機械・ロボット部品賞
ミーリング工具向け新PVD材料PR18シリーズ
京セラ
加工寿命2.5倍 実現
京セラのミーリング工具向け「PR18シリーズ」は、同シリーズ向けに開発した物理気相成長(PVD)コーティング技術「メガコート・ナノEX」により、同社従来品比2.5倍の加工寿命を実現した。特徴の異なる2材料をサブミクロン(1万分の1ミリメートル)オーダーで多層化し、耐摩耗性と耐欠損性を両立。耐摩耗性や耐酸化性に優れる窒化アルミニウムクロム(AlCrN)系材料と、靭性や耐熱性に優れる窒化アルミニウムチタン(AlTiN)系材料を多層化した。鋼板とゴムをミルフィーユ状に重ねる免震ゴムの構造を参考にしたという。
PR18シリーズは、加工の安定性が向上するため、無人運転での機械加工がしやすく、省人化に貢献する。また、メイン材料に添加する元素の工夫により、1000度Cを超える高温下での耐酸化性や硬度を向上した。
Voice
京セラ 機械工具事業本部 機械工具材料開発部 PVD開発課責任者 坂本 佳輝 氏
このたびは、栄えある賞をいただき、誠に光栄に存じます。
「PR18シリーズ」は、独自コーティング技術を採用した、ミーリング加工向け物理気相成長(PVD)コーティング材料です。窒化アルミニウムクロム層と窒化アルミニウムチタン層をサブミクロン(1万分の1ミリメートル)オーダーで交互に多層化し、耐摩耗性と耐欠損性を両立。靭性が高く、刃具の欠損「チッピング」が起きづらいため、長寿命化と加工の安定につながります。
今後も、お客さま第一主義の考えのもと、生産現場の生産性向上と省力化に貢献する商品開発を行ってまいります。
機械・ロボット部品賞
フレキシブルノイズレスローラ FNR
伊東電機
搬送の衝撃低減・低騒音化
伊東電機の「フレキシブルノイズレスローラ FNR」は、小物・軟包装品の仕分け・搬送向けに開発した衝撃吸収ローラー。ローラーに弾力性のある樹脂素材を採用し、内部に空洞を設けることで、搬送物への衝撃低減や搬送時の低騒音化を実現した。
装置設計では、ローラー同士を千鳥状に配置して、搬送面の隙間を埋める工夫を施した。これにより、ローラーやコンベヤー装置間の隙間に搬送物が挟まるのを防ぐことができ、電子商取引(EC)物流の増加で需要が高まる小物や薄物の仕分け・搬送に対応した。
DC24ボルトのブラシレスモーター搭載モーターローラーが駆動源となって搬送ローラーを回転させるため、エア機器が不要。搬送に必要なエリアのローラーのみを駆動させる「ラン・オン・デマンド搬送」により、常時稼働する搬送システムと比べて、消費電力の大幅な削減に寄与する。
Voice
伊東電機 代表取締役 社長 伊東 徹弥 氏
このたびは、栄えある賞をいただき、誠にありがとうございます。トライアンドエラーを繰り返し完成させた製品が評価され大変うれしく存じます。
「フレキシブルノイズレスローラ FNR」は、小物や軟包装品、袋物などの搬送・仕分けに対応するローラーです。搬送物に優しく、静音・省エネルギーのコンベヤーが構築できます。コア製品のDC24Vブラシレスモーター搭載の「パワーモーラ」を用いた駆動により、搬送物の重なりの切り離しや整列などの搬送制御が可能なため、ネット通販における物流作業の改善に最適です。
今後も、独自技術で「世のため、人のためになるモノづくり」の理念を持ち、先行開発の姿勢で新しいモノづくりに挑戦し、社会に貢献してまいります。
機械・ロボット部品賞
水圧用スプール式電磁切替弁 DSWシリーズ
NACOL
高さ半分、水漏れ解消
NACOLの「水圧用スプール式電磁切替弁 DSWシリーズ」は、小型・低コストの水圧電磁弁であり、高さを従来品の半分ほどに抑えた。スプール方式は、小型・多機能を特徴とするが、水を流体とした水圧型に採用するのは困難とされてきた。
基幹部品の方向制御弁(スプール)の設計や弁内部の構造、シールをそれぞれ見直し、同方式の水圧電磁弁の課題である水漏れを解消した。同社によると、水漏れを抑えたスプール方式の水圧電磁弁は世界初。
また、機能ごとに使い分けていた電磁弁を一つにまとめられ、コストを削減できる。流体の流れや方向を多様に切り替えられて、一つで複数の機能を担う。電磁弁の使用個数の削減や実装した装置の省スペース化に寄与する。水圧型は、油圧型に比べて現場環境を清潔に保てる。食品や薬品、化粧品の製造に使う機械などに向く。
Voice
NACOL 代表取締役社長 杉村 登夢 氏
このたびは、「機械・ロボット部品賞」を賜り、誠にありがとうございます。
アクアドライブシステムは、グリーン・トランスフォーメーション(GX)化や食品衛生問題などの社会問題の解決の一手段です。
システムを構成する機器の種類が少なく、当社は長期にわたり新製品開発を進めてきました。水圧式スプール式電磁切替弁を市場投入できたことで、システムで可能な動きやスピードを格段に増やすことができます。
今回の受賞は、当社にとって大変励みになり、また新たな思いで製品開発に向かっていきたいと思います。
機械・ロボット部品賞
超小形ローラチェーン エプシロンチェーン ステンレス仕様
椿本チエイン
世界最小クラス、長さ半分
椿本チエインの「エプシロンチェーン ステンレス仕様」は、世界最小サイズを実現した伝動用ローラーチェーン。ピッチ長は1.905ミリメートルで、同社従来品の最小ローラーチェーンの約半分の長さとなる。日本産業規格(JIS)準拠のローラーチェーンと同じ機構となっている。狭小スペースでの動力伝達が可能で、産業用ロボットのハンドや医療機器向けで小型化・高精度化に貢献する。
産業用ロボットのハンドや医療機器では、ベルトやワイヤなどを用いた動力伝達が主流だが、駆動時にワイヤが滑るなど、動力伝達の確実性に課題がある。エプシロンチェーンの採用でその課題を克服できる。
1メートルあたりの重量は17グラム。引っ張り強さは360ニュートン。摩耗低減による長寿命化も実現。世界最小サイズのローラーチェーンとして2024年9月に、ギネス世界記録に認定された。
Voice
椿本チエイン 専務執行役員 パワトラ事業統括 永井 康詞 氏
当社は1917年の創業以来、チェーンをはじめとする機械部品からシステムまで、幅広い分野で世界中の「動く」を支え続けてきました。
今回受賞した商品は、100年以上培ってきた当社の技術力を結集。挑戦的なシーズ開発と、実用化を見据えたマーケティングにより、十分な強度と耐食性を備えた世界最小のローラーチェーンを作り上げました。
受賞商品を通じ、産業用ロボットや医療・福祉機器をはじめ、さまざまなアプリケーションの小型化、軽量化、高精度化に貢献するとともに、今後も社会の期待を超えるモノづくりにまい進していきます。
機械・ロボット部品賞
ロボットバリ取り用スピンドルモーター「BRQ-EZ01」
スギノマシン
ワーク 削り過ぎ防ぐ
スギノマシンの「BRQ-EZ01」は、ロボットでバリ取りを自動化する際に生じるさまざまな問題を解決するスピンドルモーター。刃先を加工対象物(ワーク)に倣わせるフローティング機構を備えたことで、ワークの削り過ぎやバリの取り残しを防ぎ、ティーチング作業時間も大幅に短縮できる。加工時のロボットに対する反力を5分の1程度に抑えられるため、刃具の突発的な欠損も起きにくく、設備の省スペース化やコストダウンが見込める。
先端のフローターを交換することで、裏バリ取りや、アルミニウム製ワークの糸面取り仕上げに対応可能。消耗部品をワンタッチで交換可能とし、設備の停止時間が短くなるだけでなく日常のメンテナンスも容易になる。
今後は、同社バリ取り研究所「デバラボ」で同商品を活用したバリ取り技術を開発し、バリ取り自動化の実現に貢献する。
Voice
スギノマシン 常務執行役員 精密機器事業本部長 酒井 英明 氏
このたびは「機械・ロボット部品賞」をいただき、誠にありがとうございます。大変光栄に存じます。
この「ロボットバリ取り用スピンドルモーター『BRQ-EZ01』」は、ロボットでのバリ取りを自動化できるバリ取り工具としてお使いいただきたいと思って開発したものです。伸縮ストロークの長いフローティング機構となっていることで「バリの取り残し」や「削り過ぎ」を防止できますので、とても扱いやすいモノとなっております。
今後も、お客さまのさまざまなニーズにお応えして商品開発に取り組み、一般産業に貢献してまいります。
機械・ロボット部品賞
溶融せん断粘度測定装置「Nendy-E」
ソディック
成形材料の粘度、現場で測定
ソディックの「Nendy-E(ネンディ)」は、成形材料の溶融粘度を成形現場で測定できる装置。射出ノズルを外して装着するアタッチメント方式の測定装置で、溶融粘度測定機器「メルトインデクサ」や同「キャピラリーレオメータ」と同じ機能を射出成形機で実現できる。
仕組みは、長さの異なる二つの流路を切り替えることで、それぞれの流路に溶かした樹脂を流した際にかかる圧力をセンサーで測り、圧力損失の差から溶融せん断粘度を測る。
材料の変化を成形現場で見極めることができれば、成形不良や品質のバラつきが起きた際に原因の迅速な追求が可能なほか、事前に予防策も講じられる。
一方、脱炭素に向け再生樹脂の活用が広がる中、再生材の劣化度の指標となる粘度測定の重要性が高まる見通し。
手軽で安価な測定手法で、再生樹脂の用途拡大や環境負荷低減に貢献する。
Voice
ソディック 代表取締役CEO 社長執行役員 古川 健一 氏
このたび「Nendy-E(ネンディ)」が「機械・ロボット部品賞」を受賞できたことを大変光栄に思います。
近年、環境配慮型製品の開発が進む中で、再生樹脂の成形性の指標となる粘度測定の重要性は高まっています。「Nendy-E」は、成形現場で手軽に粘度測定ができるため、再生樹脂の用途拡大と環境負荷の低減にも貢献できると考えております。
当社は、今後も新材料やリサイクル材の有効活用に資する測定装置の開発、販売により樹脂成形産業の技術革新に寄与できるよう努めてまいります。