2019年受賞部品

生活関連部品賞

御朱印帳 蛇腹和紙

早和製本

特殊加工にこだわり機械化

 早和製本は、全国で“御朱印ブーム”が盛り上がる中、御朱印帳の表・裏表紙を除いた蛇腹和紙を材料として部品化し、御朱印帳製造業者などに供給を始めた。
 御朱印帳製造は、和紙の貼り合わせや折り工程など職人の手作業によるのが一般的だが、生産性が悪く納期対応が課題だった。顧客などからの要望を受け、同社は蛇腹和紙の機械化に成功。和紙の品質や裏面の特殊加工など細部にこだわり、高品質で手作業の100倍以上の生産性を実現した。
 従来にない工法のため、約1500万円を投じ加工機をゼロから設計・開発した。和紙を巻き取り紙で仕入れて貼り合わせ、蛇腹折りをする工程でシワができないよう折り目部分に切れ目を入れた。直販とインターネット通販サイト「アマゾン」に絞っているが、国内外から問い合わせが相次ぎ月5000~6000冊を販売する。

Voice
早和製本 社長 津岡 正男 氏

 ロボットや自動車向けなど、先端技術で受賞された企業が多い中、生活関連部品賞を受賞することができ、大変光栄に思います。
 開発に関わった全ての方の協力のおかげで、世の中にない新たな製品を開発できました。その裏付けとなる賞をいただき、企業としての箔がついたことが今後の励みになります。完成までは多くの資金をつぎ込み、失敗しては何度もやめようと考えたが諦めないで良かったです。
 今後は蛇腹和紙の用途や販路開拓を強化し、事業の柱に育てたいです。受賞を励みに、メーカーとして今後も魅力ある製品を世の中に出し続けていく所存です。



ベースセッター

BXカネシン

狭小地の木材住宅を耐震化

 ベースセッターは、木造住宅の基礎と幅450ミリメートルの平角柱を接合する柱脚金物。壁の耐力を示す壁倍率は一般的な幅910ミリメートルと同程度の5倍で、約半分の幅で実現する。
 幅450ミリメートルの平角柱と一体化することで門型フレームとは異なり、独立配置できる狭小耐力壁となる。無償提供する簡単な検定ツールと市販の構造計算ソフトを使用して設計者が構造の安全性を確認できる。6メートルまでの高さに対応でき、吹き抜けの物件などにも使用可能。
 建物が大きく変形しても損傷しない靱性(じんせい)を備えた安全性の高い狭小耐力壁でありながら、狭小地でもビルトインガレージや間仕切りのないリビングなど、間口や空間を損なわない自由度の高い設計ができる。狭小地において木造住宅を設計する上で、耐震性の確保とプランの両立が難しいといった課題に応えた。

Voice
BXカネシン 代表取締役 二村 一久 氏

 このたびは、栄えある賞をいただき、誠にありがとうございます。
 今回受賞した「ベースセッター」は、木造建築の耐震性と設計自由度を両立できる柱脚金物です。高い耐震性を求めると壁が多くなり木造での設計が難しく、設計自由度を求めると強度が不足し木造を断念して鉄骨造にせざるを得なくなります。
 しかし、「ベースセッター」の製品化によって耐震性と設計自由度が両立できるようになりました。日本は豊富な森林資源を有効活用する時代を迎えました。
 新しい技術や製品で木造文化の継承、発展に貢献できるよう今後も精進してまいります。



浄水カートリッジ「JF-K10」「JF-K11」

LIXIL

浄水寿命2倍に

 浄水カートリッジ「JF-K10」と「JF-K11」は、家庭用水栓一体型浄水器「AJタイプ」に内蔵する交換部材で、浄水能力の寿命を従来比2倍にした。新開発の造粒微粉炭技術はセラミックフィルターと一体化する活性炭を10マイクロメートルに粉砕後、ナノファイバーで再結合する。表面積が増えることによって水道水の接触効率が高まった。
 濾過総量は従来の1200リットルから2400リットルへ倍増したため、カートリッジの大きさはそのままに高寿命化を実現。造粒微粉炭技術は粒子が均一に詰まり、粒子間の隙間も均等であるため、目詰まりが起こりにくい。残留塩素などを造粒微粉炭の内部でも吸着する。また、カートリッジの交換頻度が減ることで顧客の手間の軽減にもつながる。廃棄するカートリッジも減るため、環境面にも配慮した。

Voice
LIXIL 水栓事業部 機能水開発部長 中島 泰仁 氏

 このたびは、大変名誉ある賞を賜り、誠にありがとうございます。
 本製品は、水栓一体型浄水器に搭載される浄水カートリッジで、LIXILがINAX時代から培ってきた窯業粉体加工技術とナノテクノロジーを結集し、従来比2倍の長寿命化を実現しました。20年前わずか数人のセラミックフィルター技術者と水栓技術者で創めた浄水器事業がこのような賞を頂けるまでに育ってきたのも、常にお客さまに喜んで頂ける「業界ダントツ性能・機能・デザイン」に拘ったモノづくり精神を持ち続けてきたからだと、関係者一同喜びをかみしめております。