電気・電子部品賞
ショックセンサ(加速度センサ) 「PKGS-00MXKP1-R」
村田製作所
製品概要
村田製作所のショックセンサー「PKGS-00MXKP1-R」は、圧電素子の形状を最適化することで小型化、高感度化を実現した。外部から加わった加速度によって圧電セラミックスがたわみ、電気信号を発生させる仕組み。この圧電素子がS字型にたわんだ時に最大の電荷が発生するように分極領域を最適化するとともに、圧電素子の保持方法を従来の両持ちタイプから片持ちタイプに変更するなど大幅な構造変更を行った。
分極領域の最適化によって、それぞれの領域で発生する電荷が互いに打ち消し合う減少を防止。片持ちタイプの採用では基板のたわみによる不要なノイズの削減などにより高感度化が実現した。
同製品では従来品と比べ面積サイズは約40%削減。同一面積であれば感度は約1.9倍となっている。加えてパッケージ外装基板の薄肉によって低背化も実現。もともと同社のショックセンサーはハードディスクドライブ市場で100%のシェアを持つが、タイヤ空気圧監視システム向けが拡大中。この両用途のほかにも、新たな市場参入を視野に入れる。
Voice
村田製作所 上席執行役員 デバイス事業本部 本部長 薗田 聡 氏
このたびは大変栄誉ある「電気・電子部品賞」を賜り誠にありがとうございました。
ショックセンサは1990年代半ばに開発した商品でありますが、お客さまの要望に応え、たゆまぬ改善に取り組み、2013年度に商品化した新商品の低背品において受賞できましたことを、開発部門、製造部門はじめ関係者一同大変喜んでおります。
このたびの受賞を励みとして、一層お客さまに喜んでいただける商品開発に取り組んでまいります。
車載イーサネット用コモンモードフィルタ ACT45L
TDK
製品概要
開発品は車載イーサネット規格に対応するノイズ対策フィルター。車載用カメラなどがとらえた音声や映像情報がコモンモードノイズによって乱れるのを防ぐ。従来のCAN用フィルターと比べ、Sed21特性が100MHzまでの広い周波数で大きく改善され、ノイズ除去能力も従来と比べて15-25dB向上した。
大きさは4.5mm×3.2mm×2.8mmと業界最小サイズで、自動車の軽量化や実装面積の削減に貢献できる。素材技術や高精度な巻き線工法、コア設計の工夫により、小型で高性能なコモンモードフィルターの製品化に成功した。
自動車の電子化で音声や映像を利用してドライバーの安全を促す車載機器が増えている。これに伴い近年、通信機器やパソコンの通信方式として広く普及し、高画質データなどを高速伝送できるイーサネットを自動車に採用する動きが増えつつある。 今後、自動車内により安定した通信環境を構築したい自動車関連企業の需要が増えると見通し、製品開発を進めていた。
Voice
TDK 取締役専務 執行役員 植村 博之 氏
このたびは電気・電子部品賞を賜り誠にありがとうございます。
今後普及の見込まれる車載イーサネットLANシステムのノイズ対策部品として、自動車の安全をサポートする本製品に対して同賞を授与されたことを、開発・製造部門一同大変喜んでおります。
本製品は、TDKが長年培ってきたフェライト素材技術、巻線技術、設計技術を駆使した車載用のコモンモードフィルタです。独自開発のフェライトコアや高密度巻線工法により、従来製品に比べ大幅なノイズ抑制効果を達成することができました。
このたびの受賞を励みとして、引き続きお客様や社会に貢献できるモノづくりを目指して取り組んでまいります。
クローズドループステッピングモーターユニット
αSTEP アブソリュートセンサ搭載AZシリーズ
オリエンタルモーター
製品概要
オリエンタルモーターの「αSTEP AZシリーズ」はアブソリュートセンサーを搭載したクローズドループステッピングモーターユニット。小型で安価なアブソリュートセンサー「ABZOセンサー」の開発により、多回転位置情報の保持を目的としたバッテリーバックアップシステムからの置き換えを可能にした。国内外で累計販売台数1800台以上の実績を持ち、今後のさらなる販売増も期待される。
高精度樹脂部品や磁気センサーの採用、機構設計の工夫などにより、アブソリュートセンサーを小型化、低価格化した。多回転位置情報の保持にはバッテリーバックアップ式エンコーダーが広く使われるが、保持期間はバッテリーの能力に依存し、寿命も3-4年程度なため定期的な交換が必要。こうした問題の解決策としてABZOセンサーを組み込んだ同社のAZシリーズはユーザーから高く評価されている。
原点復帰の速度制限はモーターが駆動できる範囲で自由に設定可能。外付けセンサー、バッテリーが不要なためコストメリットも大きい。
Voice
オリエンタルモーター 常務執行役員 技術本部長 川人 英二 氏
機械式の多回転アブソリュートセンサーは、構造が複雑で高価、小型化が難しいというモノづくり面での大きな課題がありましたが、シンプルかつ小型化にこだわった機構設計と磁気センサーを組み合わせ、ステッピングモーターへの搭載を可能にしました。
これまでモーターの位置情報を保持するのに必要としてきたバッテリーや外部センサーが不要になるなど、お客さまの装置設計、メンテナンスに貢献できる商品です。このような点を評価いただけたことに感謝いたします。
今後もお客さまのモノづくりに貢献するよう市場の声に耳を傾け、さらなる開発に取り組んでまいります。
パワー半導体デバイス用 金属セラミック基板
ノリタケカンパニーリミテド
製品概要
パワー半導体は直流の電気を交流に換える「インバーター」などに使われ、電気自動車やエアコン、太陽電池などの製品に採用が広がる。しかし高温環境下で大きな電力負荷がかかるため、耐熱性や耐久性も必要だ。
ノリタケカンパニーリミテドの「金属セラミック基板」は、マイナス40-プラス250度Cの範囲内で1000サイクルの温度変化に耐えられる新型の基板。炭化ケイ素(SiC)の基板に、新開発の銅ペーストを塗布してつくる。
銅箔を使う従来型の基板と比べ、銅の熱膨張率を従来比3分の2以下に抑え、基板との熱膨張率の差を縮めた。これにより銅の剥離が生じにくくなった。また500度C以下で銅層を形成する技術も確立。従来は約1000度Cの高温下で銅層を作るが、新型基板は低温で銅を形成するためコストダウンにつながる。
基板の厚さも任意に調整でき、実装部品の大きさに関わらず高さを一定に保つことが可能。高温環境下での半導体使用が増えると予測される中、SiC製部品への搭載拡大を目指す。
Voice
ノリタケカンパニーリミテド 取締役専務執行役員 開発・技術本部長
中川 正弘 氏
「2014年モノづくり部品大賞」電気・電子部品賞を頂戴し、大変光栄に存じます。今回の「パワー半導体デバイス用金属セラミック基板」は、当社が食器やセラミック回路基板を通じて培った材料・焼成技術を発展させたものです。 パワー半導体は、省エネルギーを実現する電力変換技術として期待されています。今回開発した基板は熱サイクル耐久特性が高く、従来品を上回る高温・大電流への対応を可能にすることで、省エネルギー化や低炭素化社会に貢献します。 今回の受賞を励みに今後もお客さまに喜んで頂ける部材を開発し、社会に貢献するモノづくりに取り組んでまいります。