ものづくり日本会議

2014年受賞部品

自動車部品賞

ダイレクトアダプティブステアリング用 メカニカルクラッチユニット

NTN

製品概要

 NTNの「ダイレクトアダプティブステアリング用メカニカルクラッチユニット(MCU)」は、自動車の操舵(そうだ)を電気信号とアクチュエーター(動力伝達装置)で行う「ステアリング・バイ・ワイヤ技術」に不可欠と言える製品だ。万が一の故障などで電気信号がオフになった場合、同MCUがステアリングとタイヤを機械的につなぎ、メカニカル操作に切り替える。バックアップ的な機能を担っている。
 日産自動車が開発したステアバイワイヤ技術「ダイレクトアダプティブステアリングシステム」に同MCUが採用された。2014年発売のスポーツセダン「スカイライン」に搭載済みだ。メカ的な接続がなく、路面の凹凸など不要な反動を運転者に伝えず俊敏で正確なステアリングを実現するステアバイワイヤの技術を陰から支える。
 同MCUは電磁クラッチとローラクラッチの組み合わせ。通常の通電時はローラクラッチが解放されており、操舵は電気信号で行える。だが、故障などで電源が遮断されるとローラクラッチが瞬時(0.1秒)で締結。機械的な操舵に切り替わる。スペースを取らないよう小型化も果たした。

Voice
NTN 常務執行役員 森 夏比古 氏

 このたびは栄誉ある賞を賜り光栄に存じます。
 本商品は、日産自動車殿が開発された世界初の「ダイレクトアダプティブステアリングシステム」に、無くてはならない基幹部品です。万が一の電気失陥時に、ステアリングホイールと操舵機構を瞬時かつ確実に連結します。
 当社独自のローラクラッチと電磁クラッチを組み合わせた既存商品を基盤に、直線-回転変換機構(ボールカム)を新規に採用、同システムで要求される機能を実現するとともに、信頼性を確保しました。
 受賞を励みに次世代自動車技術を支える商品開発を目指しモノづくりに貢献して参ります。

COA HVAC

デンソー

製品概要

 デンソーの「COA HVAC」は小型化、高性能化した上で小型車から大型車まで搭載できるよう標準化したカーエアコンの主要部品。HVACはインストルメントパネル内部に内蔵され風の温度や風量を調節する。通常は車両のデザインや大きさによってHVACの構造や性能は異なる。
 COA HVAC開発の最大のポイントは小型化と高性能化の両立だった。構成部品であるブロワーファンやサーボモーター、エアミックスドアの形状、構造を見直し、製品全体では従来比20%軽量化しつつ同20%の省電力化や同4dB(同一風量時)の低騒音化を実現した。
 その上で設計を標準化、Bセグメント車からDセグメント車まで寸法を変えるだけで搭載を可能にした。COA HVACはトヨタ自動車が2013年12月に発売した新型スポーツ多目的車(SUV)「ハリアー」、14年1月発売の新型ミニバン「ヴォクシー」「ノア」に搭載されている。今後、グローバルで幅広く展開し年産1000万台を目標としている。

Voice
デンソー 熱機器事業部 副事業部長 田口 雅巳 氏

 このたびは「自動車部品賞」の受賞、誠にありがとうございました。「COA HVAC」のCOAとはCommon、Compact、Collaboration、Air-Conditionerの略です。徹底的な共通化、世界一の小型・高性能化、技術-製造の総智総力の結集という思いから名付けました。
 今回の受賞は製品開発担当者だけでなく生産技術や型技術、工場現場、さらにはグループ会社を含め皆が協力して成し遂げた成果で今後の励みにもなります。これからも世界中のお客さまの期待に応え、地球環境と安全に貢献する製品を開発していきたいと思います。

エンジン燃焼発光計測用光プローブExDop

島津製作所

製品概要

 島津製作所は、耐久性を実用レベルまで高めた「エンジン燃焼発光計測用光プローブExDop」を開発した。エンジン筒内から燃焼光を安定的に取り出せる構造で、さまざまな解析に適用できる幅広い透過帯域を持つ。厳しい条件下での検証で耐久性の効果を確認している。
 光プローブは燃焼光を取り込むための光学素子や高耐熱光ファイバー、エンジンに取り付ける筐体、検出装置に光を伝える光コネクターなどで構成される。同社はファイバーの開口角を利用して視野角を制限する方式を採用し、顕微鏡の製造技術などを生かして、製品の小型化や単価低減、耐久性向上につなげた。
 透過率の変化を小さくするには、高圧環境下で高温の燃焼ガスが光プローブ内に侵入するのを防ぐ必要があるため、光学素子や光ファイバー以外に、固定・封止用部材の材質も選定している。
 開発した計測器を用いることで、エンジン運転中に見られる失火現象や発生率の把握、初期火炎の生成から主燃焼への移行プロセスなどの計測が高精度で可能となる。

Voice
島津製作所 デバイス部 部長 井上 光二 氏

 当社の光学素子製造技術、光学系組み立て技術を全て投入して、圧力・温度・振動が過酷な条件下での発光を分光分析装置に取り込む光プローブを量産タイプとしては初めて開発しました。自動車などのエンジンに簡単に取り付けられ、燃焼効率の向上、有害エミッションの低減、出力の向上などへの貢献が期待されます。
 今回で8期連続の受賞となりました。モノづくりを重視し、そこで蓄積された技術を新分野に展開したもので、ご評価頂き光栄に存じます。これを励みとして今後も常に新しい技術、分野に挑戦し、世界のナンバーワン、オンリーワン商品を創出するために努力していく所存です。