2020年受賞部品

環境・資源・エネルギー関連部品賞

炭素繊維強化熱可塑性プラスチックシート「Flexcarbon」

サンコロナ小田

複雑成形性・高強度を両立

 「Flexcarbon」は、プレス成形により、高速かつ大量生産ができ、複雑成形性と高強度を両立した炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)ランダムシート。長年の繊維加工で培った糸加工技術による炭素繊維の開繊と、樹脂の含浸技術、散布・積層技術、連携先である金沢工業大学が持つ樹脂反応制御技術を合わせ開発した。
 CFRTPは、鉄と比べて軽量・高強度・高剛性といった特徴があり、比重は鉄の約5分の1と言われている。また、CFRTPでも従来は織物やテープなどの一方向性の連続繊維が主流であったのに対し、非連続繊維の積層シートであるため金型追従性が良く、複雑形状の成形性に優れる。これらの特徴を生かし自動車部品、住生活、金属では重く硬過ぎて使いにくく、樹脂では柔らかく適応できない分野などでの多用途展開が見込まれる。

Voice
サンコロナ小田 代表取締役社長 小田外 喜夫 氏

 栄えある賞をいただき、誠に光栄に存じます。
「Flexcarbon」は、従来の炭素繊維複合材料では成し得なかった微細で複雑な成形や金型を用いたプレス成形で、量産に対応できる全く新しい素材です。また、軽く強いことも大きな特徴です。採用すれば製品を軽量化できるため省エネにつながり、ひいては持続可能な社会の実現にも結びつくと考えております。
今後も環境や資源、エネルギーという社会課題に対し、糸加工技術が貢献できることを問い続けながら研究開発を続け、「素材革命」を果たすべく精進してまいります。

腐食リスクを見える化できる「目視型環境診断センサー」

日立製作所/日立ハイテクフィールディング

現場でリスク診断

 日立製作所と日立ハイテクフィールディングが開発した「目視型環境診断センサ」は、電子機器を劣化させる硫化腐食の発生リスクを目視で診断できる。下水処理施設などインフラ設備の情報・制御機器を交換する時期の見極めに活用できる。
 内部に銀薄膜を取り付けており、空気中の硫化水素などの還元性硫黄ガスが同膜に触れると、ガスの種類に応じて変色する。同センサーの大きさは幅29ミリメートル×奥行き30ミリメートル×高さ7ミリメートル。重さは5グラム。
 従来のセンサーは、特別な分析装置を用いて診断する必要があり、検査機関への輸送が必要だった。一方、同製品は特別なスキルなしに現場でリスク診断が可能。診断にかかる費用と時間をそれぞれ従来比10分の1に削減できる。既に下水処理や製油会社などの環境診断で活用されている。

Voice
日立ハイテクフィールディング 取締役 兼 産業サービス本部長 妹尾 俊彦 氏

 このたびは、名誉ある賞を頂き、誠に光栄に存じます。
 本製品は、インフラ設備における監視・制御システムの腐食障害の要因となっている硫化腐食の発生リスクをセンサーの設置場所で診断できる目視型環境診断センサーです。これまでの腐食環境診断センサーは、分析装置を用いて分析・診断する必要があり、時間と費用を要していました。本センサーは、分析装置が不要で、短時間かつ低コストで診断可能です。弊社では、監視・制御システムの保守サービスで本製品を活用しています。
 今後も、同システムの事故未然防止に寄与してまいります。

廃プラ(産廃)の資源化に貢献するリサイクルポリエチレン

オオハシ

XLPEを原料樹脂に

 電線の絶縁体や給湯管に使われた架橋ポリエチレン(XLPE)を熱・圧力・触媒で分解し、原料樹脂として再生するマテリアルリサイクル。XLPEは、ポリエチレン(PE)の分子同士が化学結合(架橋)しているため、電気特性や耐熱性に優れる。その半面で再資源化が難しく、従来は産業廃棄存処理されるか、サーマルリサイクル(燃料化)にとどまっていた。
 XLPEの架橋点を物理的・化学的に切断し、溶融成形できる熱可塑性を備えた元のPEに近付ける。高温・高圧で混練しながら、適切なタイミングで添加剤を投入できる特殊な押し出し機で連続的に処理していく。再生原料には架橋点が多少残るため、通常のPEよりも高耐熱で剛性が高くなる。再生材を建設資材の樹脂製敷板などに製品化し、原料樹脂(ペレット)としてもサンプル供給する。

Voice
オオハシ 代表取締役 塩野 武男 氏

 これまで多くの企業が架橋ポリエチレン(XLPE)のリサイクルを試みていますが、技術的に可能でもコスト面で実用化に至りませんでした。この技術は、山形大学工学部、フジクラ、積水化学工業、栃木県産業振興センター、秋田エコプラッシュとの産学官共同研究で、経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)の採択を受けて特殊押し出し機による製法を確立しました。廃棄されるXLPEは、電線や給湯管にとどまらず、各種パイプやフィルムの製造工程で出る端材などもあり、産業界の環境負荷低減に幅広く貢献できると自負しています。