ものづくり日本会議

2008年受賞部品

モノづくり部品大賞

『微細超深穴加工用ドリル「エポックマイクロステップボーラー』

日立ツール

製品概要

最小径0.05mmに対応 強度向上、高精度の穴あけ
最大で穴の直径の100倍の深さという”超深穴”の加工が可能な超硬ソリッドドリル。寸法の品ぞろえも、最小径0.05ミリメートルからと微細穴に対応する。
ここまで細長いと折れやすく、製品化は難しかった。そこでこの製品ではドリルの溝の切れ込む長さを極端に短く設定し強度を向上。さらに、突いたり引いたりを繰り返すステッピング加工と「切りくずストッパー」という独自構造を組み合わせ、切りくず排出の問題を解決。ユニークな発想により、高精度の穴あけを可能にした。
ドリルでの穴あけは直径の20倍程度の深さが限度とされる。形彫放電も使われるが電極の成形が難しくこれほどの深穴は難しい。モノづくりの可能性を広げる製品として高い評価を受けている。

Voice
日立ツール 島順彦社長

穴あけ加工に変革
モノづくり部品大賞に創設時から毎回応募しており、今回まで4回連続でなんらかの賞をいただいてきた。ついにこのたび、当社のドリルが最高賞に選ばれた。94件の応募製品はそれぞれ優れた製品ばかりで、その中から受賞できたのは大変名誉なことだと喜んでいる。 受賞したドリルは、今まででは不可能だった深さの穴あけ加工が可能になる画期的なもの。この製品を使うことで、従来では無理だったような製品がつくれ、ユーザーの設計部門からの期待は大きい。モノづくりの可能性を広げられる製品だ。最先端の製品開発の現場で使われるためなかなか具体的な用途は話せないが、実際にかなり幅広い業界で使われ始めている。世界中の穴加工の現場、ひいてはモノづくりの現場を変えていきたいと思っている。

開発の狙い、ブレークスルー、そして今後の展開

モノづくり日本会議 共同議長賞

『RHF25型ターボチャージャー』

IHI

製品概要

発進直後からスムーズに加速 低燃費化に貢献
世界最小、最軽量クラスの自動車用ターボチャージャー(過給器)「RHF」。同製品を搭載した車両は発進直後からスムーズに加速するため、低燃費化に貢献する。従来品に比べ20%ほど小型でありながら、一回り大型の製品と同等の性能を持つ。
通常、小型化するために歯車を小さくすると、圧縮空気が減り過給効果が下がる。RHF25は歯車の形状などの工夫によって、少ない排ガスで、タービンとコンプレッサーを高速回転させる。より多くの圧縮空気をエンジンに送り込み、過給効果を高めた。同時に部品点数を大幅に削減して小型化した。
ダイハツの「タント」や「ムーブ」「ミラ」など主力軽自動車に搭載されており、ダイハツからは「軽量化技術賞」を受けている。

Voice
IHI取締役執行役員 車両過給機セクター長 中村 房芳氏

時代にあう製品を
開発に着手したのは10年前。一度、頓挫してしまったが7年前に再開した。その間、設計部長として開発にかかわったこともあり、個人的に思い入れも強い。長い時間をかけた分だけ、喜びもひとしおだ。妥協をせずに挑戦してきた開発者みんなに、ねぎらいの言葉をかけたい。
IHIのターボチャージャーは、ダイハツやスズキの軽自動車に搭載されてきた。そういう意味で軽自動車に育ててもらったと思っている。自動車業界はエネルギーやコストに対する意識が強くなってきたが、同製品はそれに対して何らかの貢献ができるはずだ。今後も時代のニーズにマッチした製品を提案していきたい。

ものづくり生命文明機構 理事長賞

『エコバルブ(ECO-VALVE)』

兼工業(愛知県小牧市)

製品概要

フランジ除きコンパクト設計 省資源化に貢献
兼工業のバルブ「エコバルブ(ECO-VALVE)」は、配管との接続に必要なフランジを大胆に取り除いたコンパクトな設計が最大の特徴だ。材料である銅合金の使用量を大幅に削減し、省資源化に貢献している。
配管との接続では、エコバルブを配管側のフランジの間に挟み、配管側のフランジ同士を直接、留め金具でつなぐ方法を採る。一般的なフランジ式バルブに比べ、締結工数は半分で済む。重量は最大約60%軽量化した。本体が小さく狭い場所への取り付けも可能で、施工面でのメリットも大きい。
材料使用量を大幅に減らしたことで、材料を溶かし鋳造する際に必要な電力消費量や二酸化炭素(CO2)排出量を約40-60%削減した。鋳造時に発生するガスも抑えられる。

Voice
兼工業専務 落合 優氏

銅単価の急激な値上がりが開発のきっかけだった。主要売り先の東南アジアでは、銅合金製の当社バルブは高級品で、鉄製に比べて2割高かった。材料が高騰しているからといって安易に値上げはできないが、売れば採算割れで、減圧弁を売るに売れない状況が8カ月も続いていた。
そんなときフランジのないウエハー式バルブに着目した。従来の構造を残したまま、フランジを取り除いた形を独自に設計した。当初はトラブルもあったが、設計変更で解決し、07年の発売後は従来品から100%エコバルブに切り替わっている。今後は、欧米へも積極的に売り込んでいきたい。

日本力(にっぽんぶらんど)賞

『LEDパネルモジュール ECX107AKM』

ソニー

製品概要

表示・回路部の分離 3mmの薄さを実現
ソニーが世界で初めて発売した有機エレクトロルミネッセンス(EL)テレビの最大の特徴は、3ミリメートルというその薄さ。表示部分と回路部分を分離したデザインは、その薄さを実現するためにモジュールの完成度を高めた結果でもある。
表示パネル部分はガラス基板とフレキシブル基板のみの非常にシンプルな設計。パネル部分の背面下部に駆動回路を集めた。回路基板は薄さを追求し実装空間が狭い。そのため熱対策が重要になるため、熱拡散シートを張り付けている。
表示パネルとアームでつなげた台座部は、画像処理用半導体やチューナーなどの基板がある。ここでも液晶テレビなどに比べても相当な放熱技術を採用。このモジュールにソニーが有する最高水準の映像技術により、100万対1という高コントラストを実現した。

Voice
ソニーモバイルディスプレイAD部 統括部長 深石 亮氏

日本力頂き光栄
日本力賞をいただき非常に光栄だ。有機ELテレビは画質の良さが特徴。それを支えているデバイス設計やパネル生産といったモノづくり面を評価されたことがとてもうれしい。私はソニーで長く「トリニトロン」などブラウン管テレビの設計畑を歩んできた。次世代の有機ELのディスプレー開発に携わりたいと思い、開発部隊に参画したのが06年の夏。テレビをやってきたので要求される品質レベルは分かる。1インチのパネルの画質とは比較にならない。
生産の立ち上げ時は相当苦労した。特に成膜工程が重要になる。各社は展示会などで試作品を出すが、多少の欠陥は目立たない。極端にいえば数日映っていればいい。そこが量産品と決定的に違う。どこまで大画面化できるか挑戦したい。

『人工炭酸泉製造装置『MR炭酸泉』シリーズ』

MRC・ホームプロダクツ(東京都中央区)

製品概要

CO2を低圧力で溶解大浴槽・足湯など対応
MRC・ホームプロダクツの人工炭酸泉製造装置「MR炭酸泉」シリーズは、入浴に適した温度の温水に二酸化炭素(CO2)を高濃度に溶かし込み、療養用の炭酸泉と同濃度の人工炭酸泉を製造供給する。独自技術により、CO2を温水中に高効率に溶解する「Soda・Spa・Generator」を開発。コンパクトな容積、CO2を低圧力で効率良く溶かし込めるため、大型浴槽から家庭用浴槽、足湯まで対応する。 CO2は火力発電所や化学プラントで排出されたものを回収・精製して使用している。ランニングコストはCO2の使用量にもよるが、一般家庭で一日当たり約300円。
すでに約600カ所の医療関係施設、約250の福祉施設、約300カ所の銭湯など一般入浴施設に導入されている。

Voice
MRCホームプロダクツ 芝塚全功社長

感謝され、うれしい 人工炭酸泉製造装置には、以前に在籍していた三菱レイヨン・エンジニアリング時代から開発、販売に携わってきた。今までいろいろな商材を扱ってきたが、人から感謝、感激される商品は初めて。それほど人によっては苦労を解消できる結果をもたらす力を持った製品。 薬事法との関連もあり法令順守で営業活動を行っているため、製品としては良さがわかりづらく、売りづらい面もあるが、時間をかけてでも多くの人に存在を知ってもらいたいと思っている。そういう意味で今回、日本力賞を受賞したことは、少しでも多くの人に知ってもらう機会が増えることにつながり、感謝している。