ものづくり日本会議

2016年受賞部品

電気・電子部品賞

IoTセンサー

日立製作所

製品概要

 製品に組み込むことで、物体に生じる100万分の1以下のひずみ量(長さ1kmの物体が1mm伸び縮みするレベル)を常時計測する。アンプや直流・交流コンバーターなどの周辺機器を含め、2.5mm角のCMOS(相補型金属酸化膜半導体)に1チップ化した。従来のひずみゲージに比べて2万5000倍の感度を持ち、消費電力を1000分の1に、コストを100分の1以下に抑えた。
 動作温度は-40度Cから+120度Cで、精密機器、医療機器、自動車、インフラ構造物などへ組み込める。接合対象により応力や圧力、トルク、張力、せん断力などを計測できる。機器の性能向上や高精度制御ソリューション、故障予知診断などへの応用を見込む。

 これまで難しかった長期の組み込みや常時計測が可能になり、用途の広がりが見込める。自動車部品や医療機器、ロボットなど各メーカーでの利用や共同開発を進めており、1年内に応用分野での製品化を目指す。

Voice
日立製作所 ITプロダクツ統括本部 
センシング・ソリューション開発プロジェクト プロジェクトリーダ 
長野敬氏

 このたびは栄えある賞をいただき、誠に光栄に存じます。本センサーは機械分野などで長年の課題だった、ひずみ量の常時モニタリングを可能にしました。微小なひずみ量を高精度に計測するほか、本センサーをベースとしたトルク測定、張力測定などの応用製品群や制御技術、無線通信技術も開発しました。本センサーの活用により、産業、医療、プラントなど幅広い分野で技術革新が生まれようとしています。今後も産官学と連携して技術開発を進め、インターネット社会における基盤技術形成を目指すことで社会に貢献したいと考えております。

ガス供給不要誘電体バリア電極

魁半導体

製品概要

 魁半導体は酸素やアルゴンなど原料ガスを供給することなくプラズマを発生させる、ガスフリーペン型大気圧プラズマ発生装置「NRSR-P10」を開発した。ペン先で発生させたプラズマを吹きつけて密着強化や親水化など表面改質に用いる。塗装や印刷、フィルム貼り合わせ接着や、培養、歯科の充填剤密着など幅広い分野での活用が期待される。
 受賞部品は同装置で使用する電極部ユニット。ペン先の電極構造を工夫し、周囲の酸素を取り込んでプラズマ化させて対象物に吹きつける。60秒間照射したガラスに純水を滴下した実験では、接触角3度という高い親水性を達成した。ペン先サイズは22mmで、研究開発や歯科充填物の処理用途などが中心。今後は大型タイプで半導体ウエハーの洗浄や前処理など量産用機種を開発する。

 ガス供給装置が不要で、設置スペースが従来の半分程度で済む。ガス供給装置のない場所や設置ができない狭い場所など、従来は不可能だった場所でも使える。

Voice
魁半導体 社長 田口貢士氏

 電気・電子部品賞を賜りまして、誠に光栄です。
 プラズマ技術の応用は、半導体やパネル等の電子産業のみならず医療や農薬へも広がりをみせており、マーケットは今後も広がり続けます。
 今回受賞させて頂きましたプラズマ技術は、従来必要としていた供給ガスを不要とするもので、まさに新たな現場にて望まれているものです。歯科など医療の現場などで、より簡便により安全に取り扱いたいというニーズに応えました。

 今回の受賞を励みとし、さらに望まれるニーズに応え続けてまいります。

光伝送機器モジュール用回折格子

島津製作所

製品概要

 島津製作所が製造する光伝送機器モジュール用回折格子は、波長多重化装置に搭載される。波長多重伝送(WDM)の波長モニターや波長選択スイッチ(WSS)に搭載され、1.5μm帯の近赤外レーザー光から特定波長の光を取り出す。

 この回折格子は、ガラス基板に溝を加工し作製したマスターから、ガラス基板上の樹脂に型をとるレプリカ回折格子。作製した回折格子を切り分ける際に微小切断片が表面に付かない技術を開発した。数十μmが求められる外形寸法精度の向上や有効面積の最大化につながる。傷検査は1%以下の誤差内で自動化を実現した。自動化は品質の均一化や仕様基準を明確にできる。年2万枚以上の生産が可能で、2年後にはWSSモジュール用回折格子のシェア3割を目指す。一般にレプリカ回折格子は高温・多湿に弱いが、電気通信用部品に必要な米国のテルコーディア規格の信頼性規格「GR-1221-CORE」に合格している。

Voice
島津製作所 理事 デバイス部長 井上光二氏

 当社の光学素子開発・製造技術を全て投入し、温度・湿度が過酷な環境下でも長期高品質性能を保証する光伝送機器用の回折格子を量産タイプとしては世界で初めて開発し、お客様のご評価を頂きました。

 当社製品が10期連続で表彰いただけたことを大変光栄に思うと同時に、この受賞は全てお客様からの多くのご支援の賜であると感謝しています。これを励みにして今後も常に新しいことに挑戦し、世界ナンバーワンでオンリーワン商品を創出するために、モノづくり技術を磨いていく所存です。