2024年受賞部品

奨励賞

圧造完結品

昭和金属工業

冷間圧造1工程で生産

 昭和金属工業の「圧造完結品」は、自動車などモビリティー向けの樹脂製品で使うナット部品。冷間圧造と転造の2工程で生産していたインサート成型用ナット製品を、冷間圧造の1工程で生産できるようにした。転造がなくなり、仕掛品の輸送が不要になることなどで、製造時間を30~40%減らせた。生産量は、1時間当たり6000個。品質と性能は、既存製品と同等以上であることを確認した。製造コストを減らし、生産効率を高めることで、価格は従来品に比べ20~30%下げられる。顧客が製造するモビリティー製品のコスト低減につなげる。
 2024年2月から販売代理店にサンプル出荷を始めた。今後、モビリティー製品向け樹脂成型品の市場獲得を狙う。

Voice
昭和金属工業 代表取締役社長 小谷 侑久 氏

 このたびは、当社の開発製品に「奨励賞」を賜り、誠にありがとうございます。
 日々厳しくなっていく国内製造業分野では新しいことに取り組み続け、歩みを止めないことが生き残る唯一の方法だと思っています。
 当社のインサートナットは、樹脂製品と金属製品を連結するための補強用ナットとして使用されます。切削工程や転造工程を省くことで、お客さまにより低コストで柔軟性のある提案ができるよう開発されたものです。
 今後も、ナットメーカーとして、付加価値を追究し続け、お客さまや社会に貢献できる企業を目指していきます。

奨励賞

YRMコントローラ YRM1010

安川電機

処理性能 50%アップ

 安川電機のコントローラー「YRM1010」は、装置や産業用ロボットなどで構成する「セル」を制御し、時系列がそろったデータを収集、生産設備にフィードバックする。また、そのデータを解析するソフトウエアツール「安川コックピット」と連携させることで、セルの稼働率や生産品の品質を向上させる。
 製造現場では、モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)を使った効率化が進められているが、実現には設備の稼働状況(データ)の把握が欠かせない。YRM1010は、同社が提唱する生産現場の自動化コンセプト「アイキューブメカトロニクス」を具現化する戦略製品。従来のコントローラーに比べて処理性能を約50%高めた。

Voice
安川電機 代表取締役社長 小川 昌寛 氏

 今回の受賞は、誠に光栄です。
 生産の自動化は進展していますが、いまだ品質の安定化や止まらない生産、変種変量の実現など多くの課題があります。当社は、データの活用によって、これら課題を解決するソリューションコンセプト「アイキューブメカトロニクス」を推進しています。「YRM1010」は、その中核となる製品で、データに基づいて生産を変えていくコントローラーとして開発しました。蓄積してきた制御やデータ活用技術を駆使することで目標を達成でき、活用が始まっています。
 今後も、お客さまの課題に向き合い、生産の自動化を推進してまいります。

奨励賞

マニホールドコントローラおよび対応電動アクチュエータ

SMC

16軸の動作指示 実現

 SMCの「マニホールドコントローラおよび対応電動アクチュエータ」は、エア源を準備できない環境下での製品の組み立てや製造、検査などを省人化、自動化するために使用される電動アクチュエーター用の駆動装置(コントローラー)となる。国連の持続可能な開発目標(SDGs)への対応や二酸化炭素(CO2)削減が求められる自動車や半導体などのあらゆる産業に貢献する。コンパクトなコントローラーで最大16軸の動作指示を可能とする。省力化の進展に伴うコントローラーのコンパクト化の要求に応えた。独自のモーター制御技術により、モーター消費電力を削減。同じ作動条件の従来製品と比べて電力消費量を最大38%削減する。
 また、エア機器におけるマニホールドバルブのようにコンパクトで簡単に増設できる。メンテナンス性も考慮した。

Voice
SMC 取締役常務執行役員 土居 義忠 氏

 本製品は、従来1対1だったコントローラーとアクチュエーターの関係を、アクチュエーター自動判別機能によりユーザー自身でカスタマイズ可能にした“顧客ファースト”な製品です。
 従来は、個別に配線していたコントローラーを無配線で連結したことで、大きな省スペース化と省配線化が図れます。また、アクチュエーターは、新型モーター採用で消費電力、CO2排出削減にも貢献し、環境にも配慮した製品になっています。
 今回の受賞を励みに、よりお客さまに役立つ製品作りを目指します。

奨励賞

楕円振動型直進フィーダ「クロスドライブリニアフィーダ」

NTN

業界最速18メートル~高速搬送~

 NTNの「クロスドライブリニアフィーダ」は、業界最速となる1分間当たり最高18メートルの高速搬送と、搬送を補助するエア(圧縮空気)の削減を両立した直進フィーダー(振動式部品供給装置)。
 板バネを水平方向と垂直方向に交差させる独自設計により、搬送の動力となる高振幅で高周波数の()(えん)振動を発生させる。
 フィーダーは、振動のバラつきで部品の停留や逆流が生じるが、それを打ち消す機構の「ピッチング運動」を備え、業界従来比で約3倍となる最高速を可能とする。この結果、エアの消費量を同比約5分の1に削減できる。搬送によってはエアがまったく不要な場合もある。稼働音を自社従来製の67デシベルから56デシベルに抑え、静音性も備えている。

Voice
NTNテクニカルサービス 代表取締役社長 堀本 英文 氏

 このたびは、「奨励賞」を賜り、誠にありがとうございます。
 製造現場の生産性の向上やカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に向けて、パーツフィーダには、搬送速度の向上に加え、補助エア量や消費電力の削減が求められています。
 今回受賞した「クロスドライブリニアフィーダ」は、エアレスでの高速搬送を実現しており、製造現場の自動化、省エネルギー化の決め手としてご満足いただけるものと考えております。
 本受賞を励みに、今後ますます、お客さまの要求に応える商品開発に力を注ぎ、製造現場の課題解決とモノづくりの発展に貢献してまいります。

奨励賞

金型磨きレス加工用工具

日産自動車

切削・バニシング加工 同時に

 日産自動車の「金型磨きレス加工用工具」は、金型製作時の()(いし)やサンドペーパーによる磨き作業を機械化するもので、作業者の業務負荷や精神的負担の削減に寄与する。
 すくい面で切削加工し、逃がし面の外周2番面を平たんにすることでバニシング加工を同時に行うことが可能。切りくずの発熱と刃先の摩耗を抑制する刃先形状を採用した。工具の回転数や送り速度を変更せずに面粗度を向上できる。
 金型製作では、熟練技能者による磨き作業が必須で、重労働が課題だった。また最近では、デザイナーの意匠を再現するため、金型の要求精度が高精度・高品質化しており、作業のバラつきを抑制する必要がある。人にやさしい作業環境の実現に貢献する。

Voice
日産自動車 車両生産技術開発本部 プレス技術部 部長 岡本 辰也 氏

 このたび、「金型磨きレス加工用工具」が「奨励賞」を賜り、心より感謝申し上げます。
 金型製作では、機械加工後に熟練作業者による()(いし)やサンドペーパーを使った加工面を磨き上げる作業が発生します。本工具は、熟練作業者による高負荷業務の負担軽減および金型製作の精度・品質向上により、デザイナーの意図する造形面の再現を目指し開発をしました。近年の高精度要求に応えるため、機械加工による均一な仕上がりを実現しました。
 今後も、さらなる技術革新を追求し、高精度加工と誰もが働きやすい環境づくりに貢献してまいります。

奨励賞

ディスクカッタ PFDC

オーエスジー

フライス加工 高効率化

 従来のボディー形状を大幅に改良し、小型マシニングセンター(MC)での非鉄金属やプラスチックの正面フライス加工の高能率化を実現した。
 チップルームを大きくとることで、ボディーを軽量化し、小型MCでも外径125ミリメートルのカッターの使用を可能にした。通常、軽量化にはアルミボディーを用いることが多いが、同製品は鋼ボディーを採用して高剛性を確保。カッターの全長を短くし、突き出しによるびびりを抑えた。
 また、非鉄金属との摩擦に対して優れた抵抗力を発揮するダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングを施したインサートで、耐摩耗性、耐溶着性を向上。工具寿命を延ばして、工具交換頻度の削減につなげた。

Voice
オーエスジー 執行役員 デザインセンター長 桝田 典宏 氏

 このたびは、「奨励賞」の受賞にあたり、喜びとともに、運営・関係者の皆さまにあらためて御礼申し上げます。
 欧州をはじめとして、消費電力や二酸化炭素(CO2)排出量の削減など、環境配慮への活動の需要が高まる中、今回の「PFDC」は、加工機のダウンサイジングにおける消費電力削減の取り組みで課題となる切削工具の重量問題に対し、工具形状を大幅に改良し、軽量化と高剛性を実現した画期的な製品です。
 本受賞を励みに、今後も皆さまの生産性向上に役立ち、環境にやさしい製品開発に努めてまいります。

奨励賞

BX止水板 ラクセット ハイタイプ

文化シヤッター

 文化シヤッターの「BX止水板 ラクセット ハイタイプ」は、「エコと防災」を掲げ、操作性と意匠性、止水性能と汎用性を高い次元で具体化した。オフィスビルや商業施設など非住宅の開口部をターゲットとし、幅2000ミリメートルサイズに対して約5分でより簡単に素早く設置できる。
 開口部の幅が2000ミリメートルを超える場合も、中柱を立てればパネルの連装設置も可能。基本的に開口幅は無制限に対応できる。
 止水パネルを追加し最大3段まで積み上げることで、高さ1500ミリメートルまでの浸水に対応可能とした。パネル1枚当たりの重量は最大約14キログラムで、市場に流通するアルミニウム製の脱着式止水板と比べて30%ほど軽量化。操作性も追求した。

Voice
文化シヤッター 商品開発部 開発一部 安西 利樹 氏

 このたびは、「奨励賞」を賜り、誠に光栄に存じます。
 当社は、水害によるBCP対策を通じて多彩なモノづくりをし、持続可能な快適環境を提供しています。「ラクセット ハイタイプ」は、事前の設置工事で両サイドに設けた枠のガイドに、パネル側面にあるローラーをはめ込んだ後、パネル表面にあるラッチを枠に差し込むだけの簡単操作で、間口幅2メートルの開口高さを1.5メートルの高さまで浸水対策をすることができる特徴の商品です。
 受賞を励みに、今後も高機能商品の開発に取り組み、お客さまから頼られ、また選ばれる企業となることを目指してまいります。