな挑戦でした。



機械・ロボット部品賞

半導体製造装置用 超小型IoTバルブ

フジキン

バルブの開閉状態を正確に把握

 半導体製造装置用のセンサー付き超小型IoT対応バルブ。既存のファイバー式や近接式センサーでは、幅10ミリメートルの超小型バルブへのセンサー取り付けが困難だったが、本製品は、独自の検知体方式センサーを使用することで、超小型バルブへのセンサー取り付けを可能にした。
 「ピストンが上昇してバルブが開いた状態と判断したが、実際は開いていなかった」などのトラブルも解消した。半導体製造プロセス全体で不具合が起きると大きなロスになる。そのため、各種ガスを流量制御する多数のバルブの開閉状態を正確に把握する必要がある。
 バルブのアクチュエーターに操作ガスが流入するとピストンが上昇し、ダイヤフラムの反力でダイヤフラムの押さえが上昇した際にセンサーが反応し、LEDが点灯して確認できる。これによりバルブの品質管理レベルを高められ、予知保全にも役立つ。

Voice
フジキン 取締役 技術統轄本部 副本部長 西野 功二 氏

 おかげさまをもちまして、19年連続でモノづくり部品大賞の賞を賜り、大変栄誉あることと感動しております。心より厚く御礼申し上げます。
 昨今、半導体の回路が高集積化し、ウエハーが大口径化する中、半導体製造プロセス全体で不具合が起きると大きなロスになります。そのため、各種ガスを流量制御する多数のバルブのダイヤフラムの機能など、開閉状態を従来以上に正確に把握する必要があります。
 受賞製品である半導体製造装置用のセンサー付き超小型IoT対応バルブは、独自の検知体方式センサーを使用し、サイズを従来品の3分の1に縮小するなど、バルブの品質管理レベルを高められる製品です。
 私どもフジキンは、超精密流体制御機器の製品を通し、今後も半導体が支える豊かで安全・安心なデジタル社会の実現に貢献してまいります。



機械・ロボット部品賞

調理麺製造ライン用自動麺ほぐし・調味機「ネオマザール」

ソディック

人手不足、異物混入リスクを解決

 ソディックの「調理麺製造ライン用自動麺ほぐし・調味機『ネオマザール』」は、従来手作業で行っていた調理麺のほぐし・調味工程を自動化することで、人手不足や異物混入、やけどなどの労災リスクといったさまざまな課題を解決した。
 調理麺が入るカップには、滑りが良い特殊エンボス板を採用。麺やソースとカップが点で接することで、ソースが効率良く麺に絡む。麺の飛び出し防止と排出を促す独自形状とし、内部にカップと同材質の板を設けることで、カップ内で麺が塊にならずにほぐされる構造とした。55度傾斜した本体にカップを固定するなどして、麺が持ち上げられて落下する仕組み。これらにより、麺に油やソースが均一に行き渡るようにした。
 ほぐし・調味工程の作業員を半減できるため、人件費の削減が見込める。

Voice
ソディック 食品機械事業部長 神野 久彦 氏

 本製品がニューノーマル(新常態)な社会の要請にかなっていたことが、受賞の要因と受け止めています。
 当社として、食品鮮度の延長や人手不足への対応といった食品業界を取り巻く諸課題を解決するために、従業員の努力の結晶として今回の製品を世に送り出しました。
 今回の受賞により、次の新しい製品開発へ向けて大きな力を得られた思いです。
 当社は、食品機械の総合メーカーとして、環境対応および社会的責任を念頭に置きながら、今後も市場ニーズにマッチした製品を提供してまいります。