奨励賞
CルーブリニアウェイLV(MLV)
日本トムソン
製品概要
日本トムソンの「CルーブリニアウェイLV(MLV)」は、軌道溝と4点で接触する鋼球を2条列に配置した小型の直動案内機器。鋼球循環路に機械加工を不要とする循環パイプを採用し、価格低減につなげた。シンプルな構造により、小型ながらも高い精度と剛性、走行の安定性などを確保している。
従来はケーシングに機械加工で循環穴を設けていたが、鋼球循環用のパイプ部品を取り付ける方式に改め加工レス化。これによりコストダウンを可能にした。
スライドユニットに独自開発の潤滑部品「Cルーブ」を内蔵しているため長期メンテナンスフリーなのも特徴。
Voice
日本トムソン 社長 宮地 茂樹 氏
このたび、この賞をいただいたことは大変に光栄であり、当社における今後の新製品開発において大きな励みになると存じます。
半導体製造装置、精密測定装置等に搭載される位置決め機構は、近年ますます小型・高精度化が求められています。当社は直動案内機器で特に小型サイズに強みを持っていますが、今回の受賞製品MLVは、この強みを活かしながら高い精度と剛性を持つ従来製品MLの基本性能を損なうことなく、大幅な価格低減を実現したことが評価され、受賞に至ったと考えております。
今後も市場ニーズを的確に捉えた製品開発に邁進し、社会に貢献してまいる所存です。
ロボットベース
レオンアルミ
製品概要
開発品はアルミニウム鋳物を用いた、産業用ロボット向け取り付け基台。アルミ合金の中でも特に靱性と耐腐食性に優れた「AC7A」を用い、高い振動吸収性能を実現した。また塗装の必要がなく、水がかかる環境下でも使用可能なうえ、塗装片の剥離による異物混入のリスクも抑えた。
形状は流線形を採用し、作業環境に好影響を与える柔らかい外観と強度を確保した。またゴミなどが堆積しづらく、掃除が容易。規格品とすることでコストや納期を低減し、リサイクルが可能な材質を用いたことで環境にも配慮した。食品業界や精密機械の組み立て工程などをターゲットに見込む。
Voice
レオンアルミ 社長 堺 義孝 氏
今回は名誉ある賞を頂きありがとうございました。初の自社開発商品で受賞できたことを、大変光栄に思っております。当社は、長年食品機械の鋳物製造を行ってきました。今後も鋳物の特性を生かしたモノづくりで社会に貢献できるよう、尽力して参ります。
「ロボットベース」は鋳物の制振性能を応用した商品で、ロボットの性能を引き出すためのマストアイテムを目指しております。ユーザーからは「掃除がしやすい」といった評価を得ており、ラインアップ増などで顧客の声に応えていきたいと考えています。今回の受賞を次の自社製品開発や営業につなげていきます。
A-TAPシリーズ
オーエスジー株式会社
製品概要
開発品は、さまざまな機械や被削材に適する新切削タップで、安定した切りくず排出性を持ちつつ、さまざまな被削材、切削領域、機械に対応し、寿命も伸ばした。
母材には、高い耐摩耗性を誇る粉末ハイス、表面にはVコーティングを用いた。刃先には切りくず形状を安定化させる切れ味重視の刃先仕様を採用。一般的な材料である炭素鋼をはじめ、ステンレス鋼やアルミニウム材など、特別なタップを使わなければいけない領域でも、実加工に見合うだけの十分な性能が出るのが特徴。その汎用性の高さから、「何にでも使える第一選定の工具」としてフラッグシップ商品に位置づけている。
Voice
オーエスジー株式会社 社長 石川 則男 氏
モノづくり部品大賞の奨励賞ありがとうございます。 タップトラブルの代表として切りくずの絡みつきがあります。その際お客様は被削材や使用条件など用途に応じたタップを選定してみえました。こういった課題をクリアにしたモノが、A-TAPシリーズです。工具設計では刃先仕様・材質・コーティングに吟味を重ね、かつ豊富なアイテムをそろえました。幅広い使用条件やさまざまな被削材に対応し、コストパフォーマンスも高く、そして耐久性向上により抜群の経済性を発揮します。今後もさらにお客様に喜ばれる製品を開発していきたいと思います。ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
主軸端面クリーナ「スピクリン」 HSK-A63-SCE
共立精機
製品概要
「スピクリン」は工作機械や生産ラインに組み込むことで、主軸端面に付着した微細な切りくずや異物が取り除けるクリーナー。機械主軸に取り付けて増速後に急停止すると、接触式のワイパーが慣性力で回転し、自動的にクリーニングする。クリーニング時間は5秒程度のため、サイクルタイムに与える影響も少ない。
自動工具交換装置で交換できるため無人加工が可能で、外部動力や機械の改造も必要ない。消耗品は樹脂製ワイパーとクッションゴムのみで耐久性が高く、1年以上メンテナンスフリー。特に、高精度が求められる金型加工や大物の削りだし加工に対して威力を発揮する。
Voice
共立精機 社長 岡島 英昭 氏
今回、「スピクリン」の性能が認められ、部品大賞を受賞したことをうれしく思っています。工作機械の運転の安定性に寄与できる面を訴求しています。現在、効率性などについて工作機械メーカーに提案活動をしており、認知度が上がってきた点を実感しています。現場からの引き合いが多い点も励みになっており、さまざまなサイズを取りそろえるなどして対応していく予定です。 当社は光学機械やツーリング、ツールプリセッタなどの開発を手がけています。今回受賞した「スピクリン」にとどまらず、これからも市場のニーズを捉えていくことでモノづくりの発展に寄与したいと考えています。
小型ダイレクトドライブアクチュエータ AX6000Mシリーズ
CKD
製品概要
CKDの「小型ダイレクトドライブアクチュエータ AX6000Mシリーズ」は、主に小物部品の搬送・組立工程用で、モーターのみで回転テーブルの位置決めができる。割り出し精度は±90秒。最大出力トルク1.2Nm仕様で直径80mm×高さ47mmと業界最小クラスを実現。同社従来機比で体積を約70%削減しており、これまでスペースの問題で手作業で行っていた工程の自動化や既存装置の小型化につながる。
ギアのない構造のため、過負荷時のギア破損やギアの摩耗での精度変化の心配がない。位置決めピン穴やインローを標準装備しており、簡単に回転位置決めテーブルを構成できる。
Voice
CKD 代表取締役社長 梶本 一典 氏
このたびは「奨励賞」を頂戴し、光栄に存じます。CKDのアブソデックス(AX)は、1990年の発売以来、25年目を迎え、設備・装置の自動化において、多くのお客様にご愛用いただいております。
昨年、開発した「AX6000Mシリーズ」は、従来よりご使用いただいております組立・搬送工程に加え、業界最小クラスのサイズの実現により、医療・分析機器、小型検査機など幅広い用途で小型化・自動化のお役に立てるものと考えております。
今回の受賞を励みに、今後も「自動化で未来を拓く」製品の開発を通じて、豊かな社会づくりに貢献してまいります。
電気二重層キャパシタ内蔵電動高速開閉弁
フジキン
製品概要
フジキンの「電気二重層キャパシタ内蔵電動高速開閉弁」は、半導体製造プロセスで複数種のガスを高精度に切り替えて使う目的で開発された。空圧式バルブを使う場合と比べ、従来の電動式バルブはかさばってコストも高くなるとされてきた点を大幅に改良した。これで高速応答性に優れる電動式バルブは活躍の場が広がり、より高精度の半導体製造に貢献する。
電源部に電気二重層キャパシターを用い、その低電圧に応じてソレノイド(電磁機能部品)を改良。電源機構を一体収容することで従来の電動式バルブで必要だった専用の外部電源をなくし、配線も省略できて低コストになる。
Voice
フジキン 代表執行役社長 野島 新也 氏
今回の受賞で、モノづくり部品大賞において11年連続で賞をいただくことになりました。心より厚 く深く御礼申し上げます。 電気二重層キャパシタ内蔵電動高速開閉弁(EECV)は、低電圧・大電流で駆動できるソレノイドを同時に開発し、電気二重層キャパシタを利用した超小型・超高速応答型のダイヤフラムバルブです。 2005年に開発した従来製品(ECV)は、専用電源が大型のために別置きでの構成になっていましたが、電気二重層キャパシタを利用することで、専用電源をEECV本体のケーシング内に駆動回路とともに収容可能となりました。システム全体を一体化・小型化することにより、専用電源を含めたサイズは最大で1/2、コストは最大で1/5を達成し、大幅な実装性の向上と低コスト化を実現しました。
柏葉(Hakuyo)水電池
三嶋電子
製品概要
水を吸収すると発電する「柏葉(Hakuyo)水電池」はマグネシウムと銅の板に、カーボンシート、化学処理した紙または布を組み合わせた独自の構造を持つ。この構造に水を入れるとイオン交換により電気が発生する仕組み。ジュースやしょうゆ、海水や雨水など水分さえあれば発電できるため停電時などに威力を発揮する。
水がないと反応しないので10年間保存できる。連続点灯は約100時間。点灯しなくなった場合は注水を数回繰り返せば、計約480時間点灯できる。スマートフォンの充電器や照明機器などへの応用利用が可能。乾電池と置き換えできる水電池の製品も開発した。
Voice
三嶋電子 社長 檀浦 逸克 氏
電気のない地域が世界にはたくさんあります。明かりがあれば勉強や仕事ができるとの思いで開発に専念してきました。東北の震災で大阪の会社から急いで照明付きの電池を500台作ってくださいと依頼されました。受け取った方から暗闇の世界で明かりがともせて助かりました、とお礼状をいただきました。とてもうれしく思いもっと良い電池を作るべく頑張ろうと気合が入りました。
今回、奨励賞をいただき、やっと柏葉(Hakuyo)水電池が皆さまに認知されたのかと喜んでおります。電池はまだまだ進化しております。環境に優しい柏葉水電池を日本から世界に向けて発信していく所存です。
異常ストローク検知機能付ジャバラ
ナベル
製品概要
ナベルの「異常ストローク検知機能付ジャバラ」は、工作機械の駆動部を切削粉や油などから防護するジャバラにリード線を組み込み、伸縮の異常をセンサーで検知し全体の動作を停止させる安全機能を持たせた。動作中にジャバラが一定の長さ以上に引っ張られると、本体に取り付けたリード線も伸びて断線。それをセンサーが検知するという仕組みだ。
今回開発したジャバラは、本体からステンレス製のカバーを取り外すことが可能で、カバーの一部が破損しても簡単に部分交換できる。特に高速化が進む工作機械での有効性は高く、ワーク(加工対象物)の不良防止や生産効率の向上に寄与する。
Voice
ユニパルス 社長 吉本 喬美氏
「第7回/2010年モノづくり部品大賞」で当社の「温度センサー付きレーザ光路用ジャバラ」が奨励賞に輝いて以来、今回で4度目の奨励賞受賞となりました。栄えある賞を4度もいただき、従業員一同たいへん喜んでおります。 当社では、特許取得を目標に掲げ競争力のある高品質なモノづくりに励んでいます。今回開発したジャバラは、特許を取得した「温度センサー付きレーザ光路用ジャバラ」の技術を活用。工作機械のユーザーにとってメリットの大きい製品だと確信しております。今後は航空機やロボットなどの分野においても、顧客に満足していただける製品の開発を進めてまいります。
カテーテル検査用シーネ
坂本設計技術開発研究所
製品概要
肘からの心臓カテーテル検査で課題だった止血トラブルを防げる固定器具。器具全体に緩やかなひねりを加えてあり、肘関節を中心に上腕と前腕を確実に固定できる。検査時と止血時それぞれに適した角度で固定できるよう器具外側底辺に2段階の角度を付けた。重量は従来品比100g軽い約30g。装着したまま帰宅できるため患者が止血のために入院する必要がなくなる。
コンピューター断層撮影装置(CT)画像を基に3次元CADデータを作り、数値制御(NC)加工機で発泡スチロールを切削する。金型で量産を始めれば価格は従来品の2分の1程度に抑えられる。透析用の利用も期待できる。
Voice
坂本設計技術開発研究所 社長 坂本 喜晴 氏
受賞できたことを大変うれしく思います。開発した心臓カテーテル検査用の固定器具(シーネ)は、発泡スチロール製で約30gと軽いのが特徴です。肘と腕を確実に固定でき、患者の負担を減らすことが可能です。審査員の方から評価して頂いたおかげで、量産金型の製作を決意しました。すでに量産試作品を製作して病院の先生方と修正点を打ち合わせています。 金型で成形すると従来の切削加工より表面が滑らかに仕上がるため、先生方からは「暖かみがある」と好評価を頂いています。手首用の固定器具の製作も検討されるなど用途にも広がりが生まれつつあり、今後の展開に期待が高まっています。