電気・電子部品賞
αi-D series SERVO ACリアクトル
ファナック
高調波抑え ノイズ低減
ファナックの「αi-D series SERVO ACリアクトル」は、工作機械の入力電源部に設置される高調波電流抑制のためのACリアクトル。商用電源とアンプの間に挿入することで、電流の高調波抑制やノイズ低減の役割を果たす。独自の六角形の構造を採用し、小型化と損失低減を実現した。これにより工作機械の制御盤の小型化と省エネルギー化に寄与する。
一般的な内鉄構造のリアクトルとは異なり、同社で製造・販売している同期電動機や誘導電動機の固定子の設計思想をベースに、鉄心に独自の正六角形の外鉄構造を採用した。これにより漏れ磁束を大幅に低減し、従来のACリアクトルに対して重量比でのインダクタンス値を向上した。また、三相分のコイルや鉄心をそれぞれ120度の等角度で配置することで、相間のインダクタンスのバラつきを抑えた。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現にも貢献する。
Voice
ファナック 代表取締役社長 兼 CEO 山口 賢治 氏
このたびは、栄えある賞をいただき、誠に光栄に存じます。
当社は1955年にNCの開発をスタートさせて以来、一貫して工場の自動化を追求してきました。
「αi-D series SERVO ACリアクトル」は、入力電源の高調波電流抑制用のACリアクトルであり、当社αi-Dシリーズサーボに適用されています。独自の六角形構造を採用し小型化と損失低減を実現しました。これにより、工作機械の制御盤の小型化と省エネルギー化に寄与します。
今後も、製造の自動化と効率化を推進し、国内外の製造業の発展に貢献してまいります。
電気・電子部品賞
AZシリーズ直交軸FCギヤードタイプ取付角寸法35mm
オリエンタルモーター
省スペース・小型化 実現
オリエンタルモーターの「AZシリーズ直交軸FCギヤードタイプ取付角寸法35mm」は、フェースギアを採用した小型の直交軸ギヤードモーター。負荷軸に対してモーターを直角に配置することができるため、装置からのモーターの張り出しを抑えて、省スペース・小型化を実現する。市場で高まる省スペース・小型化のニーズに応えた。高精度なステッピングモーターを用いた直交軸商品としては業界最小サイズとなる取付角寸法35ミリメートルをラインアップに追加した。
駆動ピニオンとかみ合う歯車に、円盤状のフェースギアを用いて出力軸を直交に変換した。直交にすることで、軸方向の張り出しを抑えて、スペースメリットを出すことができる。また、フェースギアの小型化で、従来品に比べて扁平・軽量化を実現した。3種類のギア減速比を用意し、幅広いトルク帯に対応する。また、高強度で許容ラジアル荷重が大きい。
Voice
オリエンタルモーター MCカンパニー 機構商品事業部 事業部長 長谷川 洋史 氏
「αSTEP AZシリーズ 直交軸 FCギヤードタイプ」は、小型「フェースギア」を採用した業界最小サイズの小型直交軸ギヤードモーターです。「フェースギア」の歯当たり調整方法にも工夫を取り入れ、位置決め精度の向上も実現しました。市場でさらに高まる「省スペース・小型化」のニーズに対応した商品で、「電気・電子部品賞」を受賞することができ、大変うれしく光栄に思います。
受賞を励みに、今後もお客さまの多様なニーズに応える商品開発に取り組んでまいります。
電気・電子部品賞
スイッチング電源装置「TEPS/TECS」
コーセル
電力変換の損失50%減
コーセルの「TEPS/TECS」は、交流(AC)から直流(DC)に変換する小型・高効率のスイッチング電源装置。半導体製造装置をはじめとする産業機器やエレベーター制御など、多様な電気機器に組み込まれている。脱炭素を進める上で課題となっている各種機器の電力損失を抑える有力な手段として注目されている。
次世代半導体である窒化ガリウム(GaN)半導体や独自のトランス(変圧器)構造の採用などで、電力変換時の損失を同社従来品よりも約50%低減することに成功。無負荷時の待機電力も0.2ワット(230ボルト入力時)に抑えたことで、各種機器のエネルギー消費を大幅に減らせる。
スイッチング周波数を高周波化し、電源内部の部品であるトランスやフィルターの小型化を達成。設置面積を従来品比65%低減し、産業機械や電気機器の小型化に寄与する。
Voice
コーセル 執行役員 開発統括 廣川 芳通 氏
このたびは、「電気・電子部品賞」を賜り、誠に光栄に存じます。
当社は、長年にわたり交流を直流に変換するスイッチング電源の開発・製造・販売に尽力してまいりました。
今回の受賞対象である「TEPS/TECS」は、電源の高効率化と小型化の追求が電源メーカーとしての使命であるという強い信念のもとに開発しました。電源の高効率化を通じて世界共通の課題である脱炭素の実現にも貢献できればと考えております。
今後も、お客さまの課題解決を支援し、持続可能な社会の実現に向けて貢献をしていく所存です。
電気・電子部品賞
半導体ガス濃度計
フジキン
ガス濃度変化、高速測定
フジキンは、半導体製造に使うプロセスガスの濃度をリアルタイムに高精度で測定する濃度計を開発した。紫外(UV)光を照射する発光ダイオード(LED)光源を使い、プロセスガスの光の吸収率から濃度を算出する。赤外光や超音波を使う市販の濃度計の検出時間が秒単位であるのに対し、同製品の検出時間は0.01秒以下で、濃度変化を高速に測定したいというユーザーニーズに対応する。原子層レベルでの成膜やエッチングを行う最新の半導体製造プロセスでの採用を見込む。
ガス供給ラインに設置できる小型装置で、測定部を内蔵するガスユニットは150度Cの耐熱性を持ち、インジウムなどの金属を原料にしたプロセスガスの測定に対応できる。ガスの流路内で不純物の発生要因となるゴムリングやロウ付けなどを使わず半導体製造工程のクリーン度を保つ。
Voice
フジキン 代表取締役社長 田中 久士 氏
おかげさまをもちまして、今年も受賞することができました。今回で21年連続となり大変光栄に存じます。
この製品は、徳島大学の出口祥啓教授との共同研究で生まれました。この場をお借りして、ご協力いただいた皆様に心より感謝を申し上げます。
最新の半導体製造プロセスにおいて、ガスの濃度管理は欠かせません。成膜やエッチング工程において濃度変化を高速で計測したいというお客さまのニーズから、製品開発を進めてきました。
今後も、長年にわたり培ってきた流体の制御技術を生かし、高性能で付加価値の高い製品開発を目指してまいります。
電気・電子部品賞
小型真空プラズマ装置用交流高圧電源「PKM-VP20」
魁半導体
100キロヘルツで駆動、樹脂にも対応
プラズマ装置メーカーとしての知見を生かし、卓上サイズなどの小型真空プラズマ装置用として最適な特性を備えた交流高圧電源。
プラズマ技術の用途は、半導体や医療、バイオなどに広がり、樹脂の処理ニーズが高まっている。同製品は、親水化や接着性向上といった機能を付与するプラズマ処理を、熱に弱い樹脂にも施しやすい100キロヘルツ前後の周波数で駆動できる。従来電源より周波数が高く、プラズマ装置の電極が絶縁体に覆われていても影響が出にくい上、プラズマ密度も高くでき、樹脂の表面改質処理効果に優れる。
幅100ミリ×奥行き50ミリ×高さ55ミリメートル、重さ200グラムと、従来電源より小型でかなり軽い。マイコン制御でモード切り替え、自動シャットダウン、電力値モニター出力といった機能を持つ。自社装置への採用に加え、同業他社にも販売している。
Voice
魁半導体 代表取締役 田口 貢士 氏
「電気・電子部品賞」を賜り、心より御礼申し上げます。
「小型真空プラズマ装置用交流高圧電源『PKM-VP20』」は、サプライチェーン問題による調達難や価格高騰といった課題に応えるべく、西院事業所長を中心に試行錯誤を重ねて開発しました。マイコン技術や周波数帯を駆使し、装置に最適な電源を追求する創意工夫でプラズマ処理効果向上を実現しました。この成果が評価されたことを光栄に思い、日頃より支えてくださる取引先の皆さま、挑戦を続ける社員に心より感謝申し上げます。
今後も、社会に貢献する技術開発にまい進してまいります。
電気・電子部品賞
高強度・高耐摩耗トロリ線「SNH合金トロリ線」
プロテリアル
強度1.3倍、メンテ削減
プロテリアル(旧日立金属)は、スズ・インジウム系銅合金を適用した「SNH合金トロリ線」を開発した。
トロリ線は、高張力で線路上に架設されており、強度と導電性を要するほか、最近ではメンテナンス性を考慮した耐摩耗性も求められている。パンタグラフとの摺動で摩耗するため定期的な交換を要するが、工事業者の減少で長期間使用してメンテナンス頻度を減らすニーズが鉄道業界で高まっている。
トロリ線の張り替え基準は、張力およびトロリ線の引っ張り強度によって決められるため、高強度化により、長期使用が可能。さらに耐摩耗性の向上は、張り替え基準になる期間の長期化につながる。
SNH合金トロリ線の強度は、一般的なスズ入り銅合金線の約1.3倍、かつ摩耗量も低減しておりメンテナンス工数削減を実現する次世代トロリ線であり、鉄道網へのさらなる貢献が期待される。
Voice
プロテリアル 電線事業部長 高橋 佳裕 氏
このたびは栄えある賞を頂戴し、光栄に存じます。
「SNH合金トロリ線」の開発では、材質を吟味し、強度と耐摩耗性を向上させることに、知見を結集しました。また、検査簡易化の工夫に関し、お客さまの課題に寄り添い解決策を提案し続けてきたことが、本受賞に結実したと感じています。さらに、納期・サービスにおいても積極対応してお客さまとの信頼関係を深めることが、社会課題の解決にもつながると信じています。
今後も、鉄道網の保安やスマート化に貢献する材料の開発に挑戦し続けてまいります。
電気・電子部品賞
ユニット型パワコン
ダイヘン
ユニット単位 柔軟に構成
ダイヘンの蓄電池システム向けパワーコンディショナー「ユニット型パワコン」は、ユニット単位で柔軟にシステムを構成でき、高エネルギー密度の蓄電池への接続を可能にした業界初の製品だ。構成機器を削減し設置面積も減らせ、課題だったコストの大幅削減につながる。社会の脱炭素化の流れから、再生可能エネルギーのニーズは高まる。再生エネを最大限活用できるパワコンは注目され、同製品で市場拡大を狙う。
出力容量170キロワットごとにシステム構成が可能だ。系統用蓄電池や自家消費型太陽光発電など幅広い容量のシステムが組める。炭化ケイ素(SiC)半導体を採用し、1500ボルトの高電圧設計を施した。高エネルギー密度の蓄電池につなげれば、蓄電池の設備台数が減らせ、コスト削減になる。省スペース化に貢献でき、屋外使用も実現した。
Voice
ダイヘン 取締役専務執行役員 木村 治久 氏
「電気・電子部品賞」をいただき、ありがとうございます。
脱炭素社会の実現に向け、蓄電池の重要性が高まっています。受賞の「ユニット型パワコン」は、蓄電池システムを構成するパワーコンディショナーを高電圧・高密度・高効率かつ、多様な容量に対応できるユニット型にして、設置面積とコストの大幅削減を実現した業界初の製品です。大規模な蓄電所から太陽光発電の自家消費を行う事業所まで対応可能です。
今回の受賞を励みに、脱炭素社会実現に貢献できる製品開発を進めてまいります。