環境関連部品賞
水素ステーション用超高圧ボールバルブ
キッツ
製品概要
キッツが開発した「水素ステーション用超高圧ボールバルブ」は、超高圧水素ガスを封止できる。燃料電池車(FCV)に水素を充填する70MPa級水素ステーションの高圧ラインに使用する。これまで70MPa級水素ステーションで使用できるボールバルブは国内に存在しなかった。
球面と球面で高圧の流体を制御する技術を確立したため、ボールバルブの特徴である流路がストレートで圧力損失が小さく、大流量制御が可能だ。
超高圧水素ガスを封止させる部品である、内部にあるボールとシートパッキンを高度な技術で開発した。水素を封止するのは技術的なハードルが高いが、耐久性が高く性能を維持し続けるバルブの開発に成功した。
コスト競争力が高く、従来製品の約半額で販売できる。70MPa級水素ステーションが普及するには建設費用を2億-3億円に抑える必要があるため、構成機器であるバルブの低価格化は大きい。耐久性も高く、水素ステーションがガソリンスタンド並みに稼働しても、最低1年間はメンテナンスせずに使用できる。
Voice
キッツ 代表取締役社長 堀田 康之 氏
この度は栄誉ある賞をいただき大変光栄です。水素供給インフラ設備に向け、低コストかつ耐久性に優れた水素ステーション用超高圧ボールバルブを開発いたしました。
ボールバルブは、水素充填時間の大幅な短縮を可能にするほか、封止性に優れ、省スペースでの自動操作化も可能であるため市場から高い評価をいただいております。超高圧ボールバルブをはじめとする「キッツクレステックシリーズ」の提供を通して、水素エネルギー社会の実現に寄与してまいります。
今回の受賞を励みとして、今後も、明日の豊かな社会づくりに貢献できる創造的な商品の開発に取り組む所存です。
水銀灯代替大光束LED照明モジュール ALSP-01内蔵
「LED大光量単一光源形投光器 PIKA 101」
ソディックLED
製品概要
開発品は1500W形水銀灯と同等以上の明るさを確保しながら、消費電力を4分の1にする。年間電気代が1000万円の場合、250万円のランニングコストになる計算だ。70mmの単一光源で大光束、放熱、小型化を実現するLEDモジュールのCOBパッケージを開発するなどで実現した。これには放電加工機で世界大手のソディックが、工作機械製造で培った技術を生かした。
世界で発光ダイオード(LED)照明の需要が急速に高まっているが、家庭用や工場、オフィス、商業施設に限られている。ナイター照明やスタジオ照明、トンネル照明、夜間工事照明は水銀灯や高輝度放電灯(HID)投光器がまだまだ一般的だ。
この分野のLED化には、大光束を実現するため5-13mmの独立した光源を複数束ねる。それでも十分な光が届く距離が50m程度にとどまり、多重影が生まれ視認性が悪くなる課題がある。また、投光器の発熱量や器具重量が増大することも普及の妨げだ。開発品はこれらの課題を解消し、代替を促す製品だ。
Voice
ソディックLED 専務 津田 裕樹 氏
栄誉ある賞を賜りましたこと、誠に光栄に存じます。受賞部品は大光束発生時のLEDモジュールの課題である多重影発生、排熱性、大型などをCOBパッケージング技術で解決し、1500W形水銀ランプ投光器と同等以上の明るさを、消費電力75%削減し達成しました。大光束照明の省エネを進める時代背景の中、低コストでコンパクトなCOBパッケージングLEDモジュールを開発、昨近の電力逼迫事情における大幅な電力削減要請に対し、飛躍的な省エネを実現できた点を評価いただけ、感謝いたします。また、技術スタッフたちの努力と成果で開発できたことは、感謝の気持ちでいっぱいです。受賞を励みに、未来を創るソディックグループとして、モノづくりに貢献できる技術革新に挑戦していきます。
フラクタルひよけ
ロスフィー
製品概要
ロスフィーが開発したフラクタル日よけは葉脈や木の枝葉のような幾何学的概念、フラクタルをデザインに取り入れた。布製のテント屋根とは違い、隙間で輻射熱が発生せず、折り畳んで開閉できるのが特徴だ。木々の葉のような形状に切り込みを入れたポリエステル生地が直射日光を遮り、屋根下の温度上昇を防ぐ。
生地はメッシュ素材メーカーのNBCメッシュテック(東京都日野市)に開発を依頼し、最適な素材を追求した。ポリエステル生地を耐候剤で染め、シート状にしたものをプレス機でフラクタル幾何学に裁断。裁断された部分をタグピンで打ち留め、立体構造に仕上げる。立体形状のため、耐風機能、自熱発散と冷却機能、人の感性を刺激するなどの効果がある。
駐車場やビル窓で実証実験を重ねて機能性を高めてきた。スーパーマーケット駐車場や、空港展望デッキ、ビアガーデンなど東京の人気スポットで施工実績を積み上げてきた。鹿児島発の技術で、全国に快適で涼しい空間作りを送り届ける。
Voice
ロスフィー 取締役 保 清人 氏
今回、環境関連部品ということで評価されたことがうれしいです。以前はデザイン性や、機能性が評価されてきたため、建築関連や生活用品というカテゴリーで評価され受賞してきました。これまでと違う観点での受賞となっただけに単なる屋外用のひよけの枠にとらわれずに、用途も広がるのでないかと期待しています。
もともとフラクタルは放熱器としての機能を製品化したものでしたが、部品という観点で見れば例えば宇宙工学など、さまざまな分野で応用できる可能性があるのではないかと思います。現在も素材となる糸の開発、繊維の染色方法、製造工程などさまざまな技術の高度化に取り組んでおり、さらに製品力を高めていきたいと考えています。