健康福祉・バイオ・医療機器部品賞
防災マット「MATOMAT」
太平洋工業
災害時、避難所のマットに
太平洋工業の「MATOMAT(マトマット)」は、普段は学校などで椅子のクッションとし、災害発生後は連結して避難所のマットにできる防災用品だ。防災で課題となる備蓄倉庫の確保、避難所への輸送が不要になる。
本体は、ウレタンフォーム製でクッション性や断熱性がある。形は350ミリメートル角で厚さは30ミリメートル。特許を取得した面ファスナーによる接続方法で、段差や隙間もなく簡単に連結でき、寝返りなどをしても外れにくい。
同社の本業は、自動車部品の製造だ。MATOMATはエンジンルーム防音材の端材・廃材を粉砕し、押し固めて再利用するエコ製品でもある。バージン材と比べ総コストを57%削減。異なる材料をブレンドし柔らかさと高い耐久性を両立した。生産は就労継続支援B型事業所に委託し、社会福祉にも貢献する。
Voice
太平洋工業 代表取締役社長 小川 哲史 氏
このたびは、栄えある賞を賜り、心より感謝申し上げます。
「防災マット『MATOMAT』」は、自動車部品のウレタンの端材や廃材を再利用したアップサイクル製品です。普段は学校の椅子のクッションとし、災害時は避難所で複数組み合わせマットにできます。保管スペースが不要で平時、有事ともに利用可能なフェーズフリーが特徴です。官民連携に加え、近隣メーカーや福祉作業所など地域とも協働し、教育や福祉にも貢献します。
今後も、社会や顧客の課題を解決する製品を積極的に開発し、社会に必要とされる企業を目指してまいります。
健康福祉・バイオ・医療機器部品賞
複合材製大腿骨骨折治療用髄内釘
ビー・アイ・テック
3爪でワークを安定把持
ビー・アイ・テックの「複合材製大腿骨骨折治療用髄内釘」は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の大腿骨骨折治療用具だ。骨盤近くの大腿骨頚部が高齢化に伴う骨粗しょう症で折れた際、大腿骨に埋め込み骨が再生するまで体重を支え、歩行できる生活を提供する。
骨折治療で一般的なチタン製と異なり、CFRPはX線写真で陰にならず、医師が患部を観察しやすい。CFRPは力が繰り返しかかり強度が落ちて破壊に至る金属疲労がなく、耐久性も高い。
厚さ0.2ミリメートルの炭素繊維を何十層も最適に重ね、あらゆる方向への強度を高めたCFRP材料製法は特許を取得した。航空機や医療機器などの開発で蓄積したCFRPの豊富な知見を生かした。2023年3月の発売以来100件以上の採用例がある。
Voice
ビー・アイ・テック 代表取締役社長 板東 舜一 氏
このたびは、栄誉ある賞を賜り、誠にありがとうございます。開発や事業化にかかわりご支援をいただいた多くの関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
当社は、航空機用腹蔵材料の技術を医療用具に応用する事業を展開する企業です。「メディカーボ・ヒップネイルシステム」は、過去20年にわたる当社の複合材料の基礎研究を基に、2016年から政府の補助金を得て開発を開始し、2023年3月にようやく発売に至りました。
今後も、複合材料技術に磨きをかけ、健康長寿に貢献する医療用具を開発し、社会に貢献してまいります。