ものづくり日本会議

2018年受賞部品

機械・ロボット部品賞

多段式射出成形金型

三恵金型工業株式会社

製品概要

 三恵金型工業は縦方向(垂直)に複数の金型を重ね、1ショットでプラスチック部品やゴム部品を多数作れるようにした。山田俊影社長が物干し台に乳幼児用と子供用のハンガーが並んでつるされているのを見て、1回の成形で多数個取りできる金型のアイデアを思いつき、開発に取り組んだ。
 金型を4層並べる場合、通常ならば4台必要な成形機が1台で済む。生産効率は4倍になり、製品単価は20%削減できる。1層ごとに形が違う型を用意し、複数の形の部品を1ショットで製造することも可能。例えば運転席や助手席、後部座席と席ごとに形が異なるゴム製フロアマットについて、それぞれの型を製作し、1ショットで全座席分のマットを成形するといった生産方法も実現した。

Voice
社長 山田 俊影氏

 受賞ができて、とにかくうれしい。しかし、今のプラスチック金型業界は景気が冷え込んでいる。世の中は好況なのに業界は取り残されているのでうれしさ半分、さびしさ半分の複雑な気持ちだ。受賞がカンフル剤となって、新しいお客の獲得につながることを期待している。

 この金型は私の力だけでは実現できなかった。開発する際に後押しをしてくれた会長や従業員がいなければ、世の中には出せなかった。ほかにも多くの方にご協力をいただき、お世話になった。それらの方々への感謝の気持ちでいっぱいだ。

ワンレボリューションスレッドミル「AT-1」

オーエスジー株式会社

製品概要

 スレッドミルはタップと同じ雌ネジ加工用工具だが、特殊な加工プログラムが必要になる点と加工時間の長さにより、タップが主流になっている。荒・仕上げと2パス加工が必要なため、加工時間が長い。オーエスジーの今回の製品は1パス加工で済むため、被削材やネジサイズによってはタップと同等の加工時間を実現した。
 理由の一つが、右刃左ねじれ溝だ。従来品と溝ねじれ方向を変えたことで、片当たりによる倒れを最小限に抑えられる。もう一つが不等分割・不等リード溝だ。エンドミルの既存技術を採用し、防振効果を狙った。倒れを抑えても、切り込み量の増加でビビリが発生し、1パス加工できなくなることがある。それを防止できる。

Voice
社長 石川 則男氏

 超モノづくり部品大賞の「機械・ロボット部品賞」ありがとうございます。めねじ加工用工具としてスレッドミルはタップより切りくずトラブルが少なく、加工面もきれいです。しかし精度を高めるために切削条件を落としたり、2パス加工が必要です。その問題解決のために「ワンレボリューションスレッドミル『AT―1』」が誕生しました。右刃左ねじれ溝により倒れを最大限に抑え、不等分割・不等リード溝により防振効果を狙いました。その結果、加工回数を1パスにでき、能率と寿命が向上しました。

 今後ともご愛顧をお願いいたします。

漏油予知機能付き油圧シリンダ「シグナリーク」

株式会社堀内機械

製品概要

 堀内機械が開発した「漏油予知機能付き油圧シリンダ『シグナリーク』」は、シリンダーからの作動油の漏れを検知し、メンテナンスの時期を知らせることで、油圧シリンダーを原因とする重大な環境汚染や、設備の稼働率低下を未然に防ぐ。
漏油点検の確実性を向上させ、点検作業を大幅に軽減できるほか、保全作業を効率化し、発生後の対応や予防保全から、予知保全への転換を図れる。また作動油の漏れを防ぐことで環境保全や生産性の向上を図れる。
 シリンダー内部に組み込んだ漏油センサーの静電容量値を連続計測し、内部での漏油量から、今後の漏油量を予測する仕組み。センサーは油圧シリンダーの種類や使用条件に左右されずに漏油量を監視できる。

 

Voice
代表取締役 堀内 晋平氏

 このたびは栄えある「機械・ロボット部品賞」を頂戴し、誠に光栄に存じます。今回、油圧シリンダーを使うお客さまの「困りごと」に応え、製品を開発しました。作動油の漏れはどうしても避けられませんが、事後に対応するのではなく、事前に油漏れを検知し信号を送るようにして、お客さまが準備して対応できるようにしました。IoT(モノのインターネット)に対応可能とした点も喜ばれております。

 今回の受賞を励みに、より多くのお客さまの声に耳を傾け、他社との協業も図りながら、みなさまの期待を超える製品を作り続ける所存です。

エポックディープボールエボリューションハード「TH3」

三菱日立ツール株式会社

製品概要

 三菱日立ツールの「エポックディープボールエボリューションハード『TH3』」は、マシニングセンター(MC)に使う切削工具で、HRC50を超える高硬度鋼を主なターゲットに開発された。これまでは、高価な立方晶窒化ホウ素(cBN)工具を使ってきた高硬度・高精度金型の仕上げ加工を可能にした。
 工具形状の最適化、高硬度鋼加工用の新しいコーティング被膜の開発などにより、耐摩耗性を大幅に改善した。これにより工具寿命を伸ばした。
 さらに長時間の切削加工であっても、摩耗による工具形状の崩れが少なく、被加工品の寸法変化が少なく、高精度な切削加工につながる。

Voice
社長 増田 照彦氏

 受賞の栄誉を賜り誠に光栄に存じます。受賞製品は常識を疑った発想から生まれた高硬度鋼加工用コーティングと高硬度鋼に特化した刃形を融合しました。cBN工具による高硬度・高精度金型の仕上げ加工の領域で、超硬工具による加工を可能にしました。

 世界を驚かせる鋭い発想で、当社ならではのとがった心を込めたご提案の一つです。

耐熱型位置センサ「MELシリーズ」

村田機械株式会社

製品概要

 「MELシリーズ」はプラスチック成形の金型に埋め込み、金型の開き量などを正確に計測する耐熱型位置センサー。自動車業界は車体軽量化に向けた金属部品の樹脂化で、高精度なプラスチック成形加工が求められる。同シリーズは成形時の金型の動きを「見える化」でき、試作成形時の射出条件設定や、量産稼働監視に使える。
 村田機械の位置センサーは磁気誘導式で、耐振動性や耐衝撃性、耐熱性などに優れる。金型側面に取り付ける従来品と比べ、金型に埋め込むシリーズは正確な開き量やたわみの測定が可能で、加工の最適化、不良抑制などが期待できる。大手部品メーカーに加え、射出成形機、金型、樹脂メーカーなどからの引き合いが増えている。

Voice
制御機器事業部技術部長 木野 義浩氏

 このたびは栄えある賞を賜り、心より御礼申し上げます。耐熱型位置センサー「MELシリーズ」は、長年取り組んできた耐熱性・耐環境性の高い磁気誘導式リニアセンサーの特徴を生かした、金型に直接装着可能なセンサーです。自動車部品はじめ、成形品の高精度化が進む一方、成形加工は熟練者の経験と勘に頼る部分が残っています。金型の挙動「見える化」でビッグデータ収集・分析・機械学習を進め、予知保全可能なスマートファクトリー化への貢献を企図しています。

 今後も、お客さまの要望に応えるための開発に取り組んで参ります。

商用電源直結ブラシレスモータローラー

株式会社新井製作所

製品概要

 新井製作所はローラー業界で初めて、スイッチング電源を不要とする「商用電源直結ブラシレスモータローラー」を開発した。工場の生産ラインのコンベヤーや、さまざまな物流装置などの搬送機器の動力に使われる。
 定格電源電圧は交流(AC)100ボルト(50/60ヘルツ)。電圧変換が不要のため、無駄なエネルギー消費がなく省エネルギー。発熱量が小さいため、電子部品の長寿命化が期待できる。
 スロースタート、ソフトストップの機能で製品などを優しく搬送する。モーターの起動トルクが大きく、重量物も一定速度で搬送できる。消費電流が小さいため最大10台のローラーを同時運転可能。

 

Voice
社長 新井 潔氏

 このたびは「機械・ロボット部品賞」を頂き、誠に光栄です。開発のきっかけは、「100ボルトのコンセントにそのままつないで駆動できるモーターローラーが欲しい」というお客さまの声からです。お客さまの手間を軽減できればと思い、量産化しました。当社は鉄心からモーターローラーまで自社工場で開発、製造しています。「メード・イン・埼玉」にこだわり、専用ドライバーは埼玉県内企業と共同で開発しました。ご要望に合わせたカスタマイズ対応もできます。

 今後もお客さまの期待に応えられるよう、さらなる開発に励んでまいります。

ヘクサロビュラリセス「インタトルク」

株式会社ハイオス 

製品概要

 頭部形状が六つの耳たぶ状曲線という独自の内部構造を持つネジと、独自に開発したビット工具。ドライバーとの嵌合時の水平傾き角度を2度未満に抑え、作業時のぐらつきが原因となるネジ締め不良の大幅低減を実現した。自動車業界をはじめ活用される裾野は幅広い。
 ビットの先端部をテーパー状に設計し、ビットをリセス内部に誘導するガイド機能と、ぐらつき防止のロック機能も開発した。ビットとネジがまっすぐな状態であたるので、偏荷重が起こりにくい。嵌合性と作業性が向上したことで、安全性や品質が向上。従来の十字ビットに比べ、大幅な長寿命化を実現した。また、2018年に米国シカゴで開催された「アセンブリーショー」では新商品賞を受賞した。

Voice
社長 戸津 勝行氏

 賞をいただき、誠にありがとうございます。ネジはモノを組み立てる上でなくてはならない、合理的な最高の部品であることは間違いありません。そして、まだまだ進化の余地はあると感じています。
 「インタトルク」は使いやすく、ネジ締め不良の大幅な低減に加え、作業時間の短縮と作業性向上ももたらします。自動化にも適応し、日本の産業界の発展に役立つものだと確信しています。これからもモノづくりに携わっていく上で「100%はない」という考えのもと、より高品質な製品を展開して参ります。

NPR-FX25

株式会社不二越

製品概要

 不二越の「フッ素樹脂向け射出成形機用スクリュ部品『NPR―FX25』」は、フッ素樹脂に対応する高強度耐食ニッケル合金を採用して、長寿命、高強度化ニーズに対応する。独自の腐食メカニズム解析と最適な合金設計で、従来の耐食ニッケル合金の耐食性を維持しつつ、5倍の硬さと2倍の引っ張り強度を確保した。
 スクリュー部品やノズルなどの成形機部品を高強度にすることで、フッ素樹脂射出成形時の高圧充填が可能になり、複雑形状のフッ素樹脂部品の量産ができる。
 フッ素樹脂は非粘着性や耐摩耗性、耐熱性などから多くの用途で使われる。自動車のリチウムイオン電池や車載半導体で使うフッ素樹脂部品などがある。

 

Voice
執行役員 マテリアル事業部長 越濱 哲夫氏

 この度は、「機械・ロボット部品賞」を賜り、誠にありがとうございます。これもひとえに射出成形機スクリュー部品NPRシリーズへの、お客さまからのご支持のおかげと感謝申し上げます。「フッ素樹脂向け射出成形機用スクリュ部品『NPR―FX25』」は、フッ素樹脂成形現場での、スクリュ部品の強度不足によるかじり・変形などを解決する革新的な新商品です。従来の耐食ニッケル合金の耐食性を維持しつつ、5倍の硬さと耐力を確保したことで、耐久性を向上させ、高圧・高速成形による高精度成形を実現します。

 今後も、お客さまのニーズに対応する商品開発で、モノづくりの世界の発展に貢献して参ります。