2020年受賞部品

生活・社会課題ソリューション関連部品賞

足場・つなぎ解体時の新しい工法「アンカーベ」

浪速工作所

穴埋めボルト差し込むだけで修復完了

 アンカー跡に差し込むだけで修復作業が完了する穴埋めボルト「アンカーベ」は、建設現場の足場解体工事に革命をもたらした。足場撤去時のアンカー穴埋め戻しには、液状のシーリング剤を用いるのが一般的だが、同製品は埋め込むだけで作業が完了。作業時間を20分の1に短縮でき、美観も保つ。撤去作業をスムーズにし、転落の危険性を減らせるとして塗装業者やゼネコンからの反響は大きい。
 同製品は、同じ堺市の塗装業者から依頼を受け製造した。当初は「外壁を美しく保てる壁面模様の樹加シールを作ってほしい」との依頼だったが、はがれる可能性を考慮し、はめ込み式の製品を提案。手のひらサイズの製品には差し込みやすく抜けにくい「矢じり」形状や、昔ながらの技法による岩目模様の金型作りなど、他社にまねできない技術が数多く詰まっている。

Voice
浪花製作所 代表取締役社長 谷本 和考 氏

 足場解体時の壁面補修の新工法「アンカーベ」が歴史ある賞を受賞できたことを大変うれしく思います。
 建設現場では作業時の落下・転倒による事故で年間250人が亡くなられています。その課題を解決すべく、安全できれいに作業が出来る「アンカーベ」を全ての作業者と施主のために開発しました。さまざまな工夫と完璧に表現された柄を、ぜひ手にとりご確認ください。
 浪速工作所は、これまでに3000以上の新商品を開発してきました。この受賞を期にさらなる社会課題を解決できるよう、従業員一同頑張ります。

直立型ロングストローク変位計

東京測振/竹中工務店

1台で水平2方向計測、コスト半減

 東京測振と竹中工務店が共同開発した「直立型ロングストローク変位計」は、免震を施した建物の地震発生時の動き(変位)を計測するセンサー。免震建物の維持管理には地震時の免震部材のモニタリングが必要になる。
 従来の変位計は、設置スペースを確保する必要があり、コストが高くなるなどの問題があった。両社が開発した変位計は回転計を利用した独自の計測機構により1台で水平2方向を計測できる。デジタル方式のためノイズが少ないのが特徴。
 設置形状は直立型のため、設置場所の見付け面積を小さくすることが可能。主軸材の長さの変更により計測レンジを簡単に変更でき、高精度センサーを収納した計測部もコンパクトなため、養生・配線なども容易に行える。水平2方向計測が可能になり、従来比2分の1以下にコストを抑えることができる。

Voice
竹中工務店 技術研究所 副所長 山本 雅史 氏

 このたびは、「生活・社会課題ソリューション関連部品賞」を東京測振と共同で賜り、大変光栄に存じます。
建物の耐震安全性を高める効果的な技術に免震があります。免震建物を高機能な状態に維持管理するには、地震時のモニタリングが必須ですが、設置スペースとコストの課題があり、その普及はほとんど進んでいません。地震国日本における免震の先導企業として、この状況を打破するべく挑戦した成果が本開発品です。
今回の受賞を励みに、今後も、まちづくり総合エンジニアリング企業として安全・安心な技術を開発し、社会に提供していきます。

透過性と遮音性を両立した移動間仕切「フレア」

オカムラ

部品小型化で大ガラス面を実現

 オカムラの「上下圧接機構」は、移動式の間仕切り上部と下部に装着し、天井と床面を密着して遮音性を持たせるための部品だ。近年、採光性や開放感を高めるためにガラスの間仕切りが増える中、上下に取り付ける同部品は可能な限り小型化し、ガラス面の面積を損なわない工夫が求められていた。同社は、ガラス面を遮る同部品のフレームの高さを従来の157ミリメートルから28ミリメートルへ大幅に減らし、これまでにない大きなガラス面を実現した。
 ポイントは、コア部品であるバネを1段コイルバネから多段コイルバネに変更したこと。バネは小さくなっても、多段とすることで従来と同等の弾性を発揮する。この結果、バネの力で同部品が天井と床面に密着し、従来並みの遮音効果を維持した。薄いフレームの固定式間仕切りと組み合わせて使用しても調和する。

Voice
オカムラ オフィス営業本部 建材事業部 建材開発部 部長 安立 直也 氏

 このたびは、栄えある賞を頂戴し、誠に光栄に存じます。
 当社の移動間仕切りは、前のパネルに押し付けるだけでパネルの上下圧接が完了すること(ワンタッチ圧接)が特徴です。移動間仕切り「フレア」のガラスパネル専用圧接機構を開発するにあたり、従来品のワンタッチ圧接機能を維持しつつ、ガラスのメリットである透明感を最大限生かすため、圧接機構を極限まで薄くすることを要件とし、トライ&エラーを繰り返しながら開発を進めました。
 今回の受賞を励みとし、引き続き高い品質のモノづくりに取り組んでまいります。

J-Well

ジェイテクト

IoTで水量検知、井戸の枯渇防ぐ

 「J-Well」は、水道インフラ整備が難しい地域で、井戸の使いすぎによる水の枯渇を防ぐ目的で開発された。IoTを活用し井戸の水位を測る水位計と、水のくみ上げ量を量る流量計からデータを取得。井戸に流入する水量を検知しながら揚水ポンプを制御することでくみ上げる水量を管理し、井戸の長寿命化と効率利用を実現する。
 スマートフォンのアプリケーション(応用ソフト)を使い、遠隔地からリアルタイムで設定変更やポンプの操作ができる。併せて通信環境が不安定な状態でも安定利用できるシステム環境を構築した。ポンプの稼働時間指定など、揚水にかかる複合的な電力管理もでき、太陽光発電と組み合わせれば7割程度の電力削減効果が見込める。既にインドで同システムが稼働しており、今後は同国を中心に普及拡大を目指す。

Voice
ジェイテクト イノベーション推進部 事業開発室 室長 千田 輝一 氏

 当社の水管理ソリューション「J-Well(ジェイウェル)」に対して、「生活・社会課題ソリューション関連部品賞」を賜り、誠にありがとうございました。これもひとえに開発・評価にご協力いただいた関連諸氏のお力添えの結果であり、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 当水管理ソリューションは、インドを皮切りに国内の企業様にも導入事例がございます。限りある資源である地下水を大切に活用し、皆さまの生活基盤の安定につながればと考えております。
 今後もお客さまならびに、地球環境保全に少しでもお役立ていただければ幸いです。