環境・資源・エネルギー関連部品賞
エコdeヒートEX
ファインマシーンカタオカ、ディグリー、中部電力、中部電力ミライズ
エネルギー効率11%向上
ファインマシーンカタオカ、ディグリー、中部電力、中部電力ミライズが共同で開発した「エコdeヒートEX」は、金属機械部品の洗浄工程で使用する洗浄液の循環加温ヒートポンプ。従来の温水と洗浄液を間接的に熱交換する方式を見直し、冷媒と洗浄液を直接熱交換させることで2個あったポンプを1個にした。また、洗浄液を旋回させながら流速を高めて電熱性能をアップ。エネルギー消費効率(COP)は、従来機比で約11%向上した。
熱交換器は、プレート式だったものをコイル式に変更した。冷媒を通すコイルは、直径10ミリメートルのステンレス鋼製。耐食性に優れ、2本合わせて容器内にセットする。洗浄液の汚れが熱交換ユニット内に溜まりにくくなり、これまで2~3カ月に一度だったメンテナンスが、同製品のモニターによっては6カ月間不要になった。また、メンテナンス時間を6時間から1時間半に短縮。洗浄機の停止時間を短縮し、生産性も向上する。
Voice
ファインマシーンカタオカ 専務取締役 片岡 照喜 氏
受賞できたことを嬉しく思います。
今回受賞した部品は、2022年モノづくり部品大賞の「環境・資源・エネルギー関連部品賞」を受賞した機種に、ユーザーから寄せられた声を反映した新タイプです。従来機は熱交換プレートの間に汚れが溜まり効率が低下したり、メンテナンスに長時間を要したりしていました。本機は、2年の開発期間を経て問題を解決。
熱交換器は、コイル式として汚れが付着しにくい構造。コイル式は10年以上前に別の熱交換ユニットを研究していた際に使った技術です。これを掘り起こして洗浄液と直接熱交換する技術に結びつけました。機械の稼働時間にシビアなモノづくり企業に受け入れられるはずです。
環境・資源・エネルギー関連部品賞
「TungFeedBlade」内部給油機能付き突切り工具
タンガロイ
切りくず処理 改善
タンガロイの「TungFeedBlade」は、強化型ブレード、内部給油型の高剛性ツールブロック、金属積層造形(AM)機で製造した専用クーラントノズルの3部品で構成される突切り加工用の切削工具。強化型ブレードは、工具高さを従来比最大2.8倍に増大し、曲げ剛性を向上した。2面拘束仕様の高剛性ツールブロックは接触面積が広く、大きな切削抵抗にも対応でき、高能率加工に貢献する。
内部給油型ツールブロックと専用クーラントノズルの組み合わせにより、クーラントの流量を従来比4倍に拡大し、切削インサート(刃先交換チップ)の寿命延長と切りくず処理の改善に寄与する。
また、ツールブロック上部のノズルとインサート保持部下側の2カ所からクーラントを吐出することで、加工ポイントへ確実に供給できる。これらの対策で製造原価や環境負荷の低減に貢献する。
Voice
タンガロイ 技術本部 切削工具開発部 旋削工具開発グループ 主任 宮澤 駿輔 氏
このたびは、「環境・資源・エネルギー関連部品賞」を賜り、誠に光栄に存じます。このような名誉ある賞をいただけたことは、私たちの努力と技術が認められた証であり、大変うれしく思います。
本製品は、従来の工具が抱える課題である工具剛性とクーラント吐出量の改善を目指し、革新的な技術を追求しました。また、モノづくりに欠かせない切削工具として、日々の環境保全にも貢献できると信じております。
今後もお客さまの生産性向上とカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に寄与する製品開発に取り組み、日本のモノづくりに貢献してまいります。
環境・資源・エネルギー関連部品賞
レンズ形切れ刃を有する高送り高精度5軸MC向け3枚刃エンドミル MLFH330
日進工具
MCの消費電力 削減
日進工具の「MLFH330」は、精密な微細加工が可能な5軸制御マシニングセンター(MC)向けに開発した3枚刃のエンドミル。金型加工で3軸制御MCから5軸制御MCへの切り替えが進む中、ボールエンドミルが中心的に使われている金型の成形部の切削を新たな観点で追求。底刃に工具半径より大きい「R形状」の切れ刃を独自に設計したことで、同じ工具外径のボールエンドミルと比べピックフィードや送り量を大きくでき、高能率な精密微細切削を実現した。切削加工時間は従来の約半分に短縮が可能で、MCの消費電力削減で発電時の二酸化炭素(CO2)排出削減にも貢献する。
また、底刃に同じ曲率を持つR8のボールエンドミルと本部品を比較すると、1本あたりの超硬素材体積比は約20分の1となり、原材料のタングステンやコバルトの使用を大幅に削減でき省資源化も見込める。
Voice
日進工具 代表取締役社長 後藤 弘治 氏
このたびは、栄えある賞を賜り、誠にありがとうございます。
本製品は、マシニングセンターの消費電力や電力発電時の二酸化炭素(CO2)排出削減、また貴重な資源であるレアメタル(タングステン、コバルト)の使用量を削減し、省資源化に貢献します。小径エンドミルで高能率かつ長寿命な切削加工を可能とし加工時間や使用工具本数の削減、大径エンドミルからの置き換えもできる製品です。
当社のブランドコンセプトは“「つくる」の先をつくる”です。今回の受賞を励みに、精密・微細な金型市場や地球環境に貢献でき、お客さまに有益な製品を開発してまいります。