ものづくり日本会議

2014年受賞部品

機械部品賞

アルファボールプレシジョン マルチフルートABP4F形 (仕上げ用刃先交換式ボールエンドミル)

日立ツール

製品概要

 4枚刃仕様の刃先交換式ボールエンドミル。主に自動車向けをはじめとする大物プレス金型の仕上げ加工のために開発した。インサート(刃先交換チップ)の固定方法を工夫し、刃先交換式では難しかった4枚刃を実現した。刃先交換式4枚刃ボールは業界初という。プレス金型に多いダクタイル鋳鉄FCD600を被削材とした場合、これまで主流だった2枚刃タイプと比べ、2倍以上の加工能率と寿命2倍をかなえた。
 工作機械は門型マシニングセンターやガントリータイプの大型工作機械などでも主軸回転数が毎分2万回転以上、送り速度が同20m以上と高速化している。一般に、高速加工は立方晶窒化ホウ素(cBN)工具の領域だが、材質がもろくチッピング(欠け)が生じやすい課題がある。開発品はこうしたcBN工具の高速切削領域をカバーする。
 固定は親刃を斜め方向からネジ留めする方法を考案し、子刃2個分の取り付けスペースを確保した。親刃と子刃インサート3個で4枚刃としている。

Voice
日立ツール 成田工場 開発センター長  赤松 猛史 氏

  このたびは栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思っております。今回受賞することになった「アルファボールプレシジョンマルチフルートABP4F形」は、従来2枚刃が主流であった仕上げ用刃先交換式ボールエンドミルを、独自のインサート固定方法により、業界で初めて多刃化(4枚刃化)を実現した商品です。これにより、金型の仕上げ工程において従来よりも2倍以上の高能率化を実現し、金型製作におけるリードタイム短縮や加工コストの削減が可能になりました。また、応用技術として仕上げの前工程でも高能率化を実現し、仕上げ加工の軽減にも効果を発揮します。今回の受賞を励みに、これからもお客さまにご満足いただける商品の開発にまい進し、日本のモノづくりに貢献してまいりたいと思います。

卓上型・湿式微粒化装置 「スターバースト minimo」

スギノマシン

製品概要

 スギノマシンの卓上型・湿式微粒化装置「スターバースト minimo」は、微粒子を混入した液体を最高約2500気圧に加圧し、直径0.06mmの微細なノズルから毎秒700mで噴射する。内蔵した約10mmのセラミックボールに衝突させ、粒子を数十n-数百nm(nはナノ。10億分の1)に粉砕する。スターバーストによって創り出される微粒子はコンタミ(不純物)が少なく、粒子径が均一。
微粒子材料の高機能性が求められるナノテクノロジー分野で採用される。
 minimoは、幅500mm×奥行き320mm×高さ300mmで重量が24kg。小型で設置場所を選ばず持ち運びできる。100V電源につなぐだけで手軽に操作できる。駆動源は油圧ではなく、ダイレクトに電動で力を発生させる。実験室の卓上やクリーンで安全な環境が求められる無菌室、ドラフトチャンバー、グローブボックス内での使用が可能。処理量は1時間に1-3リットル。最小7ミリリットルを処理でき希少価値の高い材料のほか、医薬品や化粧品、食品の微粒子化に適する。

Voice
スギノマシン 執行役員 プラント機器 事業本部 事業企画室長
川島 靖 氏

 今回、機械部品賞をいただき誠に光栄です。湿式微粒化装置「スターバースト」は微粒子を混入した液体を最高約2500気圧に加圧し、その後微細なノズルから毎秒700mで噴射衝突させ、粒子の分散・粉砕・乳化・表面改質を行います。今回開発した「minimo」はスターバーストの特徴を全て備え、100V電源をつなぐだけで手軽に操作できる卓上機です。小型・軽量で持ち運びも容易でさまざまな場所で使用できます。小さくても大型機と同じレベルを達成しています。  今後も新たな研究開発をさらに進め、お客様の要望に応えるべく、モノづくりに取り組んでまいります。

炭化水素系マイクロエマルション洗浄剤 「NSクリーンMタイプ」

JX日鉱日石エネルギー

製品概要

 JX日鉱日石エネルギーの炭化水素系マイクロエマルション洗浄剤「NSクリーンMタイプ」は鉱物油系か水溶性かを問わず、あらゆる加工油や研削粒子などの汚れを一度に落とせるのが最大の特徴。汚れの種類を特定したり、汚れに応じて洗浄する部品を分けたりする手間が省け、洗浄工程を大幅に簡素化できる。
 これまでは汚れの種類に応じて専用の洗浄剤が必要だった。Mタイプは既存の洗浄剤に水と特殊界面活性剤を配合するなどして、あらゆる加工油の除去を可能にした。研磨や熱処理など2次加工メーカーによる「前段での加工油を特定・制限できない」といった声や「いろいろな加工工程の部品を分別せず、まとめて洗浄したい」というニーズに対応できる。
 NSクリーンは塩素や芳香族分を含まず、環境適合性と洗浄性能を両立させた洗浄剤シリーズ。オゾン層破壊物質の規制が叫ばれ始めた1993年に販売を始めた。炭化水素系では推定でトップシェアを持つ。自動車や精密機械、電子機器など金属加工部品の脱脂洗浄に幅広く使われている。

Voice
JX日鉱日石エネルギー 取締役常務執行役員  中野 治雄 氏

 「NSクリーンMタイプ」は油性・水性の複合汚れに対応可能な洗浄剤が必要という顧客ニーズに応えて開発した商品です。開発段階では最適な添加剤の選定など多くの課題がありましたが、当社の技術力で解決し商品化に至り、それが今回の受賞につながったものと大変うれしく思っております。当社の機能化学品事業は2014年4月に社内カンパニー制に移行し、1事業1ユニット体制を取るとともに、新商品開発・新事業創出のスピードアップを図るために研究・製造・販売組織を一体化しました。今後はより一層、顧客の便益にかなった優れた商品を早期に開発し、社会の発展に貢献して参ります。

ACサーボドライブ「Σ-Sシリーズ」

安川電機

製品概要

 安川電機のACサーボドライブ「Σ-Sシリーズ」は空圧機器からの置き換えを狙う低価格型の戦略製品。空圧アクチュエーター比で年間約98%減という省エネのコストメリットを打ち出している。医薬品や食品向けの検査・分析装置、ロボットハンド、搬送装置などでの利用を見込む。
 サーボモーターの機械部品について統合、点数削減を進めるとともに、サーボドライバではパワー素子の配置を最適化し、冷却部品を簡素化した。
これによりコストダウンし、価格を従来品の約2分の1に低減。空圧機器の代替品として競争力を持たせた。
 任意の力(トルク)でワークの押し当てや保持が可能。ワークの破損、取り落としを防ぎ、作業品質を高められる。起動時の加速度、停止時の減速度の値を設定できるのも特徴。急激な速度変化でワークを飛ばすなどのリスクを低減できる。
 サーボモーターはフランジが25mm角、40mm角の製品をラインアップし、装置の小型化に寄与する。サーボドライバは基板型で装置設計の自由度も高い。

Voice
安川電機 モーションコントロール事業部 モータ技術部長
松浦 英典 氏

 「Σ-Sシリーズ」は汎用ACサーボドライブから性能・機能の絞り込みを行い、従来のACサーボドライブに比べ圧倒的な低コスト、使い易さを追求した製品です。低コストですが、当社のACサーボドライブの技術を盛り込んでおり、汎用ACサーボドライブと同様に小型・高効率化を実現しています。
 工場の汎用設備をはじめ、医療、食品、一般搬送装置といった新しい市場に対しても十分な競争力がある製品であると考えています。  今回の受賞を新市場におけるシェア拡大への弾みとし、今後もお客さまのニーズにマッチした製品を提供し てまいります。

超硬合金を素材とした型の超精密・高品位切削加工を 実現する
PCDエンドミルシリーズ

日進工具

製品概要

 開発品は超硬合金素材の型を切削加工だけで製作する多結晶ダイヤモンド(PCD)エンドミル。超硬合金は小型部品の量産向け成形型素材として注目されている。型の高寿命化や耐久性を高め、成形部品のコストダウンが期待できるためだ。ただ、放電加工や手作業による磨き工程などを伴い、コストや精度、微細化などといった面から適用範囲が限定されている。
 PCDは工具に使われる超硬合金や立方晶窒化ホウ素(cBN)より硬く、もろい素材であるため、工具素材としては取り扱いづらい。生産コストを抑えながら、工具成形技術を確立することが求められた。従来の研削加工による工具成形からワイヤ放電加工に置き換えるなどで、PCD素材の小径エンドミルの開発に成功。価格面は、一般的な製品の市場値が10万円前後であるのに対し、開発品はおよそ半値を実現した。
 開発品は、マシニングセンターの切削加工だけで型を製作でき、作業者や時間ごとのバラつきを抑え、コスト低減に貢献する。

Voice
日進工具 社長  後藤 弘治 氏

 超硬小径エンドミルに経営資源を集中し、最近では立方晶窒化ホウ素(cBN)エンドミルにおいても成果を上げつつある中、今後の成長が期待される多結晶ダイヤモンド(PCD)エンドミルでこのような賞をいただけたことは大変うれしいことであり、今後の開発・製造・販売において大いに励みとなります。金型や部品に求められる精度や耐久性がどんどんと高くなるにつれ、その素材(被削材)もより硬く、加工が難しくなってきています。
当社ではそれらの加工ニーズに対応するため、cBNやPCDといった材料を使用した小径エンドミルの開発に注力し、わが国のモノづくりが得意とする「微細」「精密」の分野において、小さいながらも存在感のある企業になれるよう努力を重ねて参ります。

高収束スキャン光学系 (高収束スキャンレンズ、収差補正鏡)

三菱電機

製品概要

「高収束スキャン光学系」は、炭酸ガス(CO2)レーザー穴あけ装置に搭載する光学部品。MPU(超小型演算処理装置)など電子部品に使う高密度多層プリント配線板に対し、層間を電気的に接続するための穴(ブラインドビア)を加工する。
 直径50μm級の穴加工は波長の短い紫外レーザーに限定されていたが、今回の部品を搭載すると波長の長いCO2レーザーで加工できる。これにより穴あけの速度が紫外レーザーに比べて1.7倍に速まり、コストも2分の1になる。
 プリント配線板の高密度化や小型化、生産性の向上に効果があり、MPUを搭載するスマートフォンやパソコンの高性能化に寄与する。 
 紫外レーザーに対する生産性の高さを評価され、光学部品を搭載したCO2レーザーへの置き換えが進んでいる。2013年度は23台納入し、14年度は国内外に27台の出荷を見込む。プリント配線板メーカーに大きなインパクトを与えており、今後も出荷台数が拡大すると想定する。/p>

Voice
三菱電機 常務執行役 生産システム本部長  森安 雅治 氏

 「2014年モノづくり部品大賞」の機械部品賞の栄誉をいただき、ありがとうございます。
 生産技術センターでは製造革新技術を核に、さまざまな製品の競争力強化を実現するキーパーツの開発・内製化に携わっています。このため生産技術センターのエンジニアにとって、部品を対象にした本賞の受賞は「本当にうれしい!」ことです。
 昨年の本賞の受賞記事を見て応募しましたが、初めての応募で受賞することができて光栄です。また来年の受賞を目指して頑張ります。

自動車プレス金型用カムユニット[VALCAM]

三協オイルレス工業

製品概要

 三協オイルレス工業が開発した自動車プレス金型用カムユニット「VALCAM(バルカム)」はプレス機の生産速度向上と、プレス工程の削減に大きく寄与する。独自の設計技術により、従来品よりも互換性を持たせたことでカムユニットを交換するだけで、軟鋼材から高張力鋼板(ハイテン)まで幅広い素材の加工に対応する。また、高速生産に耐えられる強度、100万回加工できる耐久性、クラス最小のコンパクト性、軽量化を実現した。
 カムユニットは自動車パネルを成形するプレス金型に取り付ける部品。プレスの下向きの力を斜め方向に変換し、パネル傾斜部に対して垂直角度から穴あけや切断する。
 従来品は顧客の要求仕様に応じるため多くの種類が必要だったが、バルカムは互換性があるため、取り付け位置を変えずに対応できる。使用機種を減らすことで金型設計時の工数減少や、メンテナンスがしやすく保全部品在庫が少なくてすむメリットがある。  また、設計変更にも対応しやすい。パネル強度変更や加工の長さ・径の変更など設計変更があった場合、バルカムはカムユニットのみの変更で済む。

Voice
三協オイルレス工業 社長  中村 智 氏

 日本のモノづくりが将来にわたって元気に続いていくため、日本の自動車関連メーカーが必死に研究開発や製造に取り組んでいます。そうした中、当社の部品が少しでも日本の自動車産業の技術力向上に貢献できればと考えていただけに受賞の喜びはひとしおです。
 これまで会社として経営に関する受賞はありましたが、当社の商品が受賞するのは初めての経験です。社内のモチベーションが上がり活気づくと思います。また、日本の金型産業が厳しい事業環境におかれている中、当社の開発担当者も何とかしたいという思いを込めて開発した製品でもあります。今後もユーザーのニーズに応えながら、日本の産業競争力向上に寄与していきたいと考えています。