2016年受賞部品

環境関連部品賞

省燃費自動車用ギヤ油「ギヤグランドDXシリーズ」

JXエネルギー

製品概要

JXエネルギーが省燃費車向けに開発したギア油「ギヤグランドDXシリーズ」は、ギアの耐久信頼性を従来品と同等以上に保ちながら、自動車の省燃費性を高められる点が特徴。ギア油では貢献しにくかったバスや大型トラックの燃費向上も見込めるという。
 自動車エンジン用の潤滑油は、燃費性能を高める方法として粘度を下げるのが一般的だが、ギア油は粘度を下げるとギア間の油膜保持能力が低下し、ギアの耐久信頼性を保ちにくくなる。特に荷重が大きい大型車両は、油膜保持能力の低下に伴うギア間の摩擦増大が深刻な問題となり、低粘度化が難しかった。
 同製品は独自の添加剤配合技術や新しい基材の採用により、ギアの耐久信頼性を損ねずに、優れた省燃費性を発揮する。新しい基材は高い極性を持ち、ギアの金属表面に吸着して強固な油膜をつくるため、摩擦が大幅に減る。同製品を使った自動車は、燃費性能が同社従来品より平均3%以上高まるという。

Voice
JXエネルギー 常務執行役員 潤滑油カンパニー・プレジデント
保谷尚登氏

 このたびは栄誉ある賞に選ばれ、ありがとうございます。地球環境保護のためのさまざまな規制強化に伴い、お客さまの環境志向が非常に高まっており、潤滑油分野では省燃費エンジン油の普及が進んでいます。ギア油による省燃費はこれまで困難とされていましたが、当社独自の処方技術で業界初の省燃費ギア油の商品化に成功しました。二酸化炭素(CO2)の排出量削減だけでなく、燃料コストの削減にも寄与する省燃費性・経済性に優れた画期的な商品だと自負します。受賞を励みに、今後もお客さまに満足していただける環境配慮型潤滑油の開発に努めてまいります。

低燃費ゴムクローラ LFCシリーズ

ブリヂストン

製品概要

 ブリヂストンの「低燃費ゴムクローラ LFCシリーズ」は自動車のタイヤのように、建設機械の足回り部品として接地し、機械を進ませている。走りながら地面をほるコンパクトトラックローダー(CTL)向けに開発した。
 かねて、走行抵抗を減らして低燃費に寄与するクローラーの開発が検討されていた。当初は製品の厚さを薄くして燃費性能を確保したが、薄くすると基本性能が損なわれるジレンマがあった。
 同シリーズはゴムや鉄製の芯金、スチールコードなど各構成部分が持つ省燃費に寄与するパラメーターを、新規導入した分析設備で特定し、抵抗の予測式を作成。式などを元に最適な設計を施した。結果、10%の燃費低減と、使用材料の11%削減を果たせた。
 現在はクボタ製のCTLに採用されている。世界のCTLの生産台数の6割にブリヂストン製のクローラーが装着されており、将来は全てをLFCシリーズに置き換える考えだ。

Voice
産業資材事業本部ゴムクローラ開発部部長 岩佐光浩氏

 このたびは栄誉ある賞をいただき、ありがとうございます。
 低燃費ゴムクローラーは建設機械を駆動させる重要な部品です。この製品の環境面に関する価値をご評価いただいたことが、環境関連部品賞の受賞につながったと思い、非常にうれしく思います。クローラーは、弊社の環境に対する姿勢を具現化したものの一つで、すでに一部の建機メーカーにもご採用いただいています。今回の受賞は、当社のその姿勢と、クローラー自体の機能の両方が認められたものと感じています。
 受賞を機に、より多くの企業に「環境を考えたクローラ」として拡販を図ります。

低トルクシールリング

NTN

製品概要

 NTNの自動車トランスミッション向け「低トルクシールリング」は、シール性を維持しながらトルクを従来品比で60%低減した。燃費改善につながる部品として、自動車メーカーや自動車部品メーカーなど、複数企業から受注を獲得して、量産を開始している。
 シールリングは、トランスミッションの油圧回路内で相対運動する軸とハウジングの間で、しゅう動しながらオイルを密封する役割を担う。1台あたり4-20個が使われる。
 低トルクシールリングは、特殊充填材を配合したPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂製。しゅう動する幅面に設けたV字状の潤滑溝を形成することで、動圧効果でオイルを安定供給し、低トルク化を実現した。
 子会社のNTN精密樹脂(三重県東員町)で月産10万個で量産を始め、順次増やす。エネルギー伝達効率向上に向けて多段化が進むトランスミッションでは、シールリング使用数も増加傾向で、需要拡大が期待できる。

Voice
NTN 常務取締役 寺阪至徳氏

このたび、「環境関連部品賞」を賜り誠に光栄に存じます。
「低トルクシールリング」は、好評いただいておりました「ベアリー」材(NTN独自開発のしゅう動材)による摩擦低減に加え、精密な射出成形技術を活用したV字状の潤滑溝により発生する動圧が油膜を形成することで格段の低トルクを実現しました。トランスミッション用シールリングに求められる低トルクとシール性能の両立が可能となり、多くのAT(オートマチック)車に適用いただいています。今回の受賞を励みに、さらに低トルク化の技術を磨き、自動車の低燃費化ならびに環境負荷の低減、日本のモノづくりの競争力向上に貢献してまいりたいと存じます。