ものづくり日本会議

2016年受賞部品

健康・バイオ・医療機器分野

肘を固定した新たな人体拘束方法による介護用移乗機器

共栄プロセス

製品概要

 共栄プロセスの介護用人体移乗降器具「ONBU(オンブ)」は、肘を固定する独自構造により介護する人、される人双方の肉体的負担を軽減できる。「体操競技の平行棒からヒントを得て開発した」(真保勇夫社長)。
 両腕・肘を95度に曲げて胸部と一体のホルダーに固定し、上半身を傾けホルダーを上昇させる。肘は痛さを感じにくいのを利用した。肘で体重を分散して胸部への負荷を軽減するため、抱きかかえられるより胸部の圧迫感が少ない。
 移乗降器具は車いすとベッドや車などの移動に使う。しかし従来の器具は大型で扱いにくい、介護者の負担が大きいなど課題が多かった。

 ONBUは肘を力点として被介護者の体重を支えるため器具を小型・軽量化できる。非力な女性でも被介護者を容易に、安全に移動させることができ落下も防げる。2015年に東京都や浜松市内の介護施設で体重100kgでも短時間で乗降できることを実証確認した。好評を得て、早期の実用化を目指す。

Voice
共栄プロセス 社長 眞保勇夫氏

 介護者、被介護者の双方にやさしい移乗器具を開発しました。今までの移乗器具では、腰が曲がらない、両腕まひ、円背などの症状の方に利用できるものがありませんでした。

 今後は、在宅で老夫婦がお互いに介護することが想定されます。今回の受賞により開発意欲が湧いており、現在は特別養護老人ホーム向けの移乗器具の開発を行っています。そのような意味でも今回の受賞を本当にうれしく思います。

産業用双輪RBS

日乃本錠前

製品概要

 産業用双輪RBSは操作部のレバーを回す一つの操作で複数のキャスターを同時に止める。ワイヤを介して各キャスターのストッパー部品を持ち上げる構造で車輪を同時に固定する。ユニバーサルデザインも意識し、操作部のレバーの視認性を高めた。固定状態と、開放状態が一目瞭然で、ストッパーの状態が分かりやすい。
主に医療用向けのナースカートの使用を想定する。医療現場では医療機器などを乗せたカートを固定する際、各キャスターをすべて固定するのが原則だが、一般的な製品ではストッパーを一つずつ固定しなければならず、作業忘れや固定しているのかどうか状態が分かりにくいとの課題の声があがっていた。
キャスター内部はストッパー機構を組み込んであり、大がかりな部品を取りつける必要がないため省スペース化が図れ、取り付けが自在にできるため汎用性が高い。アイデア次第で台車などその他の機器にも取り付けができる。

Voice
日乃本錠前 社長 田中常隆氏

 当社はかばんやスーツケースなどの錠前やキャスターなど付属部品を製造販売しています。このような部品やパーツの製品などで評価を受けることは少ないので、開発の地道な取り組みを評価していただいたことをうれしく思います。次の新しい製品の開発の意欲がわいてきます。

 当社の経営理念に「常に喜ばれる商品を世に送り出す」とあります。顧客にとっても分かりやすく使いやすい製品の開発を心がけています。我々は芸術品をつくっている訳ではないので、コストも抑えた価格を意識しています。今後も、安くて質のよい商品を開発することを心がけてまいります。

機能性とデザイン性を両立する軽量・安価な電動義手 Finch

ダイヤ工業

製品概要

 Finch(フィンチ)は上肢切断者向け電動義手。吉川雅博奈良先端科学技術大学院大学助教(現大阪工業大学特任准教授)、河島則天国立障害者リハビリセンター室長、山中俊治東京大学生産技術研究所教授と共同開発した。あえて人の手の形状とは異なる機能優先のシンプルな構造・デザインを採用し軽さと汎用性、低価格を実現した。誰でも負担なく装着でき便利に使える덀日常の道具덁としての利用を目指している。
 筋肉の隆起を距離センサーで読み取り3本の指を操作する。筋電センサーを使った従来型電動義手に比べ短い訓練で日用品の把持や操作が可能となる。価格も10分の1程度となる10万円に抑えた。

 本体は3Dプリンター造形によるABS樹脂製。柔軟なソケット(装着部)はある程度の調整ができ、独自形状のサポーターを締め付け装着し脱着も容易。専門家によるフィッティングが不要で購入時は4サイズから選ぶしくみ。また、衣服の上からも装着できる。

Voice
ダイヤ工業 社長 松尾正男氏

 製品開発については我々より吉川先生、河島先生らの力が大きいです。ただ、今回のコラボが実現したのは(パワーアシストグローブなどを製品化した)会社としての姿勢や実績を理解してもらえたからだと考えています。  フィンチは前腕を欠損した方の日常生活を手助けする「道具」として開発しました。気軽に使える道具として普及することで、ハンディがハンディでなくなり個性だと思えるようになればうれしいことです。

 これからの課題は事業展開です。幸い国内外から協業のお誘いをいただいています。それを生かし、より多くの人々に使ってもらえるようにしていきたいと思います。