2017年受賞部品

生活関連部品賞

リチウムイオン電池残量計IC「LC709203」

オン・セミコンダクター

製品概要

 リチウムイオン電池の発火事故などを受け、電子機器の安全性確保がこれまで以上に重視されている。オン・セミコンダクターのリチウムイオン電池残量計IC「LC709203」は、ソフトウエアを最適化することで、消費電流を最小減に抑えつつ、高精度な計測を実現している。
 機器の消費電流に応じた計測や演算周期、スリープ状態の回路ブロックを起動する際の処理などを最適化した。競合品と比べて、駆動時の消費電流は2分の1以下だ。
 また通常は動作電流と動作電圧の計測に必要な外付けの抵抗部品をなくし、専有面積を競合品と比べて半分程度小さくした。同ICはウエアラブル機器市場でシェア首位の米国企業でも採用された。

Voice
副事業部長 寺田 聡氏

 このたびは栄誉ある賞に選定いただき、ありがとうございました。我々は昨今のリチウムイオン充電池の安全性向上の要求に対し、独自技術で残量精度と設計容易性を向上させ、高効率性と占有面積縮小のトレードオフを解決した本製品を、多くのお客さまに提供しています。これらの点を広く評価いただき大変光栄です。
 モバイル機器に加えウェアラブル・フィットネス機器でも、充電池搭載はさらに増加する見込みです。今後も安全性、信頼性、簡便性を支える技術・製品・サービスで、充電池産業の発展に貢献したいと考えております。

スマート窓クール

積水ナノコートテクノロジー

製品概要

 積水ナノコートテクノロジーの「スマート窓クール」は、織物やフィルムに遮熱性や導電性を持たせる独自のスパッタリング技術で仕上げた。メッシュ状にしたポリエステル生地にナノ単位(ナノは10億分の1)でステンレスの薄膜を形成。金属粒子が日差しを反射することで室内の温度上昇を抑え、紫外線(UV)も69%低減できる。日中は屋外から室内が見えにくくなる「ミラー効果」も発揮する。
 面ファスナーで窓に張り付ける従来の「遮熱クールネット」をフレームで固定した。粘着テープと磁石で簡単に取り付け・取り外しでき、網戸としても使える。高齢者福祉施設や学校、病院などに拡販し、各種サイズに個別設計で対応する。条件を満たせば、嵌め殺し窓や回転窓への設置も可能だ。

Voice
取締役営業部長 藤井 義和氏

 このたびは、このような賞をいただき誠に光栄です。当社は長きにわたり、生地にスパッタリングする独自技術「masaナノメタルコーティング」を活用しさまざまな製品を開発し続けています。
 スマート窓クールは生地にステンレスコーティングを施した遮熱対策製品とフレームを一体化した製品です。付属のマグネット付き粘着シートで窓ガラスやサッシ枠などに設置することで、熱や紫外線が室内に入るのを抑え省エネにも貢献します。今後は、網戸などにも遮熱対策製品を拡充し、ひとびとの暮らしと地球環境の向上に貢献していきます。

OHラジカルの生成量を従来比10倍にした「ナノイーX」生成デバイス

パナソニック

製品概要

 パナソニックは空気中の水に高電圧を加えて、ナノサイズの帯電微粒子水「ナノイーX」を大量生成する新デバイスを開発した。微粒子中のOHラジカルが臭いの原因物質、菌、花粉、アレル物質などに反応して無力化・抑制する。新放電方式でOHラジカルの生成領域を広げて、従来比10倍の毎秒4兆8000億個生成できる。
 日本全国の花粉11種類を無力化するほか、アレル物質17種類も抑制する。たばこ、汗、生乾き、ペット、焼き肉など生活臭の抑制は、効果が表れるまでの時間を従来の10分の1の約12分に短縮した。空気清浄機や業務用空調などの自社製品に搭載を始めたほか、公共施設、自動車、鉄道車両など他社向けの展開を加速している。

Voice
アプライアンス社技術本部ホームアプライアンス開発センター 
所長  本橋 良氏

 このたびは栄誉ある賞をいただき、ありがとうございます。
 「ナノイーX」生成デバイスは、独自の静電霧化技術により、帯電微粒子水に含まれるOHラジカル量を従来比10倍に高めたデバイスです。空質浄化効果のあるOHラジカル量の増加により、タバコ付着臭の脱臭時間を従来比10分の1、また花粉の分解については、従来4種類のみでしたが、11種類の分解が可能になりました。
 現在、エアコン、空気清浄機などに搭載しています。今後も安心・快適な空質環境をすべての人に提供できる新たなデバイス開発に努めてまいります。

±18mmで何層にも文字が加工可能な3Dラベル

マツザキ

製品概要

 従来の市場製品より幅を効かせた、±18mmで文字の深度を加工可能。複層構造でフィルム間にレンズ機能があるため、正面や斜めなど見る角度によって、文字の見え方が変わる。会社名や絵柄を自由に組み入れられるなどデザインの幅が広い。室内の装飾品としての問い合わせもある。
 濱﨑順一社長は「3Dラベルを偽造することは困難」と話す。そこで正規品か偽物かを判断する、セキュリティー面で用途を想定。メーカーの正規品である証明書に使える。今後は、同社の既存製品と組み合わせて、ラベルを剥がされる問題にも対応を強化する。高コストの問題に対応しながら企業の商品保護、ブランドイメージ向上に貢献する。

Voice
代表取締役 濱﨑 順一氏

 受賞することができ大変感激しております。3Dラベル自体は既に世の中にある技術で選ばれるとは夢にも思っておらず大変うれしく思います。
 弊社の製造するラベルは個人情報の保護など高度化するセキュリティー社会で大いに貢献できます。賞をいただいた3Dラベルは偽物を作ることが困難なため、真贋(しんがん)を見極める判断にたけています。
 特別な機器も必要ではなく大切な製品を証明する役割を担うことができます。賞を通じて弊社の技術を認知していただき、ブランド保護など企業のお役に立てればと考えています。